重要事項説明②(記載事項)
この単元で分かること
- どの契約でも共通して説明する事項を学びます。
- 契約の種類によって変わる事項を見分けられるようにします。
- 割賦販売や区分所有建物、区域の追加事項を学びます。
この単元のはじまりの場面
説明事項の全体像約1分
重要事項説明で伝えることは、条文の各号に並んでいます。そこに省令で足す事項も加わります。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項
さらに、割賦販売や区分所有建物、区域の指定など、場面ごとの追加事項があります。
根拠: 宅地建物取引業法 35条2項、宅地建物取引業法施行規則 16条の4の3
みなと不動産が、田中さんに中古マンションの一室を売ります。登記の権利や設備の状況などの共通の事項に加えて、区分所有建物ならではの事項も説明します。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項、宅地建物取引業法施行規則 16条の2
説明事項は、共通の事項、契約の種類で変わる事項、場面ごとの追加事項の3つに分かれます。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項
説明事項はどの契約でも同じ、は誤りです。契約の種類で変わります。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項3号
契約の種類を問わず説明する事項約1分
| 説明する事項 | 内容 |
|---|---|
| 登記された権利 | 物件の上にある登記された権利の種類と内容、その名義人、所有者の氏名。 |
| 飲用水・電気・ガス・排水 | 施設の整備の状況。整っていないときは、整備の見通しと特別な負担も伝える。 |
| 工事の完了前の物件 | 工事が完了したときの形状や構造。 |
| 代金・借賃以外の金銭 | 授受される金銭があるときは、その額と目的。 |
| 契約の解除 | 契約の解除に関する事項。 |
| 損害賠償額の予定・違約金 | 損害賠償額の予定(損害を金銭で補う取り決め)や違約金(違反したときに払うお金)に関する事項。 |
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項1号、宅地建物取引業法 35条1項4号、宅地建物取引業法 35条1項5号、宅地建物取引業法 35条1項7号、宅地建物取引業法 35条1項8号、宅地建物取引業法 35条1項9号
みなと不動産は、田中さんに土地を売ります。登記された抵当権の内容と名義人、水道がまだ引かれていないことと整備の見通し、違約金の定めを説明します。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項1号、宅地建物取引業法 35条1項4号
覚えるコマ
措置を講ずるかどうかも説明する。講じる場合に限らない。
間違えやすいところ:措置を講じる場合だけ説明する、と取り違える
契約不適合の責任の措置を講じないときは、説明しなくてよいか? 措置を講ずるかどうかも説明する。講じる場合に限らない。
設備の整備の状況は貸借だけの事項、は誤りです。どの契約でも説明します。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項4号
契約の種類で変わる事項約1分
田中さん夫婦は「住宅ローンが組める銀行を紹介してください」と、みなと不動産に頼みました。佐藤さんは「銀行の紹介も、説明の対象ですか」と聞きました。木村さんは「代金を払うための借入れのあっせんだから、説明するんだ。借りられなかったときの措置もね」と答えました。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項12号
| 事項 | どこで説明するか |
|---|---|
| 私道の負担 | 建物の貸借以外の契約で説明する。宅地の貸借は建物の貸借ではないので、説明の対象になる。 |
| 金銭の貸借のあっせん | 代金や交換差金についてのもの。代金のない貸借では、あっせんの説明は要らない。 |
| 手付金等の保全措置 | 手付金等を受け取るときは、その保全措置の概要を説明する。保全措置とは、業者が倒産しても預かったお金が返るようにする保証などのこと。 |
| 契約不適合を担保する措置 | 契約不適合を担保する措置を講じるかどうかを説明する。契約不適合とは、種類や品質が契約の内容に合わないこと。 |
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項3号、宅地建物取引業法 35条1項12号、宅地建物取引業法 35条1項10号、宅地建物取引業法 35条1項13号
みなと不動産は、田中さんの住宅ローンを銀行から借りられるように取り持ちました。代金の支払いについてのあっせんなので、あっせんの内容と、借りられなかったときの措置を説明します。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項12号
覚えるコマ
私道の負担は、建物の貸借では説明しない。宅地の貸借は説明する。
間違えやすいところ:設備や契約期間など、貸借で説明する事項と取り違える
私道の負担は、貸借でも説明するか? 私道の負担は、建物の貸借では説明しない。宅地の貸借は説明する。
割賦販売のときの追加事項約1分
割賦販売とは、代金の全部または一部を、引渡し後1年以上にわたり、2回以上に分けて受け取る販売です。
根拠: 宅地建物取引業法 35条2項
時系列割賦販売になる分割払い
引渡し後に、2回以上の分割で、1年以上。引渡し前の分割は割賦販売にならない。
根拠: 宅地建物取引業法 35条2項
割賦販売では、共通の事項に加えて、現金販売価格と割賦販売価格を説明します。
根拠: 宅地建物取引業法 35条2項1号、宅地建物取引業法 35条2項2号
引渡しまでに支払う金銭の額と、賦払金の額、その支払の時期と方法も説明します。
根拠: 宅地建物取引業法 35条2項3号
みなと不動産は、田中さんに建売住宅を割賦で売ります。代金を引渡し後2年で12回に分けて受け取ります。現金販売価格と割賦販売価格の両方、そして毎回の支払額と時期を説明します。
根拠: 宅地建物取引業法 35条2項
覚えるコマ
引渡し後1年以上、2回以上に分けて受領する売買が割賦販売。
間違えやすいところ:割賦販売の事項は貸借でも説明する、と取り違える
割賦販売とは、どんな売買か? 引渡し後1年以上、2回以上に分けて受領する売買が割賦販売。
割賦販売かどうかは、引渡し後に受け取ること、1年以上、2回以上に分けることの3つで決まります。
根拠: 宅地建物取引業法 35条2項
引渡し前に分割して受け取るのも割賦販売、は誤りです。引渡し後の分割が要件です。
根拠: 宅地建物取引業法 35条2項
区分所有建物の事項約2分
マンションのような区分所有建物では、特有の事項を説明します。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の2
敷地に関する権利の種類と内容、共用部分に関する規約の定め、専有部分の用途などの利用制限の規約を説明します。規約がまだ案の段階でも、その案の内容を説明します。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の2第1号、宅地建物取引業法施行規則 16条の2第2号、宅地建物取引業法施行規則 16条の2第3号
一部を特定の者だけに使わせる規約や、費用を特定の者だけ減免する規約があれば、その内容も説明します。修繕積立の定めと、積み立てられた額も説明します。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の2第4号、宅地建物取引業法施行規則 16条の2第5号、宅地建物取引業法施行規則 16条の2第6号
管理を委託しているときは、受託者の氏名と住所を説明します。管理者等が管理組合から委託を受けて管理事務をするマンション管理業者であるときは、その旨も説明します。建物の貸借では、説明する事項が限られ、専有部分の利用制限と、管理の委託先だけです。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の2第8号、宅地建物取引業法施行規則 16条の2第9号、宅地建物取引業法施行規則 16条の2
判定の流れ区分所有建物の説明事項(売買と貸借)
区分所有建物の事項は、売買では多く、貸借では2つだけ。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の2
みなと不動産は、田中さんにマンションの一室を売ります。敷地の権利、共用部分の規約、修繕のために積み立てられた額、管理会社の名称を説明します。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の2第1号、宅地建物取引業法施行規則 16条の2第2号、宅地建物取引業法施行規則 16条の2第6号、宅地建物取引業法施行規則 16条の2第8号
覚えるコマ
貸借で説明するのは、専有部分の利用制限と管理の委託先だけ。
間違えやすいところ:売買で説明する、共用部分の規約や積立金と取り違える
マンションの貸借で説明する規約の事項は、どれか? 貸借で説明するのは、専有部分の利用制限と管理の委託先だけ。
区域・ハザードマップ・調査の事項約2分
この節でよく出るのは
- ★ 2回水害のハザードマップに物件の位置が示されていれば、その所在地…
- ★ 2回建物について、石綿が使われているかどうかの調査結果が記録され…
物件が一定の区域の中にあるときは、その旨を説明します。造成宅地防災区域(造成した宅地の災害を防ぐために指定される区域)、土砂災害警戒区域、津波災害警戒区域です。売買や交換では、急傾斜地崩壊危険区域や津波防護施設区域に係る制限の概要も説明します。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の4の3第1号、宅地建物取引業法施行規則 16条の4の3第2号、宅地建物取引業法施行規則 16条の4の3第3号、宅地建物取引業法施行令 3条1項44号、宅地建物取引業法施行令 3条1項41号
水害のハザードマップに物件の位置が示されていれば、その所在地を説明します。これらは、宅地か建物か、売買か貸借かを問いません。建物の貸借で説明する法令上の制限は、新住宅市街地開発法など三つの法律のものに限られます。売買や交換では、歴史的風致の維持向上に関する法律に基づく制限(歴史的風致形成建造物に関するもの)も説明します。宅地の貸借では、売買とほぼ同じ制限を説明しますが、政令で除かれたもの(重要文化財の譲渡の制限など)は説明しません。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の4の3第3号の2、宅地建物取引業法施行令 3条3項、宅地建物取引業法施行令 3条1項22号、宅地建物取引業法施行令 3条2項
建物について、石綿が使われているかどうかの調査結果が記録されていれば、その内容を説明します。耐震診断を受けた古い建物も同じです。この2つは、建物の売買でも貸借でも説明します。既存の建物では、建物状況調査を実施しているかどうかと、実施していればその結果の概要も説明します。これも売買でも貸借でも同じです。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の4の3第4号、宅地建物取引業法施行規則 16条の4の3第5号、宅地建物取引業法 35条1項6号の2
みなと不動産が、田中さんに土地を売ります。その土地は土砂災害警戒区域の中にあったので、その旨を説明します。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の4の3第2号
覚えるコマ
区域・ハザードマップの事項は、売買でも貸借でも説明する。
間違えやすいところ:石綿の調査結果(建物のみ)や住宅性能評価(売買のみ)と取り違える
区域やハザードマップの事項は、貸借でも説明するか? 区域・ハザードマップの事項は、売買でも貸借でも説明する。
貸借で説明する事項約2分
この節でよく出るのは
- ★ 2回契約終了時に精算する金銭があれば、その精算に関する事項を説明…
アパートを借りる中村翔さんは、説明書をろくに読まずに「敷金って、出るときはどうなるんですか」と聞きました。佐藤さんが説明書を見ると、契約終了時の精算に関する欄がありました。木村さんは「そこに敷金の扱いが書いてある。貸借では、契約期間と更新、建物の設備も説明するんだよ」と言いました。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の4の3第11号
貸借では、契約期間と契約の更新に関する事項を説明します。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の4の3第8号
定期借地権や定期建物賃貸借を使うときは、その旨を説明します。用途その他の利用の制限も説明します。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の4の3第9号、宅地建物取引業法施行規則 16条の4の3第10号
建物の設備の整備の状況も説明します。宅地の貸借では、終了時の建物の取壊しの定めがあれば、その内容を説明します。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の4の3第7号、宅地建物取引業法施行規則 16条の4の3第13号
左右の比較売買と建物の貸借で、説明が分かれる事項
区域は、どの契約でも説明する。私道の負担は、建物の貸借だけ説明しない。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項3号、宅地建物取引業法施行規則 16条の4の3第8号、宅地建物取引業法施行規則 16条の4の3第7号、宅地建物取引業法施行規則 16条の4の3第11号
みなと不動産は、中村さんにアパートの一室を貸します。契約期間と更新、敷金の精算、台所や浴室などの設備の状況を説明します。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の4の3第8号、宅地建物取引業法施行規則 16条の4の3第7号
覚えるコマ
貸借では、設備の整備の状況と、契約期間・更新も説明する。
間違えやすいところ:売買・交換で説明する割賦販売や私道負担と取り違える
貸借で説明する事項に、売買・交換と違うものは何か? 貸借では、設備の整備の状況と、契約期間・更新も説明する。
支払金・預り金と信託受益権約2分
支払金や預り金とは、名義を問わず、宅建業者が取引に関して受け取る金銭です。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の3
ただし、50万円未満のものや報酬は除かれます。保全措置が講じられた手付金等、売主が登記の後に受け取る金銭も除かれます。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の3第1号、宅地建物取引業法施行規則 16条の3第3号、宅地建物取引業法施行規則 16条の3第4号
判定の流れ支払金・預り金の保全措置を説明するか
取引に関して受け取る金銭のうち、上の4つに当たらないものが説明の対象。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の3、宅地建物取引業法施行規則 16条の3第1号、宅地建物取引業法施行規則 16条の3第3号、宅地建物取引業法施行規則 16条の3第4号
支払金や預り金を受け取るときは、保全措置を講じるかどうかと、その概要を説明します。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項11号
業者が委託者となる信託の受益権(信託の利益を受ける権利)を売るときも、同じように説明します。対象は、信託財産である宅地や建物です。説明すべき事項をすべて記載した目論見書を交付していれば、この説明は要りません。
根拠: 宅地建物取引業法 35条3項、宅地建物取引業法施行規則 16条の4の4第3号
みなと不動産は、田中さんから100万円の預り金を受け取ります。保全措置を講じるかどうかと、その内容を、契約前に説明します。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項11号
覚えるコマ
50万円未満のものと報酬は、支払金・預り金から除かれる。
間違えやすいところ:手付金等の保全措置が不要な額(代金の5%・10%、1,000万円)と取り違える
支払金・預り金から除かれる金銭は、何か? 50万円未満のものと報酬は、支払金・預り金から除かれる。
50万円未満は、支払金や預り金から外れます。この金額の線が境目です。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の3第1号
本試験では「宅建業者Aが、Bから預り金を受け取る」のように出ます。金額が50万円未満なら、説明の対象にはなりません。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の3第1号、宅地建物取引業法 35条1項11号