重要事項説明①(説明の仕組みと方法)
この単元のはじまりの場面
6月、田中大輔さんと美咲さん夫婦が、山本和子さんの一戸建て(3,000万円)を買いたいと、みなと不動産に申し込みました。佐藤さくらさんは「契約書に署名してもらってから、まとめて説明すればいいですか」と聞きました。木村健一さんは「それでは遅いんだ。説明は、契約が成立するまでの間にするものだからね」と答えました。契約の前に、取引士の木村さんが取引士証を示して、買う側の田中さん夫婦に説明しました。
重要事項説明とは約2分
業者は、契約が成立する前に、物件や契約の大事な点を説明します。これが重要事項説明です。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項
説明は書面を渡して行います。ふつうは「重要事項説明書」という書面を渡し、取引士がそれを見せながら説明します。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項
説明する相手は、物件を取得し、または借りようとしている人です。媒介の場合は、契約の各当事者のうち取得する側に説明します。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項
人物関係図媒介のとき、説明を受ける人
説明を受けるのは、買う側の田中さん夫婦。売主の山本さんは、この説明の相手にはならない。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項
交換では、双方が相手の物件を取得します。そのため、双方に説明します。ただし、説明するのは、説明を受ける人が取得する物件についてです。説明を受ける人がもともと持っている物件を、その人に説明する義務はありません。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項
山本さん(売主)、田中さん夫婦(買主)、みなと不動産(媒介)の例です。みなと不動産は買う立場の田中さん夫婦に重要事項を説明しますが、売る立場の山本さんには、この説明は要りません。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項
覚えるコマ
買主・借主・交換の双方が相手。売主・貸主は相手にならない。
間違えやすいところ:37条書面の交付の相手(売買・交換は契約の各当事者)と取り違える
重要事項の説明を受けるのは、だれか? 買主・借主・交換の双方が相手。売主・貸主は相手にならない。
説明の相手は取得する側です。売主や貸主は、説明の相手にはなりません。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項
いつ説明するか約1分
この節でよく出るのは
- ★ 2回説明は、契約が成立するまでの間に行います。申込みの前である必…
説明は、契約が成立するまでの間に行います。申込みの前である必要はありません。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項
契約が成立した後の説明は、たとえ引渡し前でも、時期に違反します。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項
時系列重要事項説明をする時期
区切りは契約の成立。申込みの前に済ませる必要はない。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項
物件の現場で説明する場合でも、契約の締結までの間に、改めて取引士が重要事項の全体を説明します。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項、宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 35条1項関係
みなと不動産は、田中さん夫婦から買受けの申込みを受けました。みなと不動産は、まだ契約を結んでいない段階で、重要事項を説明します。契約書に署名した後にまとめて説明するのでは、遅すぎます。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項
覚えるコマ
契約が成立するまでの間にする。成立後では遅い。
間違えやすいところ:37条書面は、契約が成立した後に遅滞なく交付する(時期が逆)
重要事項の説明は、いつまでにするか? 契約が成立するまでの間にする。成立後では遅い。
業者間なら説明は省略できる。書面の交付は省略できない。
間違えやすいところ:書面の交付まで省略できると取り違える(取引士の記名も要る)
相手方が宅建業者のとき、重要事項の説明はどうなるか? 業者間なら説明は省略できる。書面の交付は省略できない。
区切りは契約の成立で、その前に済ませます。申込みの前とは限りません。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項
引渡しの前に説明すればよい、は誤りです。契約が成立するまでの間です。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項
だれが説明するか約1分
この節でよく出るのは
- ★ 2回提示は請求がなくても必要です。ふつうの場面では請求がきっかけ…
説明する取引士は、専任の取引士でなくてもよいと考えられています。事務所に所属する取引士であれば足ります。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項
取引士は、説明をするとき、相手に取引士証を提示します。請求がなくても必要です。取引士証をなくして再交付の申請中は手元にないので、再交付を受けるまで説明できません。
根拠: 宅地建物取引業法 35条4項
書面を交付するときは、取引士が書面に記名します。押印までは求められていません。
根拠: 宅地建物取引業法 35条5項
みなと不動産の宅地建物取引士・木村健一さんが、田中さん夫婦に説明します。田中さん夫婦が求めなくても、木村さんは取引士証を示し、説明の書面に記名します。印は押しません。
根拠: 宅地建物取引業法 35条4項、宅地建物取引業法 35条5項
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説明は宅地建物取引士が行い、取引士証は請求がなくても提示する。
間違えやすいところ:22条の4の提示は、請求があったときだけ(35条4項と取り違える)
重要事項の説明をするのは、だれか。取引士証はいつ示すか? 説明は宅地建物取引士が行い、取引士証は請求がなくても提示する。
提示は請求がなくても必要です。ふつうの場面では請求がきっかけなので、そこが違います。
根拠: 宅地建物取引業法 35条4項、宅地建物取引業法 22条の4
業者間の取引約1分
みなと不動産が持っていた土地を、同業の北町ホームに売ることになりました。佐藤さんは「相手が不動産業者なら、書面もいらないですよね」と聞きました。木村さんは「説明は省けるけど、書面は渡すんだ。取引士の記名も要るよ」と答えました。
根拠: 宅地建物取引業法 35条6項
相手が宅地建物取引業者であるときは、説明を省けます。書面の交付だけで足ります。
根拠: 宅地建物取引業法 35条6項
省略できるのは説明だけです。書面の交付は省けません。
根拠: 宅地建物取引業法 35条6項
左右の比較相手が業者のときと、そうでないとき
省けるのは説明だけ。書面の交付と記名は、業者間でも残る。
根拠: 宅地建物取引業法 35条6項、宅地建物取引業法 35条7項
業者間でも、交付する書面には取引士の記名が必要です。
根拠: 宅地建物取引業法 35条7項
みなと不動産が、北町ホームに土地を売ります。北町ホームは宅建業者なので、みなと不動産は説明を省けますが、書面の交付は必要です。その書面には取引士の記名が要ります。
根拠: 宅地建物取引業法 35条6項、宅地建物取引業法 35条7項
業者間では説明を省けても、書面は残ります。説明と交付は別の義務です。
根拠: 宅地建物取引業法 35条6項
宅建業者間なら、書面の交付も省ける、は誤りです。省けるのは説明だけです。
根拠: 宅地建物取引業法 35条6項
電磁的方法で提供するとき約2分
相手の承諾を得れば、書面を交付するかわりに、電子メールのような方法で提供できます。
根拠: 宅地建物取引業法 35条8項
提供するのは取引士です。電磁的でも、説明そのものは残ります。
根拠: 宅地建物取引業法 35条8項
承諾は、口で言ってもらうだけでは足りません。あらかじめ方法と内容を示し、書面などで承諾を得ます。
根拠: 宅地建物取引業法施行令 3条の3第1項
あとから電子で受けない旨の申出があれば、提供してはいけません。再び承諾を得れば、また提供できます。
根拠: 宅地建物取引業法施行令 3条の3第2項
判定の流れ書面のかわりに電子で提供できるか
申出のあとでも、再び承諾を得れば、また提供できる。
根拠: 宅地建物取引業法 35条8項、宅地建物取引業法施行令 3条の3第1項、宅地建物取引業法施行令 3条の3第2項
提供したときは、書面を交付したものとみなされます。記名にかわる措置として、書面の交付にかかわった取引士が分かるようにします。
根拠: 宅地建物取引業法 35条8項、宅地建物取引業法施行規則 16条の4の8第2項4号
みなと不動産は、田中さん夫婦に重要事項を電子メールで送ろうとしています。みなと不動産は、あらかじめ送信方法を示し、田中さん夫婦から書面で承諾を得ます。口頭の承諾だけでは足りません。
根拠: 宅地建物取引業法施行令 3条の3第1項
覚えるコマ
相手方の承諾を書面等で得る。説明義務は残る。
間違えやすいところ:口頭の承諾でよい、説明も省ける、と取り違える
重要事項の書面を電磁的方法で提供するには、何が要るか? 相手方の承諾を書面等で得る。説明義務は残る。
承諾と申出は別です。承諾があっても、申出があれば送れません。
根拠: 宅地建物取引業法施行令 3条の3第2項
電子で送れば、取引士の説明も要らなくなる、は誤りです。説明は取引士が行います。
根拠: 宅地建物取引業法 35条8項
IT重説(テレビ会議など)約2分
遠くに住む中村翔さんが、アパートを借りたいと言ってきました。会社まで来られないので、木村さんはテレビ会議で重要事項を説明することにしました。佐藤さんは「画面越しなら、取引士証は示さなくていいですか」と聞きました。木村さんは「画面に映して示すんだ。書面も、説明の前に先に届けておく」と答えました。
根拠: 宅地建物取引業法 35条4項、宅地建物取引業法 35条1項
テレビ会議などを使う説明は、一定の条件を満たしたときに、対面と同じ扱いになります。条件は、解釈・運用の考え方に示されています。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項、宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 35条1項関係
テレビ会議でも、取引士証の提示は省略できません。取引士が記名した書面も、説明の前に、相手へ交付(電磁的方法による提供を含む)しておきます。
根拠: 宅地建物取引業法 35条4項、宅地建物取引業法 35条1項、宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 35条1項関係
みなと不動産は、遠方の中村翔さんにテレビ会議で重要事項を説明しました。中村さんが画面で見られるよう、取引士証を示します。説明の書面は、説明の前に、あらかじめ交付するか、承諾を得て電子で送っておきます。
根拠: 宅地建物取引業法 35条4項、宅地建物取引業法 35条8項、宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 35条1項関係
覚えるコマ
取引士証の提示と書面の交付は、IT重説でも省略できない。
間違えやすいところ:IT重説は賃貸借だけで、売買には使えない、と取り違える
IT重説(テレビ会議など)で、省略できないものは? 取引士証の提示と書面の交付は、IT重説でも省略できない。
方法は柔軟でも、守るべきことは変わりません。提示・説明・書面がそろいます。
根拠: 宅地建物取引業法 35条4項、宅地建物取引業法 35条1項
テレビ会議なら、取引士証の提示は不要、は誤りです。提示は省略できません。
根拠: 宅地建物取引業法 35条4項
建物状況調査約1分
| 項目 | 決まり |
|---|---|
| 調べる人 | 調査をするのは、知識と能力がある一定の建築士。講習を終えた人が担当する。 |
| 媒介契約の書面 | 中古の建物を売る媒介契約の書面には、この調査のあっせんについて記載する。新築の建物では記載しない。 |
| あっせんの料金 | 調査のあっせんの料金は、報酬とは別に受け取れない。 |
| 重要事項説明 | 既存の建物について、調査を実施したかどうかと、結果の概要を説明する。設計図書や点検記録の保存の状況も説明する。 |
| 業者の実施義務 | ない。 |
| 説明の対象になる調査 | 実施後1年を経過していないもの。鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の共同住宅等は2年。 |
根拠: 宅地建物取引業法 34条の2第1項4号、宅地建物取引業法 35条1項6号の2、宅地建物取引業法施行規則 16条の2の2
みなと不動産は、中古の建物の売買を媒介します。山本さんから依頼されたみなと不動産は、媒介契約の書面に調査のあっせんについて記載します。田中さん夫婦への説明では、調査をしたかどうかと、その結果の概要を伝えます。
根拠: 宅地建物取引業法 34条の2第1項4号、宅地建物取引業法 35条1項6号の2
覚えるコマ
あっせんの記載、結果の説明、確認事項の記載をする。
間違えやすいところ:業者に調査を実施する義務がある、と取り違える
既存の建物の売買で、建物状況調査はどう扱うか? あっせんの記載、結果の説明、確認事項の記載をする。
中古では説明し、新築では説明しません。期間も、1年と2年で分かれます。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項6号の2、宅地建物取引業法施行規則 16条の2の2