都市計画法①(区域・地域地区・地区計画・都市計画の決定)
この単元で分かること
この単元のはじまりの場面
冬、石井正さんが、駅の北側の空き地と、山あいの畑のことで相談に来ました。「同じ町の土地なのに、土地ごとに決まりが違うと聞きました」と石井さんは言いました。木村健一さんは「町には、市街化を進める区域と、抑える区域に分けられた場所がある。まず、その土地がどの区域かを調べるんだ」と答えました。佐藤さくらさんは、区域の種類と、その決まり方を覚えることになりました。
都市計画と、都市計画区域・準都市計画区域約2分
都市計画法は、まちを健全に発展させ、秩序ある整備を図るための決まりを定めています。
根拠: 都市計画法 4条1項
土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業についての計画を都市計画といいます。
根拠: 都市計画法 4条1項
都市計画は、都道府県が指定する都市計画区域の中で考えます。
根拠: 都市計画法 5条1項
指定には、関係市町村と都道府県都市計画審議会の意見を聴くことが要ります。
根拠: 都市計画法 5条3項
さらに、国土交通大臣に協議して同意を得なければなりません。
根拠: 都市計画法 5条4項
県は、石井さんの住む町の外側で建物が増えている一帯を準都市計画区域に指定しました。指定には、関係市町村と審議会の意見を聴けば足ります。国土交通大臣の同意は要りません。
根拠: 都市計画法 5条の2第5項
重ならない部分があるときは、その部分だけの区域に変更されたものとみなされます。
根拠: 都市計画法 5条の2第5項
左右の比較都市計画区域と準都市計画区域
意見を聴く相手は、どちらも関係市町村と審議会。
根拠: 都市計画法 5条1項、都市計画法 5条3項、都市計画法 5条の2第1項、都市計画法 5条の2第2項、都市計画法 5条の2第5項、都市計画法 8条2項、都市計画法 8条1項5号
覚えるコマ
都市計画区域は国交大臣の同意が要り、準都市計画区域は意見聴取で足りる。
間違えやすいところ:二以上の都府県にわたる都市計画区域は、国土交通大臣が指定する
都市計画区域と準都市計画区域は、指定の手続がどう違うか? 都市計画区域は国交大臣の同意が要り、準都市計画区域は意見聴取で足りる。
区域区分と市街化区域・市街化調整区域約2分
この節でよく出るのは
- ★ 2回市街化区域には少なくとも用途地域を定めます。市街化調整区域に…
区域区分は、必要があるときに定めるもので、定めるかどうかは原則として自由です。
根拠: 都市計画法 7条1項
ただし、首都圏の既成市街地や近郊整備地帯などを含む都市計画区域では、区域区分を定めなければなりません。
根拠: 都市計画法 7条1項
市街化区域は、すでに市街地になっている区域と、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域です。
根拠: 都市計画法 7条2項
左右の比較市街化区域と市街化調整区域
用途地域が付くかどうかが、分かれ目。
根拠: 都市計画法 7条2項、都市計画法 7条3項、都市計画法 13条1項7号
覚えるコマ
区域区分は任意。用途地域は市街化区域に定め、調整区域には原則定めない。
間違えやすいところ:首都圏の既成市街地・近郊整備地帯などを含む区域では、区域区分を定めるものとする
区域区分は必ず定めるのか。用途地域はどこに定めるのか? 区域区分は任意。用途地域は市街化区域に定め、調整区域には原則定めない。
区域区分はいつでも必ず定める、ではありません。必要があるときに定めるのが原則で、一定の区域だけが必須です。
根拠: 都市計画法 7条1項
地域地区と用途地域約3分
この節でよく出るのは
- ★ 4回準都市計画区域では、定められる地域地区が限られます。用途地域…
- ★ 4回特定用途制限地域は、用途地域が定められていない区域で、市街化…
- ★ 2回準住居地域は、道路の沿道にふさわしい業務の利便を増進しつつ、…
都市計画区域では、用途を配分したり環境を守ったりするために、地域や地区を定められます。これを地域地区といいます。
根拠: 都市計画法 8条1項
用途地域は13種類あります。住居系、商業系、工業系に分かれ、田園住居地域も含まれます。
根拠: 都市計画法 8条1項1号
準住居地域は、道路の沿道にふさわしい業務の利便を増進しつつ、調和した住居の環境を保護する地域です。
根拠: 都市計画法 9条7項
田園住居地域は、農業の利便を増進しつつ、調和した低層住宅の住居の環境を保護する地域です。
根拠: 都市計画法 9条8項
石井さんの畑と住宅が混ざる一帯には、田園住居地域が定められました。農業を続けながら、低層住宅の環境も守るためです。
根拠: 都市計画法 9条8項
準都市計画区域では、定められる地域地区が限られます。用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域、高度地区などです。特別用途地区は、用途地域に上乗せして特別な目的を定める地区です。特定用途制限地域は、用途地域のない区域で建てる建物の用途を制限する地域です。高度地区は、建物の高さの限度を定める地区です。
根拠: 都市計画法 8条2項
準都市計画区域には防火地域や準防火地域を定められません。防火地域と準防火地域は、火事の広がりを防ぐために定める地域です。高度地区も、高さの最高限度を定める部分に限られます。
根拠: 都市計画法 8条2項、都市計画法 8条1項5号
石井さんの畑の近くの一帯が準都市計画区域に指定されました。そこでは防火地域を定めようとしても定められません。防火地域は都市計画区域の地域地区だからです。
根拠: 都市計画法 8条2項、都市計画法 8条1項5号
第二種住居地域は、主として住居の環境を保護するため定める地域です。中高層住宅に係る良好な環境を保護するのは、中高層住居専用地域のほうです。
根拠: 都市計画法 9条6項、都市計画法 9条4項
高層住居誘導地区は、第一種住居地域・第二種住居地域・準住居地域・近隣商業地域・準工業地域のうちに定めます。容積率が10分の40または10分の50と定められた区域です。
根拠: 都市計画法 9条17項
覚えるコマ
用途地域などに限られ、防火地域・準防火地域は定められない。
間違えやすいところ:高度地区は、高さの最高限度を定める部分に限られる
準都市計画区域に定められる地域地区は、どう限られるか? 用途地域などに限られ、防火地域・準防火地域は定められない。
高度利用地区は高さを定めず、高度地区は高さの限度を定める。
間違えやすいところ:高さを定めるのは高度地区と特定街区。高度利用地区は定めない
高度利用地区・高度地区・特定街区は、それぞれ何を定めるか? 高度利用地区は高さを定めず、高度地区は高さの限度を定める。
都市計画の決定と手続約2分
都市計画を定めるのは都道府県か市町村で、決める主体は計画の種類によって決まります。
根拠: 都市計画法 15条1項
市町村が定める都市計画は、議会の議決を経た基本構想に即し、都道府県の都市計画に適合しなければなりません。
根拠: 都市計画法 15条3項
これに反する部分には効力が生じず、都道府県の都市計画が優先します。
根拠: 都市計画法 15条4項
石井さんの住む市の都市計画が、県の都市計画と食い違う部分がありました。その部分は効力を生じず、県の計画が優先します。
根拠: 都市計画法 15条4項
市町村が都市計画を決定しようとするときは、あらかじめ都道府県知事に協議しなければなりません。
根拠: 都市計画法 19条3項
都市計画の案は、公告の日から2週間、公衆の縦覧に供します。
根拠: 都市計画法 17条1項
関係市町村の住民と利害関係人は、縦覧期間満了の日までに意見書を提出できます。
根拠: 都市計画法 17条2項
都市計画は、決定の告示があった日から効力を生じます。告示の翌日ではありません。
根拠: 都市計画法 20条3項
時系列案の縦覧から効力が生じるまで
効力が生じるのは、告示の翌日ではなく、告示があった日。
根拠: 都市計画法 17条1項、都市計画法 17条2項、都市計画法 20条3項
覚えるコマ
公告の日から二週間縦覧し、期間満了の日までに意見書を出せる。
間違えやすいところ:効力が生じるのは、決定の告示があった日から(翌日ではない)
都市計画の案は、縦覧と意見書でどう扱われるか? 公告の日から二週間縦覧し、期間満了の日までに意見書を出せる。
縦覧は2週間、意見書は縦覧期間の満了日まで、効力は告示の日からです。
根拠: 都市計画法 17条1項、都市計画法 17条2項、都市計画法 20条3項
都市計画の効力は告示の翌日からではありません。告示があった日から生じます。
根拠: 都市計画法 20条3項
地区計画と届出約3分
この節でよく出るのは
- ★ 2回地区計画の区域では、行為に着手する日の30日前までに市町村長…
石井さんは、駅北の空き地に、子どもの家を建てたいと考えています。この一帯は、地区整備計画が定められた地区計画の区域です。木村さんは「着工予定日の30日前までに、行為の種類や設計を市町村長へ届け出るんだ」と教えました。計画に合わない設計なら、市町村長は設計の変更などを勧告できます。
根拠: 都市計画法 58条の2第1項、都市計画法 58条の2第3項
地区計画(地区ごとのまちづくり計画)は、街区ごとに良好な環境を整備・開発・保全するための計画です。
根拠: 都市計画法 12条の4第1項1号
地区計画は、用途地域が定められている土地の区域に定められます。
根拠: 都市計画法 12条の5第1項1号
用途地域がない区域でも、住宅市街地の開発が行われる区域などには定められます。
根拠: 都市計画法 12条の5第1項
開発整備促進区は、大規模な店舗などの整備を図る区域に、地区計画で定めます。定められるのは、第二種住居地域・準住居地域・工業地域、または用途地域のない区域(市街化調整区域を除く)です。
根拠: 都市計画法 12条の5第4項、都市計画法 12条の5第4項4号
| 定めるもの | 定め方 |
|---|---|
| 地区計画:種類・名称・位置・区域 | 必ず定める |
| 地区計画:区域の面積 | 定めるよう努める |
| 地区整備計画 | 必ず定める |
| 地区計画:目標と整備の方針 | 定めるよう努める |
| 地区計画:建蔽率・容積率の限度 | 必ず定める事項ではない(地区整備計画で定められる事項の一つ) |
根拠: 都市計画法 12条の4第2項、都市計画法 12条の5第2項、都市計画法 12条の5第7項
地区計画の区域では、行為に着手する日の30日前までに市町村長へ届け出なければなりません。
根拠: 都市計画法 58条の2第1項
国や地方公共団体が行う行為は、この届出の対象から除かれます。届出事項を変更するときも、変更に係る行為の着手日の30日前までです。
根拠: 都市計画法 58条の2第1項3号、都市計画法 58条の2第2項
市町村長は、地区計画に適合しない届出に対して、設計の変更などの措置を勧告できます。中止を命じることはできません。
根拠: 都市計画法 58条の2第3項
覚えるコマ
着手する日の三十日前までに市町村長へ届け出る。変更も同じ。
間違えやすいところ:地区計画に適合しない届出には勧告できるが、中止命令はない
地区計画の区域内で行為をするとき、届出はいつまでにするか? 着手する日の三十日前までに市町村長へ届け出る。変更も同じ。
地区計画の届出は着手の30日前までです。市町村長ができるのは勧告までです。
根拠: 都市計画法 58条の2第1項、都市計画法 58条の2第3項
市町村長は工事の中止を命令できる、ではありません。できるのは勧告です。
根拠: 都市計画法 58条の2第3項
都市計画施設の区域内の建築制限約2分
この節でよく出るのは
- ★ 2回都市計画施設の区域や市街地開発事業の施行区域内で建築物を建て…
道路や公園として計画された区域では、将来の事業に支障が出ないよう、建築が制限されます。
根拠: 都市計画法 53条1項
都市計画施設の区域や市街地開発事業の施行区域内で建築物を建てるには、都道府県知事等の許可が要ります。
根拠: 都市計画法 53条1項
非常災害のため必要な応急措置として行う行為は、許可が要りません。政令で定める軽易な行為も同じです。
根拠: 都市計画法 53条1項2号、都市計画法 53条1項1号
石井さんは、都市計画施設の区域内で家を建てようとしています。原則として知事の許可が要ります。地震の応急措置として建てる仮設なら、許可は要りません。
根拠: 都市計画法 53条1項2号
階数が2以下で地階がなく木造の建築物の改築や移転は、軽易な行為として許可が要りません。
根拠: 都市計画法 53条1項1号
許可の基準の1つに、階数が2以下で、かつ地階を有しないことがあります。この要件を満たし、容易に移転・除却できる建物は許可されます。
根拠: 都市計画法 54条1項3号
都市計画のうち建築物について定めるものに適合する建築は、知事等は許可をしなければなりません。
根拠: 都市計画法 54条1項1号
事業予定地として指定された土地では、許可をしないことができます。
根拠: 都市計画法 55条1項
県は事業予定地を指定して公告しました。この区域内の建築について、知事は許可をしないことができます。
根拠: 都市計画法 55条1項
覚えるコマ
非常災害の応急措置と、階数二以下で地階のない木造建築物の改築・移転。
間違えやすいところ:建築物について定める都市計画に適合するなら、知事等は許可をしなければならない
都市計画施設の区域内で、許可が要らない行為は何か? 非常災害の応急措置と、階数二以下で地階のない木造建築物の改築・移転。
施設区域内の建築は知事等の許可が要ります。応急措置と軽易な行為は例外です。
根拠: 都市計画法 53条1項、都市計画法 54条1項
許可の基準を満たす建築は、知事が許可をしないことができる、ではありません。適合する建築は許可をしなければなりません。
根拠: 都市計画法 54条1項1号
事業予定地内の土地の買取りと先買い約2分
石井さんの畑の一部が、道路の事業予定地に入ることが分かりました。そこには家を建てられず、石井さんは「この土地はどうなるのですか」と聞きました。木村さんは「建築が許可されないなら、買取りを申し出られるよ」と答えました。知事等は、特別の事情がないかぎり、時価で買い取ります。
根拠: 都市計画法 56条1項
事業予定地で建築できないと、土地の使い道がなくなります。そこで土地を買い取る仕組みがあります。
根拠: 都市計画法 56条1項
事業予定地内で建築が許可されないとします。土地の所有者は、それを理由に買取りを申し出られます。
根拠: 都市計画法 56条1項
申出があると、知事等は特別の事情がないかぎり時価で買い取ります。
根拠: 都市計画法 56条1項
石井さんは、事業予定地内の土地を持っていますが、建築が許可されませんでした。石井さんが買取りを申し出ると、知事等は特別の事情がないかぎり時価で買い取ります。
根拠: 都市計画法 57条2項
事業予定地内の土地を有償で譲り渡そうとするときは、公告の日の翌日から10日を経過した後に、書面で届け出なければなりません。
根拠: 都市計画法 57条3項
届出の後30日以内に買い取る旨の通知があれば、予定対価で売買が成立したものとみなされます。
根拠: 都市計画法 57条3項
届け出た人は、届出後30日以内はその土地を譲り渡せません。買い取らない旨の通知があれば、その時までです。
根拠: 都市計画法 57条2項、都市計画法 57条3項
時系列事業予定地の土地を売るとき
届出後30日以内は、その土地を譲り渡せない。
根拠: 都市計画法 56条1項、都市計画法 57条2項、都市計画法 57条3項
覚えるコマ
公告の翌日から十日経過後に届け出る。三十日以内の買取通知で売買が成立。
間違えやすいところ:届出をした者は、届出後三十日以内は土地を譲り渡せない
事業予定地内の土地を売るとき、届出と買取りはどう進むか? 公告の翌日から十日経過後に届け出る。三十日以内の買取通知で売買が成立。
届出は公告の翌日から10日経過後、買取りの通知は届出後30日以内です。
根拠: 都市計画法 56条1項
公告の日から10日ではありません。公告の日の翌日から起算して10日を経過した後です。
根拠: 都市計画法 56条1項、都市計画法 57条2項
防火地域・準防火地域約2分
防火地域と準防火地域は、火事の広がりを防ぐために都市計画で定める地域地区です。
根拠: 都市計画法 8条1項5号
防火地域内では、建物の構造や外壁の開口部に、防火のための基準がかかります。
根拠: 建築基準法 61条
防火地域内の看板や広告塔などの工作物も、制限を受けます。
根拠: 建築基準法 64条
建築物が防火地域や準防火地域と、指定されていない区域にまたがるときは、その全部にそれぞれの地域の規定を適用します。防火壁で区画された外側は除きます。
根拠: 建築基準法 65条1項
防火地域と準防火地域にまたがるときは、全部に防火地域の規定を適用します。防火壁で区画された外側には、準防火地域の規定を適用します。
根拠: 建築基準法 61条、建築基準法 64条、建築基準法 65条1項
まとめ
- 都市計画区域は国土交通大臣の同意を得て指定し、2以上の都府県にわたる区域は大臣が指定します。
- 準都市計画区域は関係市町村と審議会の意見で指定でき、都市計画区域が指定されると廃止等とみなされます。
- 区域区分は必要があるときに定め、一定の区域では必ず定めます。市街化区域はおおむね10年以内に市街化を図る区域です。
- 市街化区域には少なくとも用途地域を定め、市街化調整区域には原則として定めません。
- 用途地域は13種類あり、準都市計画区域では防火地域・準防火地域を定められません。
- 都市計画の案は公告の日から2週間縦覧に供し、効力は告示があった日から生じます。
- 地区計画の区域内では行為の着手の30日前までに市町村長へ届け出て、市町村長は勧告ができます。
- 都市計画施設の区域内の建築には知事等の許可が要り、事業予定地では土地を時価で買い取る仕組みがあります。