法令上の制限

国土利用計画法(事後届出)とその他の法令上の制限

法令上の制限読む目安 約19分図 4場面つき

この単元で分かること

  • 事後届出が必要な契約と、そうでない契約を見分けられるようになります。
  • 区域ごとの面積の基準や、届出の期間・提出先を学びます。
  • 規制区域・注視区域・監視区域の違いと、その他の法令の許可を学びます。

この単元のはじまりの場面

場面

石井正さんの市街化区域の空き地2,000㎡に、買いたいという人が現れて、4月1日に売買契約を結びました。石井さんは「売った私が役所に届けるのですか」と心配しています。県庁の藤井由紀さんは「届け出るのは買った側で、契約の日から2週間以内です」と伝えました。木村健一さんは「買ったあとの使い道が計画に合うか、知事が確かめるんだ」と説明しました。佐藤さくらさんは期限を手帳に書きました。

国土利用計画法と「土地売買等の契約」約3分

この節でよく出るのは

  • ★ 4回石井さんは父の死亡で市街化区域内の4,000㎡の土地を相続し…

国土利用計画法は、土地を投機の対象にせず、適正に使うための法律です。

根拠: 国土利用計画法 14条1項

地価が急に上がりそうな地域では、土地の取引を届出や許可で規制します。

根拠: 国土利用計画法 12条1項

規制の対象になるのは、土地に関する権利の移転や設定の契約、つまり土地売買等の契約です。

根拠: 国土利用計画法 14条1項

対象になるのは、対価を得て行われる移転または設定に限られます。売買や地上権の設定がその典型です。

根拠: 国土利用計画法 14条1項

対象になる権利は、所有権のほか、使用および収益を目的とする権利です。政令で定める地上権と賃借権がこれにあたり、賃借権は土地を借りて使う権利です。

根拠: 国土利用計画法 14条1項

事例

石井さんが田中さんに土地を1億円で売る契約は、対価を得た所有権の移転です。土地売買等の契約にあたります。

根拠: 国土利用計画法 14条1項

抵当権の設定は、対価を得て行われる移転や設定ではありません。実務では対象外と考えられています。

根拠: 国土利用計画法 14条1項

事例

石井さんが銀行から融資(お金を借りること)を受けるため土地に抵当権を設定しました。対価を得た移転ではないので、土地売買等の契約にあたりません。

根拠: 国土利用計画法 23条2項3号

賃借権の設定も、権利金などの対価を得て行うときは、土地売買等の契約にあたります。

根拠: 国土利用計画法 14条1項

土地売買等の契約には、予約も含まれます。本契約の前に予約をしただけでも、事後届出(契約のあとで知事に知らせる仕組み)の対象になります。

根拠: 国土利用計画法 14条1項

土地どうしの交換は、金銭のやり取りがなくても、互いの土地が対価にあたります。土地売買等の契約として扱われます。

根拠: 国土利用計画法 14条1項

事例

石井さんと田中さんは、金銭を支払わずに互いの土地を交換しました。互いの土地が対価にあたるので、面積が基準以上なら事後届出が必要です。

根拠: 国土利用計画法 14条1項

対価を得ない贈与(無償であげる契約)や、対価を得ない権利の移転も対象外です。

根拠: 国土利用計画法 14条1項

過去問に出た

相続や時効取得は契約ではないので、土地売買等の契約にあたりません。時効取得は、長く使い続けて時の経過で土地を自分のものにすることです。この場合、事後届出は要りません。

根拠: 国土利用計画法 23条1項

事例★ 過去問で4回

石井さんは父の死亡で市街化区域内の4,000㎡の土地を相続しました。契約ではないので、事後届出は要りません。

根拠: 国土利用計画法 23条1項

判定の流れ土地売買等の契約にあたるか

対価を得て行われる移転・設定か?はい土地売買等の契約(事後届出などの対象)いいえ契約によって取得するものか?はい対象外(対価のない贈与など)いいえ対象外(相続・時効取得など)

抵当権の設定は対価を得た移転・設定ではないので、契約でも対象外。

根拠: 国土利用計画法 14条1項、国土利用計画法 23条2項3号

表
契約の内容事後届出の対象か
対価を得た所有権の移転(売買)対象
対価を得た地上権・賃借権の設定対象
抵当権の設定対象外
対価を得ない贈与対象外
相続・時効取得対象外

根拠: 国土利用計画法 14条1項、国土利用計画法 23条2項3号

覚えるコマ

覚える事後届出の対象になるのは、どんな契約か?根拠 14条1項
対象になる・対価を得て行う、所有権の移転・設定・地上権など、使用及び収益を目的とする権利の移転・設定対象にならない・抵当権の設定・対価を得て行われる移転・設定でないもの届出の対象は「土地売買等の契約」。権利の種類と、対価の有無で決まる。

対価を得て行う権利の移転・設定。抵当権の設定は対象外。

間違えやすいところ:対価のない移転や、抵当権の設定まで届出が要ると考えてしまう

事後届出の対象になるのは、どんな契約か? 対価を得て行う権利の移転・設定。抵当権の設定は対象外。

要点

対象は「対価を得た、所有権・地上権・賃借権などの移転・設定」です。抵当権の設定は対象外です。

根拠: 国土利用計画法 14条1項

ひっかけ

賃貸借は届出の対象外、ではありません。賃借権は地上権とともに政令で定める対象の権利で、対価を得て設定するなら事後届出の対象です。

根拠: 国土利用計画法 14条1項

事後届出の義務者・期間・経由先約2分

この節でよく出るのは

  • ★ 5回届出は、契約の日から起算して2週間以内にしなければなりません…
  • ★ 4回届出は買主が、契約の日から2週間以内に、市町村長を経由して知…
  • ★ 2回市街化区域の土地は、面積が2,000平方メートル以上なら届出…

事後届出とは、土地を買った人が、契約をしたあとで、その土地をどう使うかなどを都道府県知事へ知らせる仕組みです。

根拠: 国土利用計画法 23条1項

過去問に出た

届け出るのは当事者のうち、権利の移転や設定を受けることとなる者です。つまり買主の側です。

根拠: 国土利用計画法 23条1項

事例

石井さんが土地を田中さんに売りました。事後届出は、所有権の移転を受けた田中さんが行い、売主の石井さんではありません。

根拠: 国土利用計画法 23条1項

★ 過去問で5回

届出は、契約の日から起算して2週間以内にしなければなりません。

根拠: 国土利用計画法 23条1項

事例

石井さんと田中さんが4月1日に売買契約を結びました。田中さんは4月15日までに事後届出をします。

根拠: 国土利用計画法 23条1項

時系列契約から届出・勧告までの期限

4月1日売買契約を結んだ4月15日まで買主が知事へ届け出る届出から3週知事が勧告できる期限2週間

届出の期限は契約の日から2週間以内。勧告の期限は、契約の日ではなく届出の日から3週間以内。

根拠: 国土利用計画法 23条1項、国土利用計画法 24条2項

過去問に出た

届出は、土地が所在する市町村の長を経由して、都道府県知事にします。

根拠: 国土利用計画法 23条1項

過去問に出た

届出事項には、当事者の氏名・住所、契約年月日、土地の所在と面積、権利の種別、利用目的、対価の額などがあります。

根拠: 国土利用計画法 23条1項

事例

田中さんは、自分の氏名住所、契約日、土地の所在と面積、所有権の移転であること、利用目的、対価の額をまとめて届け出ます。

根拠: 国土利用計画法 23条1項

★ 過去問で2回

市街化区域の土地は、面積が2,000平方メートル以上なら届出が必要です。

根拠: 国土利用計画法 23条2項1号

★ 過去問で2回

市街化区域以外の都市計画区域の土地は5,000平方メートル以上、都市計画区域外は1万平方メートル以上が基準です。

根拠: 国土利用計画法 23条2項1号

表
区域面積の基準
市街化区域2,000平方メートル以上
市街化区域以外の都市計画区域5,000平方メートル以上
都市計画区域外1万平方メートル以上

根拠: 国土利用計画法 23条2項1号

基準は「これ未満なら不要」なので、ちょうど基準の面積は届出が必要です。

根拠: 国土利用計画法 23条2項1号

事例

市街化区域の土地がちょうど2,000平方メートルでした。基準未満ではないので、事後届出が必要になります。

根拠: 国土利用計画法 23条2項1号

覚えるコマ

覚える事後届出は、だれが・いつまでに・どこへ出すか?根拠 23条1項
① 契約を締結する売主Aと買主Bの契約② 買主Bが届出をする契約を締結した日から起算して2週間以内③ 市町村長を経由して、知事へ土地が所在する市町村の長を経由する契約の前に出す事前届出(注視区域・監視区域)とは時期が逆。

買主が、契約の日から2週間以内に、市町村長を経由して知事へ。

間違えやすいところ:売主が届け出ると考える。経由先は市町村長(知事に直接ではない)

事後届出は、だれが・いつまでに・どこへ出すか? 買主が、契約の日から2週間以内に、市町村長を経由して知事へ。

覚える事後届出が要る土地の広さは、区域ごとにどう違うか?根拠 23条2項1号イ
市街化区域2,000㎡以上市街化区域以外の都市計画区域5,000㎡以上都市計画区域外1万㎡(1ha)以上「未満なら不要・以上なら必要」。ちょうど基準も届出が要る。

市街化区域2,000㎡以上、他の都市計画区域5,000㎡以上、区域外1万㎡以上。

間違えやすいところ:ちょうど基準の面積は届出が要る(「以上」)。開発許可の1,000㎡・3,000㎡と取り違える

事後届出が要る土地の広さは、区域ごとにどう違うか? 市街化区域2,000㎡以上、他の都市計画区域5,000㎡以上、区域外1万㎡以上。

要点★ 過去問で4回

届出は買主が、契約の日から2週間以内に、市町村長を経由して知事へします。

根拠: 国土利用計画法 23条1項、国土利用計画法 23条2項1号

ひっかけ

ちょうど基準の面積なら届出は不要、ではありません。「基準未満」が不要なので、ちょうど基準は必要です。

根拠: 国土利用計画法 23条2項1号

一団の土地の特例と事後届出の適用除外約3分

この節でよく出るのは

  • ★ 4回当事者の一方または双方が国や地方公共団体(都道府県・市町村)…
  • ★ 2回国が土地を買い取りました。当事者の一方が国なので、事後届出は…

基準未満の契約を分けて結べば、届出を避けられてしまいます。そこで一団の土地というルールがあります。

根拠: 国土利用計画法 23条2項1号

場面過去問に出た

石井さんは、隣り合う1,500㎡の土地を二つ持っていて、同じ買主に別々の契約で売ることにしました。「1,500㎡ずつなら、どちらも基準の2,000㎡に届かないから、届出は要りませんよね」と石井さんは聞きました。木村健一さんは「分けて契約しても、買う人が取得する一団の土地の合計で見るんだ」と答えました。合計は3,000㎡なので、買主には届出が必要です。

根拠: 国土利用計画法 23条2項1号

権利取得者が、基準以上の面積の一団の土地について権利を取得するときは、個々の契約が基準未満でも届出が必要です。

根拠: 国土利用計画法 23条2項1号

事例

田中さんは石井さんから、隣り合う1,500平方メートルと1,500平方メートルを別々の契約で買いました。一団で合計3,000平方メートルなので、市街化区域でも事後届出が必要です。

根拠: 国土利用計画法 23条2項1号

数字の比べ分けて買っても、合計で見る(市街化区域)

契約その11,500㎡契約その21,500㎡一団の合計3,000㎡届出の基準2,000㎡

個々の契約は基準未満でも、同じ買主が取得する一団の土地の合計が基準以上なら、届出が要る。

根拠: 国土利用計画法 23条2項1号

一団の土地かどうかと面積は、権利取得者ごとに判断すると考えられています。

根拠: 国土利用計画法 23条2項1号

事例

同じ一団の土地を、田中さんと中村さんが別々に買いました。田中さんの取得分が基準未満なら、田中さんは届け出る必要がありません。判断は買主ごとだからです。

根拠: 国土利用計画法 23条2項1号

過去問に出た

規制区域、注視区域、監視区域に所在する土地の契約には、事後届出の規定を適用しません。別の規制があるためです。

根拠: 国土利用計画法 23条2項2号

★ 過去問で4回

当事者の一方または双方が国や地方公共団体(都道府県・市町村)などである場合も、事後届出を要しません。

根拠: 国土利用計画法 23条2項3号、国土利用計画法 18条1項

民事調停法による調停に基づく場合なども、事後届出の適用から除かれます。

根拠: 国土利用計画法 23条2項3号

事例★ 過去問で2回

国が土地を買い取りました。当事者の一方が国なので、事後届出は要りません。

根拠: 国土利用計画法 23条2項3号

事例過去問に出た

市が所有する土地を、田中さんが買いました。当事者の一方が市なので、面積が基準以上でも事後届出は要りません。

根拠: 国土利用計画法 23条2項3号、国土利用計画法 18条1項

農地法(農地を守るための法律)の許可を要する取引の扱いは、許可の種類で分かれます。

根拠: 国土利用計画法 23条2項3号

農地の権利移動の許可を要する場合は、事後届出の適用から除かれます。

根拠: 国土利用計画法 23条2項3号

転用(農地を農地以外に使うこと)の許可を要する場合は、事後届出の適用から除かれません。

根拠: 国土利用計画法 23条2項3号

表
場合事後届出
規制区域・注視区域・監視区域の土地別の規制があるので対象外
当事者の一方または双方が国や地方公共団体対象外
民事調停法の調停に基づく場合対象外
農地の権利移動の許可を要する場合対象外
転用の許可を要する場合対象(除外されない)

根拠: 国土利用計画法 23条2項2号、国土利用計画法 23条2項3号

事例

石井さんが農地を田中さんに売り、転用の許可が必要でした。事後届出の適用は除外されないので、国土利用計画法の届出も必要です。

根拠: 国土利用計画法 23条2項3号

覚えるコマ

覚える一団の土地は、買主ごとにどう判断するか?根拠 23条2項1号
同じ買主が取得する一団の土地・面積を合わせて判断する・基準以上なら、個々の契約が基準未満でも届出が要る別の買主が取得する土地・その買主が取得する分だけで判断する一団の土地かどうかも、権利を取得する買主ごとに見る。

買主ごとに判断し、基準以上なら個々の契約が小さくても要る。

間違えやすいところ:契約1件ごとの面積で判断して、届出は要らないと考えてしまう

一団の土地は、買主ごとにどう判断するか? 買主ごとに判断し、基準以上なら個々の契約が小さくても要る。

要点過去問に出た

一団の土地は買主ごとに判断し、基準以上なら個々の契約が小さくても届出が必要です。

根拠: 国土利用計画法 23条2項1号

ひっかけ過去問に出た

契約を分割すれば届出を避けられる、ではありません。一団の土地で基準以上なら必要です。

根拠: 国土利用計画法 23条2項1号

事後届出に対する勧告と公表約2分

事後届出に許可制はなく、知事は届出の内容を確認して、必要なら勧告します。

根拠: 国土利用計画法 24条1項

知事は、届出に係る利用目的に従った土地利用が土地利用基本計画などに適合しない場合に勧告できます。

根拠: 国土利用計画法 24条1項

当該土地を含む周辺の地域の適正かつ合理的な土地利用を図るために著しい支障があると認めるときが要件です。

根拠: 国土利用計画法 24条1項

勧告をするには、あらかじめ土地利用審査会の意見を聴かなければなりません。

根拠: 国土利用計画法 24条1項

事例

知事は、届出のあった利用目的が計画に合わないと判断しました。土地利用審査会の意見を聴いたうえで、利用目的を変更するよう勧告します。

根拠: 国土利用計画法 24条1項

勧告は、届出の日から起算して3週間以内にしなければなりません。

根拠: 国土利用計画法 24条2項

知事は、実地調査が必要なときなどは、3週間の範囲内でこの期間を延長できます。延長するときは、期間と理由を届出者に通知します。

根拠: 国土利用計画法 24条3項

事例

届出から2週間後に、知事は実地調査が必要だと判断しました。届出者に通知したうえで、3週間の範囲内で期間を延長できます。

根拠: 国土利用計画法 24条2項、国土利用計画法 24条3項

知事は、届出者に利用目的について必要な助言もできます。勧告より軽い対応です。

根拠: 国土利用計画法 24条1項

過去問に出た

勧告も助言も、対象は土地の利用目的です。対価の額について、勧告や助言をすることはありません。

根拠: 国土利用計画法 24条1項、国土利用計画法 27条の2

表
手続期間
事後届出契約の日から2週間以内
勧告届出の日から3週間以内(3週間の範囲内で延長可)

根拠: 国土利用計画法 23条1項、国土利用計画法 24条2項

覚えるコマ

覚える事後届出の勧告は、いつまでに、だれの意見を聴いてするか?根拠 24条2項
契約から2週間以内に、買主が届出届け出る期間届出の日から3週間以内に、知事が勧告あらかじめ土地利用審査会の意見を聴く従わないときは、公表できるその旨と勧告の内容を公表

届出の日から3週間以内に、土地利用審査会の意見を聴いて勧告する。

間違えやすいところ:届出の期間(2週間)と勧告の期間(3週間)、注視区域の6週間を取り違える

事後届出の勧告は、いつまでに、だれの意見を聴いてするか? 届出の日から3週間以内に、土地利用審査会の意見を聴いて勧告する。

要点

事後届出は2週間、勧告は3週間。勧告には土地利用審査会の意見が必要です。

根拠: 国土利用計画法 24条1項、国土利用計画法 24条2項

ひっかけ

知事は勧告に従わない契約を取り消せる、ではありません。事後届出は許可制ではなく、勧告は行政指導です。

根拠: 国土利用計画法 24条1項

ひっかけ

期間は契約の日から3週間、ではありません。勧告は届出の日から3週間です。

根拠: 国土利用計画法 24条2項

規制区域・注視区域・監視区域約3分

区域の指定には、規制区域・注視区域・監視区域の3種類があります。

根拠: 国土利用計画法 12条1項、国土利用計画法 27条の4第1項、国土利用計画法 27条の7第1項

場面

佐藤さんは「契約のあとに届け出るのでは、地価が急に上がるのを止められませんよね」と木村さんに聞きました。木村さんは「だから、地価が急に上がるおそれのある地域は区域に指定して、契約の前に手続きを求めるんだ」と話しました。規制区域は知事の許可、注視区域と監視区域は事前の届出です。佐藤さんは、区域ごとの手続きを流れ図に書き出して整理しました。

根拠: 国土利用計画法 12条1項、国土利用計画法 27条の4第1項、国土利用計画法 27条の7第1項

規制区域は、土地の投機的取引が集中し、地価が急激に上昇するおそれがある区域に指定します。

根拠: 国土利用計画法 12条1項

指定するのは都道府県知事で、期間を定めます。期間は公告の日から起算して5年以内です。

根拠: 国土利用計画法 12条2項

事例

A県は、投機的な取引が集中する一帯を規制区域に指定しました。期間は3年とし、公告した日から3年とします。

根拠: 国土利用計画法 12条2項

規制区域では契約の当事者が事前に知事の許可を受けます。許可を受けないで結んだ契約は効力を生じません。

根拠: 国土利用計画法 14条1項、国土利用計画法 14条3項

事例

石井さんと田中さんは規制区域内の土地を売買しましたが、知事の許可を受けませんでした。この契約は効力を生じません。

根拠: 国土利用計画法 14条3項

過去問に出た

注視区域では、契約を結ぼうとする当事者が、あらかじめ市町村長を経由して知事に届け出ます。

根拠: 国土利用計画法 27条の4第1項

過去問に出た

届出をした者は、届出の日から6週間を経過する日まで契約を締結できません。ただし、その間に勧告を受けたときや、勧告をしない旨の通知を受けたときは別です。

根拠: 国土利用計画法 27条の4第3項

注視区域の勧告は、届出の日から6週間以内にします。

根拠: 国土利用計画法 27条の5第2項

事例

田中さんは注視区域の土地を買うため、6月1日に届け出ました。勧告も、勧告をしない旨の通知もなければ、翌日から6週間が過ぎた日まで契約を結べません。

根拠: 国土利用計画法 27条の4第3項

監視区域では、注視区域の事前届出の規定が準用されます。

根拠: 国土利用計画法 27条の7第1項

監視区域で届出を要する面積の基準は、都道府県知事が都道府県の規則で定めます。全国一律ではありません。

根拠: 国土利用計画法 27条の7第1項、国土利用計画法 27条の7第2項

事例

C県の監視区域で届出を要する面積は、C県の規則で500平方メートルと定められています。国土利用計画法本体の数字は使われません。

根拠: 国土利用計画法 27条の7第2項

表
区域規制のしかた時期
規制区域知事の許可制契約前に許可
注視区域事前届出制契約前に届出、6週間は契約不可
監視区域事前届出制(注視区域の規定を準用)契約前に届出
それ以外の区域事後届出制契約の日から2週間以内

根拠: 国土利用計画法 14条1項、国土利用計画法 27条の4第1項、国土利用計画法 23条1項

判定の流れ契約の前後の手続き(区域別)

規制区域の土地か?はい知事の許可が要る(無許可は無効)いいえ注視区域の土地か?はい契約前に届出、6週間は契約不可いいえ監視区域の土地か?はい契約前に届出(面積は県の規則)いいえ契約後2週間以内に事後届出

事後届出は、規制区域・注視区域・監視区域のいずれでもない土地の契約の手続き。

根拠: 国土利用計画法 14条1項、国土利用計画法 27条の4第1項、国土利用計画法 23条1項

覚えるコマ

覚える規制区域・注視区域・監視区域は、規制のしかたがどう違うか?根拠 14条1項
規制区域知事の許可制。契約の締結前に許可を受ける注視区域事前届出制。契約の締結前に届出、6週間は契約禁止監視区域事前届出制(注視区域の規定を準用)上の3つ以外事後届出制。契約の日から2週間以内

規制区域は許可制。注視区域・監視区域は、契約前の事前届出制。

間違えやすいところ:事後届出(契約の日から2週間以内)と取り違える。区域の指定がない所は事後届出

規制区域・注視区域・監視区域は、規制のしかたがどう違うか? 規制区域は許可制。注視区域・監視区域は、契約前の事前届出制。

要点

規制区域は許可制で無許可の契約は無効、注視区域・監視区域は事前届出制です。

根拠: 国土利用計画法 14条3項、国土利用計画法 27条の4第1項

ひっかけ

監視区域の面積の基準も法律で決まっている、ではありません。知事が都道府県の規則で定めます。

根拠: 国土利用計画法 27条の7第2項

届出違反の罰則と契約の効力約1分

この節でよく出るのは

  • ★ 2回届出をしなかった者は、6月以下の拘禁刑または100万円以下の…

事後届出をしなかったときも、契約そのものは有効です。実務ではそう扱われています。

根拠: 国土利用計画法 23条1項

★ 過去問で2回

届出をしなかった者は、6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処されます。

根拠: 国土利用計画法 47条1号

事例

田中さんは事後届出を忘れました。契約は有効なままでしたが、100万円以下の罰金の対象になります。

根拠: 国土利用計画法 47条1号

虚偽の届出をした者も同じ罰則の対象です。

根拠: 国土利用計画法 47条1項

規制区域で無許可の契約をした者は、3年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金に処されます。許可制のほうが重い罰則です。

根拠: 国土利用計画法 46条

表
違反罰則
事後届出をしなかった・虚偽の届出をした6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
規制区域で無許可の契約をした3年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金
注視区域・監視区域で届出をしないで契約した6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
注視区域・監視区域で届出から6週間以内に契約した50万円以下の罰金

根拠: 国土利用計画法 47条1号、国土利用計画法 47条2号、国土利用計画法 48条

覚えるコマ

覚える事後届出をしなかったとき、罰則と契約の効力はどうなるか?根拠 47条柱書・46条
事後届出をしなかった・6月以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金・契約は無効にならない規制区域で無許可の契約・3年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金・契約は効力を生じない

6月以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金。契約は無効にならない。

間違えやすいところ:規制区域で無許可の契約は、罰則が重く(3年・200万円)、契約も効力を生じない

事後届出をしなかったとき、罰則と契約の効力はどうなるか? 6月以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金。契約は無効にならない。

要点

事後届出違反は6月・100万円、規制区域の無許可は3年・200万円です。

根拠: 国土利用計画法 47条1項

ひっかけ

事後届出をしないと契約が無効になる、ではありません。無効になるのは許可制の規制区域だけです。

根拠: 国土利用計画法 46条、国土利用計画法 23条1項

その他の法令上の制限(河川法・森林法)約2分

宅地の取引や開発では、国土利用計画法のほかにも、河川法や森林法などの許可が要ることがあります。

根拠: 河川法 24条1項、森林法 34条1項

河川は、一級河川を国土交通大臣が、二級河川を都道府県知事が管理します。

根拠: 河川法 9条1項、河川法 10条1項

河川区域内の土地を占用しようとする者は、河川管理者の許可を受けなければなりません。

根拠: 河川法 24条1項

事例

石井さんは川沿いの土地に桟橋を設けて河川区域を占用しようとしています。河川管理者の許可が要ります。

根拠: 河川法 24条1項

河川管理者は、河岸や河川管理施設を保全するため河川保全区域を指定できます。原則として、境界から50メートルを超えては指定できません。

根拠: 河川法 54条1項

河川保全区域内で、土地の掘削や盛土、工作物の新築・改築をしようとする者も、河川管理者の許可を受けなければなりません。

根拠: 河川法 55条1項

事例

石井さんは河川保全区域内で擁壁を新築しようとしています。河川管理者の許可が要ります。

根拠: 河川法 55条1項

過去問に出た

保安林の中で立木を伐採するときは、都道府県知事の許可を受けなければなりません。

根拠: 森林法 34条1項

事例

石井さんは保安林の立木を伐採しようとしています。都道府県知事の許可を受けます。

根拠: 森林法 34条1項

地域森林計画の対象となっている民有林で、政令で定める規模を超える開発行為をするときも、都道府県知事の許可が要ります。

根拠: 森林法 10条の2第1項

表
法令行為許可権者
河川法河川区域内の土地の占用河川管理者
河川法河川保全区域内の工作物の新築河川管理者
森林法保安林内の立木の伐採都道府県知事
森林法民有林の大規模な開発行為都道府県知事

根拠: 河川法 24条1項、河川法 55条1項、森林法 34条1項、森林法 10条の2第1項

覚えるコマ

覚える河川・森林・自然公園の行為は、それぞれだれの許可が要るか?根拠 24条
河川法河川区域内の土地の占用は、河川管理者の許可森林法保安林内の立木の伐採は、都道府県知事の許可自然公園法特別地域は許可(国立=環境大臣・国定=知事)同・普通地域届出(国立=環境大臣・国定=知事)

河川は河川管理者、森林は知事、特別地域は国立が環境大臣・国定が知事。

間違えやすいところ:普通地域は許可制でなく届出(国立は大臣・国定は知事)。森林の伐採届出先は市町村長

河川・森林・自然公園の行為は、それぞれだれの許可が要るか? 河川は河川管理者、森林は知事、特別地域は国立が環境大臣・国定が知事。

要点

河川は河川管理者、森林は都道府県知事が許可権者です。

根拠: 河川法 24条1項、森林法 34条1項

ひっかけ

河川区域内も河川保全区域内も自由に使える、ではありません。どちらも河川管理者の許可が要ります。

根拠: 河川法 55条1項

その他の法令上の制限(自然公園法)約2分

この節でよく出るのは

  • ★ 4回本試験では「Aが市街化区域内の2,000平方メートルの土地を…

自然公園法は、国立公園と国定公園の景観を守るための法律です。

根拠: 自然公園法 20条1項

公園の区域は、特別地域、海域公園地区、普通地域などに分けられます。

根拠: 自然公園法 20条3項、自然公園法 33条1項

国立公園も国定公園も、環境大臣が指定します。国定公園は、関係都道府県の申出によります。

根拠: 自然公園法 20条1項

特別地域の中で工作物を新築したり木竹を伐採したりするには、許可を受けなければなりません。

根拠: 自然公園法 20条3項

許可権者は、国立公園なら環境大臣、国定公園なら都道府県知事です。

根拠: 自然公園法 20条3項

事例

石井さんは国定公園の特別地域内で別荘を新築しようとしています。都道府県知事の許可が要ります。

根拠: 自然公園法 20条3項

普通地域の行為は許可制ではなく、届出制です。

根拠: 自然公園法 33条1項

事例

石井さんは国立公園の普通地域内で一定規模の工作物を新築しようとしています。環境大臣への届出をします。許可は要りません。

根拠: 自然公園法 33条1項

普通地域の届出をした者は、届出の日から30日を経過した後でなければ行為に着手できません。

根拠: 自然公園法 33条5項

大臣や知事は、届出の日から30日以内に限り、行為の禁止や制限を命じられます。

根拠: 自然公園法 33条3項

表
区域行為許可・届出の相手方
国立公園の特別地域工作物の新築など環境大臣の許可
国定公園の特別地域工作物の新築など都道府県知事の許可
国立公園の普通地域一定規模の工作物の新築など環境大臣への届出
国定公園の普通地域一定規模の工作物の新築など都道府県知事への届出

根拠: 自然公園法 20条3項、自然公園法 33条1項

要点

特別地域は許可制、普通地域は届出制です。国立は環境大臣、国定は都道府県知事です。

根拠: 自然公園法 20条3項、自然公園法 33条1項

ひっかけ

普通地域も許可が要る、ではありません。届出制で、30日を過ぎれば着手できます。

根拠: 自然公園法 33条5項

本試験ではこう出ます★ 過去問で4回

本試験では「Aが市街化区域内の2,000平方メートルの土地をBから買った」のように出ます。届け出るのは買主Aで、契約の日から2週間以内です。

根拠: 国土利用計画法 23条1項、国土利用計画法 23条2項1号

まとめ

  • 対象は、対価を得て行われる土地の権利の移転・設定です。地上権・賃借権の設定は対象で、抵当権の設定は対象外です。
  • 事後届出は権利取得者(買主)が、契約の日から2週間以内に、市町村長を経由して知事へ行います。
  • 届出の面積基準は、市街化区域2,000平方メートル以上、市街化区域以外の都市計画区域5,000平方メートル以上です。都市計画区域外は1万平方メートル以上です。
  • 一団の土地で基準以上を取得するときは、個々の契約が基準未満でも届出が必要です。
  • 勧告は届出の日から3週間以内に、土地利用審査会の意見を聴いて行います。
  • 規制区域は知事の許可制で無許可の契約は効力を生じず、注視区域は事前届出で6週間は契約できません。
  • 監視区域では注視区域の規定を準用し、面積の基準は知事が都道府県の規則で定めます。
  • 河川区域・河川保全区域は河川管理者、保安林の伐採と民有林の大規模開発は都道府県知事の許可が要ります。
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