広告の規制(誇大広告・開始時期・自己所有でない物件)
この単元で分かること
この単元のはじまりの場面
秋、みなと不動産は、新築の建売住宅の広告を作っていました。北町ホームの小林浩二さんが「うちは徒歩2分と書くよ、ほんとは5分だけどね」と笑いました。佐藤さくらさんは「でも、まだ誰もだまされていませんよね」と言いました。木村健一さんは「広告の表示だけで違反になるんだ、誰も誤認していなくても同じだよ」と答えました。宅建業法は、広告の表示そのものを規制しているのです。
広告の規制とは約1分
物件の広告にも、宅建業法の規制があります。
根拠: 宅地建物取引業法 32条
誇大広告(著しく事実と違う表示などの広告)の禁止、工事完了前の広告の制限、取引態様の明示が、広告の規制の柱です。
根拠: 宅地建物取引業法 32条、宅地建物取引業法 33条、宅地建物取引業法 34条1項
契約の締結にも、工事完了前の制限と、自己所有でない物件の制限があります。
根拠: 宅地建物取引業法 36条、宅地建物取引業法 33条の2
みなと不動産は、新築マンションの広告を出そうとしています。まだ建築確認(建物を建てる前に、建築基準法に基づいて受ける確認)を受けていません。みなと不動産は、確認の後でなければ広告を出せません。
根拠: 宅地建物取引業法 33条
広告と契約の両方に規制があります。それぞれ別の決まりです。
根拠: 宅地建物取引業法 33条、宅地建物取引業法 36条
広告の規制は、契約が成立したかどうかで決まる、は誤りです。広告そのものが対象です。
根拠: 宅地建物取引業法 32条
誇大広告の禁止約2分
業者は、業務に関する広告で、著しく事実に相違する表示をしてはいけません。
根拠: 宅地建物取引業法 32条
実際より著しく優良、または著しく有利だと人を誤認させる表示も、禁止です。
根拠: 宅地建物取引業法 32条
対象は、物件の所在、規模、形質、利用の制限、環境、交通の利便です。代金や借賃などの対価の額、支払方法、金銭の貸借のあっせんも対象です。
根拠: 宅地建物取引業法 32条
違反になるには、著しく、という程度が要ります。わずかな違いでは違反になりません。
根拠: 宅地建物取引業法 32条
広告の媒体は問いません。誤認した人がいるか、損害が出たかも、違反の成否を左右しません。
根拠: 宅地建物取引業法 32条
判定の流れ誇大広告に当たるか
見るのは表示そのもの。誤認した人や損害があったかは問わない。
根拠: 宅地建物取引業法 32条
売る意思のない好条件の物件で客を集め、別の物件を売ろうとする、おとり広告も禁止です。
根拠: 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 第32条関係
成約済みで取引の対象とならない物件の広告を載せ続けることも、おとり広告にあたります。
根拠: 不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則 第21条(おとり広告)
北町ホームは、駅から徒歩5分の物件を、徒歩2分と広告しました。これは著しく事実に相違する表示です。実際に誤認した人がいなくても、違反になります。
根拠: 宅地建物取引業法 32条
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著しく事実と違う表示は禁止。わずかな差異なら違反でない。
間違えやすいところ:広告を見て誤認した人や損害が出ないと、違反にならないと取り違える
誇大広告で禁止されるのは、どんな表示か? 著しく事実と違う表示は禁止。わずかな差異なら違反でない。
見るのは表示そのものです。誤認や損害があったかどうかは関係ありません。
根拠: 宅地建物取引業法 32条
実際に買った人がいなければ違反にならない、は誤りです。広告の表示だけで違反が成立します。
根拠: 宅地建物取引業法 32条
「利用の制限」には、公法上の制限と私法上の制限の両方が入ります。公法上の制限は、都市計画法や建築基準法などによる制限です。私法上の制限は、借地権や地上権の有無・内容などです。
根拠: 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 第32条関係
違反の罰則と処分約1分
契約が成立しなくても、罰則や処分の対象になります。
根拠: 宅地建物取引業法 32条
誇大広告、取引態様の明示、工事完了前の契約締結の制限などの違反は、1年以内の業務停止の事由にもなります。
根拠: 宅地建物取引業法 65条2項、宅地建物取引業法 65条2項2号
北町ホームは、実際より著しく有利な条件を広告しました。契約は成立しませんでした。それでも北町ホームは、罰金の対象になり、業務停止を命じられることもあります。
根拠: 宅地建物取引業法 81条1号、宅地建物取引業法 65条2項2号
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6月以下の拘禁刑か100万円以下の罰金。業務停止もある。
間違えやすいところ:契約が成立しなければ、罰則や処分の対象にならないと取り違える
誇大広告をすると、どんな罰則や処分があるか? 6月以下の拘禁刑か100万円以下の罰金。業務停止もある。
広告違反は、刑罰と監督処分(業者を監督するための処分で、業務停止などがある)の両方につながります。
根拠: 宅地建物取引業法 81条1号、宅地建物取引業法 65条2項2号
広告違反は、契約が成立して初めて問題になる、は誤りです。広告の時点で問題になります。
根拠: 宅地建物取引業法 32条
工事完了前の広告の制限約2分
この節でよく出るのは
- ★ 3回工事が終わる前は、必要な許可や確認を受けた後でなければ、その…
みなと不動産の建売住宅は、建築確認の結果がまだ出ていません。佐藤さんは「先にチラシを刷って、反響を集めませんか」と言いました。木村さんは「確認を受けたあとでないと、広告は出せないよ。工事が終わる前は、そういう決まりなんだ」と止めました。
根拠: 宅地建物取引業法 33条
工事が終わる前は、必要な許可や確認を受けた後でなければ、その工事に係る広告を出せません。
根拠: 宅地建物取引業法 33条
許可や確認には、都市計画法の開発許可(一定の開発行為に必要な都道府県知事の許可)や、建築基準法の確認などがあります。
根拠: 宅地建物取引業法 33条
制限されるのは工事完了前の広告です。工事が終われば、この制限はかかりません。
根拠: 宅地建物取引業法 33条
時系列工事完了前の広告と売買契約
許可や確認の「後」が分かれ目。貸借の契約は対象外だが、貸借の広告は制限される。
根拠: 宅地建物取引業法 33条、宅地建物取引業法 36条
入居者募集のような貸借の広告も、この制限の対象になります。
根拠: 宅地建物取引業法 33条
確認を受けた後に変更の確認を申請している間は、変更の確認を受ける予定であることを示します。
根拠: 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 第33条関係
あわせて当初の確認の内容も示せば、変更後の内容も広告できます。
根拠: 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 第33条関係
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許可等の処分の後でなければ、工事完了前の広告はできない。
間違えやすいところ:工事完了後の広告も制限される、と取り違える
工事完了前の物件の広告は、いつからできるか? 許可等の処分の後でなければ、工事完了前の広告はできない。
許可や確認の後かどうか、そして工事完了前かどうかが分かれ目です。
根拠: 宅地建物取引業法 33条
貸借の広告は、工事完了前でも自由に出せる、は誤りです。入居募集の広告も制限されます。
根拠: 宅地建物取引業法 33条
工事完了前の契約締結の制限約1分
| 契約 | だれが | 工事が終わる前 |
|---|---|---|
| 売買・交換 | 自ら当事者 | 許可や確認の後でなければ結べない |
| 売買・交換 | 代理人 | 許可や確認の後でなければ結べない |
| 売買・交換 | 媒介する者 | 許可や確認の後でなければ結べない |
| 貸借 | 自ら当事者・代理人・媒介する者 | この制限の対象外で、結べる |
根拠: 宅地建物取引業法 33条、宅地建物取引業法 36条
左右の比較工事完了前の広告と、契約の制限
広告がなくても、契約の制限はかかる。広告と契約は別の規制だ。
根拠: 宅地建物取引業法 33条、宅地建物取引業法 36条
広告をしていなくても、契約を結べば違反になります。
根拠: 宅地建物取引業法 36条
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広告は貸借も制限される。契約の制限は売買・交換だけ。
間違えやすいところ:契約の締結の制限が、貸借にも及ぶと取り違える
工事完了前の制限で、貸借にも及ぶのは、広告と契約のどちらか? 広告は貸借も制限される。契約の制限は売買・交換だけ。
広告と契約は別の規制です。広告がなくても、契約の制限はかかります。
根拠: 宅地建物取引業法 36条
貸借の契約も、工事完了前は結べない、は誤りです。貸借は対象外です。
根拠: 宅地建物取引業法 36条
自己の所有に属しない物件の売買の制限約2分
みなと不動産が、地主の石井正さんの土地を仕入れて売る話が進んでいます。石井さんとの売買契約は、まだ結んでいません。そこへ買いたい客が先に現れ、佐藤さんは「先にお客さんと契約してもいいですか」と聞きました。木村さんは「自分のものになる契約がまだないから、自ら売主の契約は結べない。先に石井さんと取得契約を結ぶんだ」と答えました。
根拠: 宅地建物取引業法 33条の2
媒介は制限されず、売主になるときだけが対象です。
根拠: 宅地建物取引業法 33条の2
例外として、その物件を取得する契約を結んでいれば、契約を結べます。ただし、効力の発生に条件が付いたものは除きます。
根拠: 宅地建物取引業法 33条の2第1号
取得契約がなく、口頭の承諾だけでは、例外になりません。
根拠: 宅地建物取引業法 33条の2第1号
判定の流れ自己所有でない物件の売買契約を結べるか
口頭の承諾だけでは、取得契約の代わりにならない。
根拠: 宅地建物取引業法 33条の2、宅地建物取引業法 33条の2第1号、宅地建物取引業法 33条の2第2号
みなと不動産は、まだ自分のものではない土地を、田中さんに売ろうとしています。みなと不動産は、その土地を取得する契約を結んでいるので、この場合は田中さんとの売買契約を結べます。取得契約が条件付きなら、結べません。
根拠: 宅地建物取引業法 33条の2第1号
覚えるコマ
取得する契約があれば売れる。条件付きや口頭の承諾だけでは売れない。
間違えやすいところ:工事完了前の契約の制限と取り違える
他人の物件を、自ら売主として売れるのは、どんなときか? 取得する契約があれば売れる。条件付きや口頭の承諾だけでは売れない。
取引態様の明示約2分
この節でよく出るのは
- ★ 4回同じ物件の広告を数回に分けて出すときも、広告のたびに取引態様…
業者は、売買、交換、貸借の広告をするとき、取引態様の別を明示します。
根拠: 宅地建物取引業法 34条1項
同じ物件の広告を数回に分けて出すときも、広告のたびに取引態様の別を明示します。
根拠: 宅地建物取引業法 34条1項
注文を受けたときは、遅滞なく、その注文をした者に取引態様の別を明らかにします。
根拠: 宅地建物取引業法 34条2項
みなと不動産は、媒介の広告に媒介と明示しました。田中さんから問い合わせを受けました。みなと不動産は、改めて田中さんに、自分が媒介であることを伝えます。
根拠: 宅地建物取引業法 34条1項、宅地建物取引業法 34条2項
覚えるコマ
広告をするときに明示し、注文を受けたときも遅滞なく明らかにする。
間違えやすいところ:広告で明示していれば、注文時の明示は要らないと取り違える
取引態様の別は、いつ明らかにするか? 広告をするときに明示し、注文を受けたときも遅滞なく明らかにする。
広告での明示と、注文時の明示は別です。どちらも必要です。
根拠: 宅地建物取引業法 34条1項、宅地建物取引業法 34条2項
広告に取引態様を書いてあれば、注文時の説明は要らない、は誤りです。別の義務として残ります。
根拠: 宅地建物取引業法 34条2項
業者間取引にも適用されるか約1分
業者どうしの取引で適用が外れるのは、一部の規定だけです。
根拠: 宅地建物取引業法 78条2項
誇大広告の禁止、取引態様の明示、工事完了前の契約の制限は、宅建業者間でも適用されます。一方、自己の所有に属しない物件の売買の制限は、宅建業者間には適用されません。
根拠: 宅地建物取引業法 78条2項
覚えるコマ
32条・34条・36条は業者間でも適用される。33条の2は除かれる。
間違えやすいところ:業者間の取引には、広告や契約の規制が一切かからないと取り違える
業者間の取引でも適用されるのは、どの規制か? 32条・34条・36条は業者間でも適用される。33条の2は除かれる。
相手が宅建業者なら、広告の規制はすべて外れる、は誤りです。多くは適用されます。
根拠: 宅地建物取引業法 78条2項
本試験では「宅建業者Aが、物件の広告に著しく事実と違う表示をした」のように出ます。誤認した人や損害がなくても、違反です。
根拠: 宅地建物取引業法 32条