権利関係

区分所有法(マンションの管理と決め方)

権利関係読む目安 約15分図 4場面つき

この単元で分かること

  • 専有部分と共用部分の区別、持分の動きが分かる。
  • 集会の招集と決議の要件、規約の効力が分かる。
  • 義務違反者への措置と、復旧・建替えの決議要件が分かる。

この単元のはじまりの場面

場面

森剛さんは、あるマンションの管理組合の理事長です。「駐車場の使い方を決めた規約を、変えたい」と、森さんはみなと不動産に相談に来ました。木村健一さんは「規約を変えるには、出席した人数と議決権の、それぞれ4分の3以上の賛成が要るんだ」と答えました。大事なことを少数の意見だけで決めないためだと聞いて、佐藤さくらさんはうなずきました。

区分所有とは何か約2分

マンションのように、1棟の建物を複数の人が分けて持つことを区分所有といいます。分けて持つ各部屋のように、所有権の目的になる部分を専有部分といいます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 1条

構造上区分され、独立して住居や店舗などに使える部分は、それぞれ所有権の目的にできます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 1条

事例

Aはマンションの1室を買いました。その1室は独立して住めるので専有部分となり、Aの所有権の目的になります。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 1条

共用部分は、専有部分以外の部分です。廊下や階段室のように全員または一部の共用に供される部分は、区分所有権の目的になりません。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 4条1項

倉庫のように独立の建物と同様に使える外形があれば、共用設備があっても専有部分になると考えられています。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 1条

事例

各戸に付属する倉庫に共用の配管設備が通っていても、独立して使える外形があれば専有部分です。一方、管理人室は構造上独立していても共用部分とされることがあります。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 1条

規約で共用部分とすることもできます。そのときは、その旨の登記をしなければ第三者に対抗できません。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 4条2項

覚えるコマ

覚える専有部分と共用部分は、どう分かれるか?根拠 2条3項・4項
専有部分(2条3項)・区分所有権の目的たる建物の部分共用部分(2条4項)・専有部分以外の建物の部分・専有部分に属しない附属物・規約で共用部分とされた附属の建物規約で共用部分にしたときは、登記がなければ第三者に対抗できない(4条2項)。

専有部分以外が共用部分。規約で共用部分にするには登記が要る。

間違えやすいところ:管理人室は構造上独立していれば専有部分だと考えると間違える(共用部分とされることがある)

専有部分と共用部分は、どう分かれるか? 専有部分以外が共用部分。規約で共用部分にするには登記が要る。

要点

専有部分は独立して使える部分、共用部分はそれ以外です。規約で共用部分にするには登記が要ります。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 4条1項、建物の区分所有等に関する法律 4条2項

ひっかけ

構造上独立していれば必ず専有部分、ではありません。実際の使われ方や規約で共用部分となることがあります。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 1条、建物の区分所有等に関する法律 4条2項

共用部分の持分と敷地利用権約2分

この節でよく出るのは

  • ★ 5回各人の持分は、専有部分の床面積の割合で決まります。共用部分の…

共用部分は、区分所有者全員の共有に属します。一部の人の共用部分は、その人たちの共有です。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 11条1項

★ 過去問で5回

各人の持分は、専有部分の床面積の割合で決まります。共用部分の負担も利益も、規約に別段の定めがなければ、この持分に応じて分けます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 14条1項、建物の区分所有等に関する法律 19条

過去問に出た

床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積で計算します。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 14条3項

事例

Aの部屋が50平方メートル、Bの部屋が100平方メートルなら、共用部分の持分はAが3分の1、Bが3分の2です。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 14条1項

数字の比べ床面積が持分と議決権を決める

50㎡の部屋議決権は13分の1100㎡の部屋議決権は23分の2

持分は床面積の割合。議決権も、規約に別段の定めがなければ床面積の割合。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 14条1項、建物の区分所有等に関する法律 19条、建物の区分所有等に関する法律 38

共用部分の持分は、専有部分の処分に従います。専有部分と切り離して持分だけを売ることはできません。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 15条1項、建物の区分所有等に関する法律 15条2項

事例

Aが部屋をCに売ると、共用部分の持分も一緒にCへ移ります。持分だけを別の人に売ることはできません。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 15条1項

過去問に出た

敷地の利用権も、専有部分と分離して処分できません。規約で別段に定めれば別です。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 22条1項

事例過去問に出た

Aは部屋だけを売って、敷地の利用権は持ったままにする、ということはできません。規約で別段に定めれば別です。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 22条1項、建物の区分所有等に関する法律 22条2項

分離処分の禁止に違反した処分の無効は、善意の相手方に主張できません。登記した後は主張できます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 23条1項

覚えるコマ

覚える共用部分の持分と敷地利用権は、専有部分と別に売れるか?根拠 15条2項・22条1項
共用部分の持分専有部分と分離して処分できない(15条2項)敷地利用権専有部分と分離して処分できない(規約で別段可)(22条1項)分離処分の無効善意の相手方に主張できない(登記後は可)(23条)

専有部分と分離して処分できない。違反の無効は善意の相手方に主張できない。

間違えやすいところ:敷地利用権は、規約で別段の定めができる

共用部分の持分と敷地利用権は、専有部分と別に売れるか? 専有部分と分離して処分できない。違反の無効は善意の相手方に主張できない。

要点

持分も敷地利用権も、専有部分に付いて動きます。切り離して処分することはできません。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 15条2項、建物の区分所有等に関する法律 22条1項、建物の区分所有等に関する法律 24

ひっかけ

分離処分の禁止に違反した処分は、いつでも無効を主張できる、ではありません。善意の相手方には主張できません。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 23条1項

管理者約1分

この節でよく出るのは

  • ★ 2回管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有できま…

マンションの管理を進めるため、区分所有者は管理者を置けます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 3条

管理者は、規約に別段の定めがないかぎり、集会の決議で選任・解任されます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 25条1項

事例

A・B・Cの3人が区分所有者で、集会でBを管理者に選びました。Bは共用部分の保存や、集会の決議の実行を担います。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 25条1項

管理者は、職務に関して区分所有者を代理します。代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗できません。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 26条3項

管理者は、規約や集会の決議により、職務に関して区分所有者のために原告や被告になれます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 26条4項

★ 過去問で2回

管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有できます。これを管理所有といいます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 27条1項

過去問に出た

管理者が第三者と取引して負担した債務は、区分所有者が原則として床面積の割合に応じて負います(規約で負担割合を定めていればその割合)。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 29条1項

覚えるコマ

覚える管理者は、どう選び、どこまでの権限があるか?根拠 25条1項
選任・解任規約に別段の定めがない限り、集会の決議(25条1項)代理権の制限善意の第三者に対抗できない(26条3項)訴訟規約又は集会の決議で、原告又は被告となれる(26条4項)共用部分の所有規約に特別の定めがあるとき(27条1項)

集会の決議で選任・解任する。代理権の制限は善意の第三者に対抗できない。

間違えやすいところ:管理者が共用部分を所有できるのは、規約に特別の定めがあるときだけ

管理者は、どう選び、どこまでの権限があるか? 集会の決議で選任・解任する。代理権の制限は善意の第三者に対抗できない。

要点

管理者は集会の決議で選び、区分所有者を代理します。代理権の制限は善意の第三者に対抗できません。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 25条1項、建物の区分所有等に関する法律 26条3項

ひっかけ過去問に出た

管理者は登記がなくても共用部分を所有できる、ではありません。規約に特別の定めがあるときに限られます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 27条1項

管理組合法人約1分

区分所有者は全員で、建物の管理を行う団体をつくります。いわゆる管理組合です。この団体が法人になることもあります。これが管理組合法人です。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 47条1項、建物の区分所有等に関する法律 3条

過去問に出た

法人になるには、集会に出席した区分所有者とその議決権の各4分の3以上で決議し、名称と事務所を定めて登記します。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 47条1項

事例過去問に出た

A・B・Cの集会で、管理組合法人となる旨を議決し、登記しました。この時から法人として契約や訴訟ができます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 47条1項

管理組合法人には理事と監事を置きます。理事が数人あるときは各自が法人を代表し、代理権の制限は、善意の第三者に対抗できません。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 49条4項、建物の区分所有等に関する法律 47条7項

理事の任期は2年です。規約で3年以内の別段の期間を定めれば、その期間になります。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 49条6項

過去問に出た

法人の財産で債務を完済できないときは、区分所有者が原則として床面積の割合で弁済の責めを負います。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 53条1項

覚えるコマ

覚える管理組合法人にするには、どんな決議が要るか?根拠 47条1項
法人化出席した区分所有者及び議決権の各4分の3以上(47条1項)理事の任期2年。規約で3年以内に変えられる(49条6項)理事が数人各自が管理組合法人を代表(49条4項)債務の弁済財産で足りないとき、区分所有者が14条の割合で負う(53条1項)

出席者と議決権の各4分の3以上の決議。理事の任期は2年。

間違えやすいところ:理事の任期は、規約で3年以内にできる。債務は区分所有者が14条の割合で負う

管理組合法人にするには、どんな決議が要るか? 出席者と議決権の各4分の3以上の決議。理事の任期は2年。

要点過去問に出た

法人化は出席者の各4分の3以上、理事の任期は2年、債務は床面積の割合で負います。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 47条1項、建物の区分所有等に関する法律 49条6項、建物の区分所有等に関する法律 53条1項

ひっかけ

理事の任期は必ず2年、ではありません。規約で3年以内の別段の期間を定められます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 49条6項

集会の招集と決議約3分

過去問に出た

集会は管理者が招集します。管理者は少なくとも毎年1回、集会を招集しなければなりません。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 34条2項

区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を持つ人は、集会の招集を請求できます。この定数は規約で減らせます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 34条3項

請求しても所定の通知が出されないときは、請求した人が自分で集会を招集できます。管理者がいないときも同じ定数の人が招集できます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 34条4項、建物の区分所有等に関する法律 34条5項

召集の通知は、会日の少なくとも1週間前に、目的の事項と議案の要領を示して発します。この期間は規約で伸ばせます。通知は、区分所有者が管理者に知らせた場所にあてて発し、知らせていないときは専有部分の所在場所にあてて発せば足ります。この通知は、通常届くべき時に届いたものとみなされます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 35条1項、建物の区分所有等に関する法律 35条3項

事例

Aは集会の招集を求めましたが、管理者が動きませんでした。Aは自分で集会を招集できます。招集通知は会日の1週間前に出します。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 34条4項、建物の区分所有等に関する法律 35条1項

過去問に出た

区分所有者(議決権を有しないものを除く。)全員の同意があれば、招集の手続を経ずに集会を開けます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 36

過去問に出た

集会の議事は、法律や規約に別段の定めがなければ、出席した区分所有者と議決権の各過半数で決まります。議事録は議長が作り、書面のときは、議長と出席した区分所有者の二人が署名します。議長は、規約に別段の定めや別段の決議がなければ、管理者か、集会を招集した区分所有者の一人がなります。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 39条1項、建物の区分所有等に関する法律 42条3項、建物の区分所有等に関する法律 41条

議決権は書面や代理人でも行使できます。電磁的方法は、規約か集会の決議があるときに使えます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 39条2項、建物の区分所有等に関する法律 39条3項

過去問に出た

各区分所有者の議決権は、規約に別段の定めがなければ床面積の割合によります。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 38

事例

Aの部屋が50平方メートル、Bが100平方メートルなら、議決権はAが1、Bが2です。Bの方が重い議決権を持ちます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 38

過去問に出た

1つの専有部分を数人で共有しているときは、持分の価格の過半数で議決権を行使する人を1人定めます。区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する人は、会議の目的事項に利害関係があれば、集会に出席して意見を述べられます。議決権は区分所有者が持つものです。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 40、建物の区分所有等に関する法律 44条1項、建物の区分所有等に関する法律 38

過去問に出た

区分所有者(議決権を有しないものを除く。)全員の承諾があれば、集会を開かずに書面や電磁的方法で決議できます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 45条1項

覚えるコマ

覚える集会の招集は、いつ通知し、だれが請求できるか?根拠 35条1項
招集の通知会日より少なくとも1週間前(35条1項)招集の請求区分所有者及び議決権の各5分の1以上(34条3項)管理者の招集少なくとも毎年1回(34条2項)普通決議出席した区分所有者及び議決権の各過半数(39条1項)

通知は会日の1週間前まで。請求は各5分の1以上の区分所有者。

間違えやすいところ:建替え決議の集会だけは、招集通知を会日の2月前に発する(普通は1週間前)

集会の招集は、いつ通知し、だれが請求できるか? 通知は会日の1週間前まで。請求は各5分の1以上の区分所有者。

要点

普通決議は出席者の各過半数です。招集の請求は5分の1以上、通知は1週間前です。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 39条1項、建物の区分所有等に関する法律 34条3項、建物の区分所有等に関する法律 35条1項

ひっかけ

議決権は人数で数えるだけではありません。人数と議決権の両方を見ます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 39条1項

規約約1分

この節でよく出るのは

  • ★ 2回規約の設定・変更・廃止は、集会で出席した区分所有者とその議決…

建物や敷地の管理・使用についての区分所有者間のルールが規約です。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 3条

★ 過去問で2回

規約の設定・変更・廃止は、集会で出席した区分所有者とその議決権の各4分の3以上で決議します。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 31条1項

規約の設定・変更・廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、その人の承諾が要ります。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 31条1項

事例

集会で、Aの専用使用権を取り上げる規約の変更を決めようとしました。Aの権利に特別の影響があるので、Aの承諾がなければできません。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 31条1項

規約は書面または電磁的記録で作成します。保管する人は、正当な理由がないかぎり利害関係人の閲覧を拒めません。最初に専有部分の全部を所有する人は、公正証書で規約共用部分や規約敷地などの規約を設定できます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 30条5項、建物の区分所有等に関する法律 33条1項、建物の区分所有等に関する法律 33条2項、建物の区分所有等に関する法律 32条

規約や集会の決議は、区分所有者の特定承継人にも効力を生じます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 46条1項

覚えるコマ

覚える規約を変更するには、どんな決議が要るか?根拠 31条1項
その変更は、一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすか?はい4分の3以上の決議に加え、その承諾が要る(31条1項)いいえ出席した区分所有者及び議決権の各4分の3以上の決議(31条1項)規約の設定・変更・廃止は、どれも同じ要件。

出席者と議決権の各4分の3以上。特別の影響を受ける人の承諾も要る。

間違えやすいところ:4分の3以上の決議だけで、一部の区分所有者に特別の影響があっても変更できると考えると間違える

規約を変更するには、どんな決議が要るか? 出席者と議決権の各4分の3以上。特別の影響を受ける人の承諾も要る。

要点

規約の変更は出席者の各4分の3以上です。特別の影響を受ける人には承諾が要ります。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 31条1項

ひっかけ

規約の変更が4分の3以上で決まれば、誰の権利にも影響させられる、ではありません。特別の影響には承諾が要ります。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 31条1項

義務違反者への措置約2分

場面

森さんのマンションで、ある住民が部屋を店舗に作り変えました。夜遅くまで客が出入りして、ほかの住民が困っています。「やめさせるには、どうすればいいですか」と森さんは聞きました。木村健一さんは「建物はみんなで使うものだから、共同の利益に反する行為は止められる。ただ、訴えるには集会の決議が要るんだ」と答えました。森さんは、集会を開く準備を始めました。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 6条1項、建物の区分所有等に関する法律 57条1項、建物の区分所有等に関する法律 57条2項

区分所有者は、建物の保存に有害な行為や、共同の利益に反する行為をしてはなりません。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 6条1項

そのような行為があるときは、他の区分所有者の全員または管理組合法人が、行為の停止などの必要な措置を請求できます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 57条1項

事例

Aが自分の部屋を違法な店舗に改造し、他の住民に迷惑をかけました。他の区分所有者は、Aに行為の停止を求められます。共同の利益のためです。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 57条1項

訴訟を提起するには集会の決議が要ります。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 57条2項

左右の比較停止の請求と使用禁止の請求

停止などの請求使用禁止の請求障害の程度共同の利益に反する行為共同生活上の障害が著しい請求の中身停止・除去・予防の措置専有部分の使用の禁止集会の決議訴えるときに要る出席者の各4分の3以上

使用禁止の決議の前に、その区分所有者へ弁明の機会を与える。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 57条1項、建物の区分所有等に関する法律 57条2項、建物の区分所有等に関する法律 58条1項、建物の区分所有等に関する法律 58条2項、建物の区分所有等に関する法律 58条3項

障害が著しく、ほかの方法では除去が難しいときは、集会の決議で専有部分の使用禁止を請求できます。決議は出席者の各4分の3以上です。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 58条1項、建物の区分所有等に関する法律 58条2項

使用禁止の決議をするには、あらかじめその区分所有者に弁明の機会を与えなければなりません。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 58条3項

競売の請求も同じ要件です。判決に基づく競売の申立ては、判決が確定した日から6月を過ぎるとできません。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 59条1項、建物の区分所有等に関する法律 59条3項

競売を申し立てられた区分所有者や、その計算で買おうとする人は、買受けの申出ができません。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 59条4項

事例

Aの区分所有権の競売が判決で認められました。Aは自分で買い受ける申出ができません。申立ては判決確定から6月以内にする必要があります。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 59条3項、建物の区分所有等に関する法律 59条4項

占有者が障害を著しく生じさせたときは、集会の決議で、契約の解除と引渡しを請求できます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 60条1項

覚えるコマ

覚える義務違反者への措置は、どんな決議が要るか?根拠 58条〜59条
使用禁止の請求弁明の機会を与え、各4分の3以上の決議(58条)競売請求各4分の3以上の決議(59条2項)判決の確定後確定の日から6月以内に競売を申し立てる(59条3項)行為の停止を求める訴訟も、集会の決議が要る(57条2項)。

使用禁止と競売請求は各4分の3以上の決議。競売の申立ては6月以内。

間違えやすいところ:競売を申し立てられた区分所有者は、買受けの申出ができない

義務違反者への措置は、どんな決議が要るか? 使用禁止と競売請求は各4分の3以上の決議。競売の申立ては6月以内。

要点

措置を求める訴訟の提起には集会の決議が要ります。使用禁止と競売は出席者の各4分の3以上、競売の申立ては6月以内です。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 58条2項、建物の区分所有等に関する法律 59条3項

ひっかけ

使用禁止の決議は、事前に弁明の機会を与えなければできません。手続を飛ばすと無効になります。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 58条3項

復旧と建替え約3分

場面

森さんのマンションでは、古くなった建物を建て替えようという声も出ています。「過半数が賛成すれば、建て替えられますよね」と森さんは聞きました。木村健一さんは「建物を壊して建て直す大きな決めごとだから、割合も高い。区分所有者と議決権の各5分の4以上が要るんだ」と答えました。佐藤さくらさんは、通知は会日の2月前、説明会は1月前だと、あわせて覚えました。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 62条1項、建物の区分所有等に関する法律 62条2項、建物の区分所有等に関する法律 62条6項、建物の区分所有等に関する法律 62条8項

建物の一部が滅失したときは、まず復旧を考えます。軽い滅失か重い滅失かで、手続が違います。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 61条1項

建物の価格の2分の1以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者が自分の部分と共用部分を復旧できます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 61条1項

事例

Aの部屋だけが火事で焼けました。建物全体の価格の2分の1以下の滅失なので、Aは自分の部屋と共用部分を復旧できます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 61条1項

過去問に出た

それを超える滅失では、集会に出席した区分所有者とその議決権の各3分の2以上で、復旧を決議します。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 61条5項

表
決議要件
規約の設定・変更・廃止出席した区分所有者と議決権の各4分の3以上
管理組合法人の設立出席した区分所有者と議決権の各4分の3以上
大規模滅失の復旧出席した区分所有者と議決権の各3分の2以上
建替え決議区分所有者と議決権の各5分の4以上(安全基準に適合しないときは4分の3)

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 31条1項、建物の区分所有等に関する法律 47条1項、建物の区分所有等に関する法律 61条5項、建物の区分所有等に関する法律 62条1項

数字の比べ決議に必要な賛成の割合

普通決議出席者で数える過半数大規模復旧出席者で数える3分の2以上規約の変更出席者で数える4分の3以上建替え特例安全基準に不適合4分の3以上建替え決議全体で数える5分の4以上

どれも人数と議決権の両方で数える。建替えは、出席者ではなく区分所有者全体で数える。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 39条1項、建物の区分所有等に関する法律 42条3項、建物の区分所有等に関する法律 41条、建物の区分所有等に関する法律 61条5項、建物の区分所有等に関する法律 31条1項、建物の区分所有等に関する法律 47条1項、建物の区分所有等に関する法律 62条1項、建物の区分所有等に関する法律 62条2項

建替えの決議は、区分所有者と議決権の各5分の4以上の多数でします。建物が地震や火災への安全性の基準に適合しないなど、法律が定める事由に当たるときは、各4分の3以上で足ります。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 62条1項、建物の区分所有等に関する法律 62条2項

建替えを議題とする集会の通知は、会日の少なくとも2月前に発します。会日の1月前までに説明会も開きます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 62条6項、建物の区分所有等に関する法律 62条8項

事例

Aは古いマンションの建替えを進めようとしています。集会の通知は会日の2月前に発し、1月前までに説明会を開きます。建替え決議は各5分の4以上です。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 62条1項、建物の区分所有等に関する法律 62条6項、建物の区分所有等に関する法律 62条8項

時系列建替え決議までの通知と説明会

会日の2月前集会の通知を出す会日の1月前説明会を開く(この日まで)会日建替え決議(各5分の4以上)

通知の期間は、規約で伸ばせる。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 62条1項、建物の区分所有等に関する法律 62条2項、建物の区分所有等に関する法律 62条6項、建物の区分所有等に関する法律 62条8項

建替え決議に賛成しなかった区分所有者は、催告を受けた日から2月以内に参加するかどうかを回答します。答えなければ不参加とみなされます。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 63条3項、建物の区分所有等に関する法律 63条4項

覚えるコマ

覚える復旧・建替えの決議は、どれだけの多数が要るか?根拠 61条5項・62条1項
小規模滅失価格の2分の1以下。各区分所有者が復旧できる(61条1項)大規模滅失の復旧出席した区分所有者及び議決権の各3分の2以上(61条5項)建替え区分所有者及び議決権の各5分の4以上(62条1項)建替え(特例)安全性の基準に適合しないとき、各4分の3以上(62条2項)

大規模滅失の復旧は各3分の2以上、建替えは各5分の4以上。

間違えやすいところ:地震に対する安全性の基準に適合しない建物の建替えは、各4分の3以上でよい

復旧・建替えの決議は、どれだけの多数が要るか? 大規模滅失の復旧は各3分の2以上、建替えは各5分の4以上。

要点

建替えは各5分の4以上、安全基準に適合しないときは各4分の3以上です。通知は2月前、説明会は1月前です。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 62条1項、建物の区分所有等に関する法律 62条2項

ひっかけ

建替え決議はいつでも5分の4以上、ではありません。安全基準に適合しないときは4分の3以上で足ります。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 62条2項

本試験ではこう出ます

本試験では「規約の変更を、出席者の各過半数で決議した」のように出ます。決議の種類ごとの割合と、数える対象を読み取ります。

根拠: 建物の区分所有等に関する法律 31条1項、建物の区分所有等に関する法律 39条1項、建物の区分所有等に関する法律 42条3項、建物の区分所有等に関する法律 41条

まとめ

  • 独立して使える部分は専有部分、それ以外は共用部分です。規約で共用部分とするには登記が必要です。
  • 共用部分の持分も敷地利用権も、専有部分に付いて動き、切り離して処分できません。
  • 管理者は集会の決議で選任・解任され、区分所有者を代理します。代理権の制限は善意の第三者に対抗できません。
  • 管理組合法人になるには出席者の各4分の3以上の決議と登記が必要で、理事の任期は2年です。
  • 集会は毎年1回以上開かれ、招集の請求は5分の1以上、通知は会日の1週間前です。
  • 規約の設定・変更・廃止は出席者の各4分の3以上で、特別の影響を受ける人には承諾が必要です。
  • 義務違反者への措置を求める訴訟の提起には集会の決議が要り、使用禁止と競売は出席者の各4分の3以上です。
  • 大規模滅失の復旧は出席者の各3分の2以上、建替え決議は各5分の4以上(安全基準に適合しないときは各4分の3以上)です。
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