借地借家法②(建物賃貸借・定期建物賃貸借)
部屋を借りる契約
この単元で分かること
この単元のはじまりの場面
中村翔さんは、2年契約でアパートを借りています。満了が近づいたころ、中村さんは「大家さんが出てほしいと言ったら、出ないといけませんか」と聞きました。木村健一さんは「大家さんが更新しない通知を出さなければ、同じ条件で更新される。通知するにも、正当事由が要るんだ」と答えました。借りた部屋は暮らしの土台だからだと聞いて、佐藤さくらさんはうなずきました。
建物賃貸借の期間約1分
この節でよく出るのは
- ★ 4回1年未満の期間の建物賃貸借は、期間の定めがないものとみなされ…
- ★ 4回1年未満の期間は、期間の定めがないものとみなされます。50年…
- ★ 2回6か月と定めても、その期間で終わるわけではありません。期間の…
借家は、借主の生活の本拠になるので、借地とは別の手厚い決まりがあります。
根拠: 借地借家法 26条1項
1年未満の期間は、期間の定めがないものとみなされます。50年の上限もありません。
根拠: 借地借家法 29条1項、借地借家法 29条2項
6か月と定めても、その期間で終わるわけではありません。期間の定めがないものとみなされます。
根拠: 借地借家法 29条1項
普通借家の更新と解約申入れ約1分
この節でよく出るのは
- ★ 5回更新したとみなされた後は、期間の定めがないものになります。
- ★ 4回貸主は中村さんに2年契約で部屋を貸していました。貸主が満了の…
- ★ 4回更新拒絶の通知は満了の1年前から6か月前まで。解約申入れは、…
| 立場 | すること | 期限 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 貸主・借主 | 更新しない通知 | 満了の1年前〜6か月前 | 出さなければ同じ条件で更新(貸主は正当事由が要る) |
| 貸主 | 解約の申入れ | 申入れの日から6か月 | 6か月で終了 |
| 借主 | 解約の申入れ | 申入れの日から3か月 | 3か月で終了 |
根拠: 借地借家法 26条1項、借地借家法 27条1項、民法 617条1項
貸主は中村さんに2年契約で部屋を貸していました。貸主が満了の1年前から6か月前までに更新しないと通知しなければ、同じ条件で更新され、期間の定めはなくなります。
根拠: 借地借家法 26条1項
更新したとみなされた後は、期間の定めがないものになります。
根拠: 借地借家法 26条1項
通知をしていても、満了後に借主が使い続け、貸主が遅滞なく異議を述べなければ、同じく更新とみなされます。
根拠: 借地借家法 26条2項
転貸借があるときは、転借人の使用の継続を借主の使用の継続とみなします。
根拠: 借地借家法 26条3項
覚えるコマ
満了の1年前から6か月前までに通知する。通知がなければ更新とみなす。
間違えやすいところ:更新後の期間も元と同じだと考えると間違える。法定更新後は期間の定めがない
普通借家の更新を拒むには、いつ通知するか? 満了の1年前から6か月前までに通知する。通知がなければ更新とみなす。
申入れの日から6か月で終了する。賃貸人には正当事由が要る。
間違えやすいところ:賃借人からの解約申入れにも、正当の事由が要ると考えると間違える(運用)
賃貸人から解約を申し入れたら、建物賃貸借はいつ終わるか? 申入れの日から6か月で終了する。賃貸人には正当事由が要る。
更新拒絶の通知は満了の1年前から6か月前まで。解約申入れは、貸主が6か月、借主が3か月で終わります。
根拠: 借地借家法 26条1項、借地借家法 27条1項
通知を出しても、借主が使い続けて異議を述べなければ更新とみなされます。
根拠: 借地借家法 26条2項
正当事由と立退料約1分
この節でよく出るのは
- ★ 2回貸主の更新拒絶の通知や解約の申入れは、正当事由がなければでき…
貸主が明渡しの条件として、または引換えに財産上の給付を申し出たときは、その申出も考慮します。
根拠: 借地借家法 28条
解約を申し入れた後に提供し、または増額を申し出た立退料も、正当事由の判断で考慮できます。
根拠: 借地借家法 28条
当事者が申し出た額を超える立退料の支払と引換えに、明渡しを認めることも、相当と認められる場合があります。
根拠: 借地借家法 28条
貸主は立退料200万円を申し出ていました。裁判所は、それより多い300万円の支払と引換えに明渡しを認める判断をすることもあります。
根拠: 借地借家法 28条
覚えるコマ
立退料は考慮要素の一つ。申出がなくても、正当事由は否定されない。
間違えやすいところ:立退料を申し出さえすれば、正当事由が認められると考えると間違える
正当事由の判断で、立退料はどう扱われるか? 立退料は考慮要素の一つ。申出がなくても、正当事由は否定されない。
借家の対抗力と借賃の増減約1分
人物関係図引渡しがあれば買主に対抗できる
登記がなくても、引渡しを受けていれば中村さんは田中さんに賃借権を主張できる。
根拠: 借地借家法 31条
借賃が不相当になったときは、契約の条件にかかわらず、将来に向かって増減を請求できます。
根拠: 借地借家法 32条1項
一定期間増額しない特約があるときは、その定めに従います。増額で協議が調わないときは、裁判確定まで相当と認める額を払えば足ります。
根拠: 借地借家法 32条1項、借地借家法 32条2項
周りの家賃が下がって中村さんの家賃が高すぎる状態になったので、中村さんは減額を請求できます。協議が調わなければ、貸主は裁判確定まで、相当と認める額の支払を中村さんに請求できます。
根拠: 借地借家法 32条3項
サブリース契約でも、この借賃増減の規定は適用されます。借賃の減額を請求できます。
根拠: 借地借家法 32条1項
覚えるコマ
登記がなくても、建物の引渡しがあれば対抗できる。
間違えやすいところ:対抗するには、賃借権の登記が要ると考えると間違える
借家の対抗力は、何があれば備わるか? 登記がなくても、建物の引渡しがあれば対抗できる。
増額は、相当と認める額を払えば足りる。減額は、相当額を請求できる。
間違えやすいところ:「減額しない」特約で、減額請求を排除できると考えると間違える(運用)
借賃の増減で協議が調わないとき、裁判確定までの支払いはどうなるか? 増額は、相当と認める額を払えば足りる。減額は、相当額を請求できる。
借家は引渡しで対抗力を持ちます。借賃は将来に向かって増減を請求できます。
根拠: 借地借家法 31条、借地借家法 32条1項
造作買取請求権と転借人の保護約2分
この節でよく出るのは
- ★ 3回造作買取請求権を排除する特約は有効です。対抗力などと違い、強…
- ★ 3回転借人には通知が必要で、通知後6か月で転貸借が終わります。造…
この請求は、賃貸借が終了するときの転借人と賃貸人との間にも準用されます。
根拠: 借地借家法 33条2項
中村さんは貸主の同意を得て、借りた部屋に建具を付け替えました。満了のときに、中村さんは貸主にその造作を時価で買い取るよう請求できます。中村さんが転貸している場合は、転借人も同じ請求ができます。
根拠: 借地借家法 33条1項、借地借家法 33条2項
造作買取請求権を排除する特約は有効です。対抗力などと違い、強行規定に含まれないからです。
根拠: 借地借家法 33条1項
人物関係図転貸借と終了の通知
貸主が転借人に通知しなければ、賃貸借の終了を転借人に対抗できない。通知から6か月で転貸借が終わる。
根拠: 借地借家法 34条1項、借地借家法 34条2項
中村さんが転借人に部屋を転貸していました。貸主と中村さんの賃貸借が終了しても、貸主が転借人に通知しなければ、転借人は明渡しを求められません。通知をすれば、その日から6か月で転貸借が終了します。
根拠: 借地借家法 34条1項、借地借家法 34条2項
覚えるコマ
転借人に通知しないと終了を対抗できない。通知の日から6か月で終了。
間違えやすいところ:通知がなくても、賃貸借の終了と同時に転貸借も終わると考えると間違える
賃貸借が満了で終わるとき、転借人はどうなるか? 転借人に通知しないと終了を対抗できない。通知の日から6か月で終了。
転借人には通知が必要で、通知後6か月で転貸借が終わります。造作買取請求権は特約で排除できます。
根拠: 借地借家法 34条1項、借地借家法 34条2項、借地借家法 33条1項
造作買取請求権は強行規定ではありません。特約で排除できます。
根拠: 借地借家法 33条1項、借地借家法 37
同居者の承継と強行規定約1分
ただし、相続人なしに死亡したことを知った後1か月以内に貸主へ反対の意思を表示すれば、承継しません。
根拠: 借地借家法 36条1項
対抗力、転借人の保護、借地上の建物の賃借人の保護に反する特約で、借主や転借人に不利なものは無効です。
根拠: 借地借家法 37、借地借家法 35条1項
同居者の承継は1か月以内の反対で覆せます。対抗力・転借人保護は強行規定です。
根拠: 借地借家法 36条1項、借地借家法 37
内縁の同居者は、届出がなくても一定の要件で賃借権を承継します。
根拠: 借地借家法 36条1項
定期建物賃貸借とは約2分
この節でよく出るのは
- ★ 2回定期建物賃貸借には、1年未満の期間を期間の定めがないとみなす…
- ★ 2回説明をしなかったときは、更新がない旨の定めは無効です。
- ★ 2回定期建物賃貸借では、書面の方式と事前説明が欠かせません。説明…
引っ越すことになった中村さんは、1年の定期建物賃貸借の部屋を見つけました。契約書には「更新しない」と書いてあります。それでも貸主は、契約書とは別の説明書面を渡して、更新がないことを説明しました。理由を聞かれた木村健一さんは「更新がないのは借りる人に重い話だから、先にきちんと知らせる決まりなんだ」と答えました。
根拠: 借地借家法 38条1項、借地借家法 38条3項
書面は公正証書によるなど、一定の方式が必要です。電磁的記録でも書面とみなされます。
根拠: 借地借家法 38条1項
貸主は、あらかじめ、更新がなく満了で終了することを記載した書面を交付して説明しなければなりません。
根拠: 借地借家法 38条3項
説明書面は、借主が内容を認識していたとしても、契約書とは別個独立の書面でなければなりません。
根拠: 借地借家法 38条3項
説明をしなかったときは、更新がない旨の定めは無効です。
根拠: 借地借家法 38条5項
判定の流れ更新がない旨の定めは有効か
契約書に書いてあるだけでは足りない。別個独立の説明書面が要る。
根拠: 借地借家法 38条1項、借地借家法 38条3項、借地借家法 38条5項
覚えるコマ
公正証書等の書面で契約し、事前に書面で説明する。
間違えやすいところ:説明の書面は契約書と一体でよいと考えると間違える(判例は別個独立の書面)
更新がない定期建物賃貸借にするには、何が必要か? 公正証書等の書面で契約し、事前に書面で説明する。
定期建物賃貸借では、書面の方式と事前説明が欠かせません。説明がなければ、更新がない旨の定めは無効です。
根拠: 借地借家法 38条1項、借地借家法 38条3項、借地借家法 38条5項
契約書に「更新しない」と書いてあれば足りる、ではありません。別個独立の説明書面が要ります。
根拠: 借地借家法 38条3項、借地借家法 38条5項
定期建物賃貸借の終了と中途解約約2分
この節でよく出るのは
- ★ 5回期間が1年以上なら、貸主は満了の1年前から6か月前までに通知…
- ★ 4回終了通知は満了の1年前から6か月前まで、中途解約は申入れから…
- ★ 2回借賃の改定に係る特約があるときは、借賃増減請求の規定は適用し…
半年後、中村さんに転勤の辞令が出ました。中村さんの部屋は居住用で、床面積は200平方メートル未満です。「契約の途中でも、出られますか」と中村さんは聞きました。木村さんは「転勤のようなやむを得ない事情があれば、解約を申し入れられるよ。1か月で終わるんだ」と答えました。
根拠: 借地借家法 38条7項
期間が1年以上なら、貸主は満了の1年前から6か月前までに通知しなければ、終了を借主に対抗できません。
根拠: 借地借家法 38条6項
通知期間を過ぎてから通知したときは、その通知の日から6か月を過ぎれば終了を対抗できます。
根拠: 借地借家法 38条6項
床面積200平方メートル未満の居住用では、転勤や療養などやむを得ない事情で、借主は解約を申し入れられます。申入れから1か月で終了します。
根拠: 借地借家法 38条7項
左右の比較貸主の終了通知と借主の中途解約
貸主の通知が遅れたときは、通知の日から6か月で、終了を対抗できる。
根拠: 借地借家法 38条6項、借地借家法 38条7項
借賃の改定に係る特約があるときは、借賃増減請求の規定は適用しません。
根拠: 借地借家法 38条9項
覚えるコマ
終了通知は満了の1年前から6か月前。中途解約は1か月で終了。
間違えやすいところ:中途解約は、どの定期建物賃貸借でもできると考えると間違える。居住用200㎡未満だけ
定期建物賃貸借の、終了通知と中途解約はどう違うか? 終了通知は満了の1年前から6か月前。中途解約は1か月で終了。
取壊し予定と一時使用の建物賃貸借約1分
法令や契約で、一定の期間を過ぎたら建物を取り壊すことが明らかな場合があります。
根拠: 借地借家法 39条1項
そのときは、取り壊す時に賃貸借が終了する旨を定められます。特約は、取り壊すべき事由を記載した書面によらなければなりません。
根拠: 借地借家法 39条1項、借地借家法 39条2項
一時使用のために建物を貸したことが明らかな場合は、借家の章の規定は適用されません。
根拠: 借地借家法 40
取壊し予定は書面が要り、一時使用は借家の規定が適用されません。
根拠: 借地借家法 39条2項、借地借家法 40
取壊し予定の特約は口約束では足りません。取り壊す事由を記載した書面が必要です。
根拠: 借地借家法 39条2項
本試験では「Aは、Bに部屋を6か月と定めて貸した」のように出ます。期間の長さと、定期建物賃貸借なら書面で説明したかを読み取ります。
根拠: 借地借家法 29条1項、借地借家法 38条3項
まとめ
- 期間を1年未満とする建物賃貸借は期間の定めがないとみなされ、民法の50年の上限も適用されません。
- 満了の1年前から6か月前までに更新拒絶の通知がなければ、同じ条件で更新されます。期間の定めもなくなります。
- 貸主の解約申入れでは、申入れの日から6か月で建物賃貸借が終了します。
- 貸主の更新拒絶・解約には正当事由が要り、使用の必要性、従前の経過、立退料の申出で判断します。
- 建物賃貸借は、登記がなくても建物の引渡しがあれば物権取得者に対抗できます。
- 借賃は将来に向かって増減を請求でき、造作買取請求権は特約で排除できます。
- 建物の転貸借は、貸主が転借人に通知すれば、その日から6か月で終了します。
- 定期建物賃貸借は書面と事前説明が要り、説明がなければ更新なしの定めは無効です。終了通知は満了の1年前から6か月前までです。