法令上の制限

農地法(権利移動の許可・転用の許可・転用目的取得の許可)

法令上の制限読む目安 約18分図 4場面つき

この単元で分かること

  • 農地と採草放牧地の違い、どちらに当たるかを現況で見分けるしかたを学びます。
  • 権利移動の許可・転用の許可・転用目的取得の許可で、対象と許可権者がどう違うかを学びます。
  • 市街化区域内の特例と、違反したときに何が起きるかを学びます。

この単元のはじまりの場面

場面

石井正さんは、親から引き継いだ畑を、農業をする人に売るか、自分で家を建てて子どもに渡すかで迷っています。登記簿の地目は宅地ですが、実際には畑として使われてきました。木村健一さんは「農地かどうかは、登記簿ではなく実際の使われ方で決まる。農地を守る法律だから、売るのも建てるのも勝手にはできないんだ」と説明しました。売るなら農業委員会の許可、建てるなら知事等の許可が要ると聞いて、佐藤さくらさんは二つを分けて覚えることにしました。

農地法が守ろうとしているもの約2分

この節でよく出るのは

  • ★ 4回どちらに当たるかは、登記簿の地目(土地の用途)ではなく、実際…

農地法は、農地を農業のために守る法律です。勝手に売ったり建物を建てたりできません。

根拠: 農地法 3条1項

対象になる土地は農地と採草放牧地(家畜の草をとるための土地)です。農地は耕作の目的に供される土地です。

根拠: 農地法 3条1項

採草放牧地は、農地以外で、主として耕作や養畜のための採草や家畜の放牧に使う土地です。

根拠: 農地法 5条1項

★ 過去問で4回

どちらに当たるかは、登記簿の地目(土地の用途)ではなく、実際の使われ方で判断します。実務ではそう扱われています。

根拠: 農地法 3条1項

事例

石井さんの土地は登記簿では宅地ですが、実際には畑として使われていました。実務上は農地として扱われ、農地法の許可が必要になります。

根拠: 農地法 3条1項

過去問に出た

農地を農地以外にすることを転用といいます。転用には都道府県知事等の許可が要ります。

根拠: 農地法 4条1項

農地の権利を売買などで移すときは、農業委員会の許可が要ります。

根拠: 農地法 3条1項

事例

石井さんが農地を木村さんに売りました。権利を移すので農業委員会の許可が必要です。木村さんがその農地に家を建てるなら、転用の許可も別に必要になります。

根拠: 農地法 3条1項、農地法 4条1項

許可権者は場面ごとに違います。農業委員会と都道府県知事等のどちらに申請するかで、手続きが変わるからです。

根拠: 農地法 3条1項、農地法 4条1項

左右の比較権利移動の許可と転用の許可

権利移動の許可権利を移す転用の許可用途を変える内容農地の権利を売る・貸す農地を農地以外にする許可権者農業委員会都道府県知事等石井さんなら畑を売る畑に家を建てる

畑を売って、買った人がそこに家を建てるときは、転用目的取得の許可になる。

根拠: 農地法 3条1項、農地法 4条1項、農地法 5条1項

要点

農地・採草放牧地は現況で判断します。権利移動は農業委員会、転用は都道府県知事等です。

根拠: 農地法 3条1項、農地法 4条1項

ひっかけ

登記簿の地目が宅地なら農地法の対象外、ではありません。判断の基準は現況です。

根拠: 農地法 3条1項

権利移動の許可(農地の権利を移す)約2分

この節でよく出るのは

  • ★ 3回許可を受けないでした行為は、効力を生じません。売買契約をして…
  • ★ 3回石井さんと木村さんは農業委員会の許可を受けずに農地を売買しま…
  • ★ 2回権利移動の許可権者は農業委員会です。許可のない行為は効力を生…

農地法は、農地の権利を移すときの許可を定めています。この許可を権利移動の許可と呼びます。

根拠: 農地法 3条1項

対象になる権利は、所有権のほか、地上権・永小作権・質権・使用貸借による権利・賃借権などです。

根拠: 農地法 3条1項

農地の売買だけでなく、貸すときにも許可が要る、ということです。

根拠: 農地法 3条1項

事例

石井さんが自分の農地を木村さんに無償で貸しました。使用貸借による権利の設定なので、権利移動の許可が必要です。

根拠: 農地法 3条1項

抵当権は、使用や収益を目的とする権利ではないので、この許可の対象に入りません。

根拠: 農地法 3条1項

事例

石井さんは借入れのため、農地に抵当権を設定しました。許可の対象となる権利ではないので、農業委員会の許可は要りません。

根拠: 農地法 3条1項

許可を受けるのは当事者です。売主と買主の双方が当事者になります。

根拠: 農地法 3条1項

許可権者は農業委員会です。都道府県知事等ではありません。

根拠: 農地法 3条1項

事例

石井さんは農地を木村さんに売るため、市の農業委員会に許可を申請します。

根拠: 農地法 3条1項

★ 過去問で3回

許可を受けないでした行為は、効力を生じません。売買契約をしても、所有権は移りません。

根拠: 農地法 3条6項

事例★ 過去問で3回

石井さんと木村さんは農業委員会の許可を受けずに農地を売買しました。この行為は効力を生じないので、所有権は木村さんに移りません。

根拠: 農地法 3条6項

許可には条件をつけられます。

根拠: 農地法 3条5項

覚えるコマ

覚える3条・4条・5条の許可は、それぞれだれが出すか?根拠 3条1項
3条転用を伴わない権利移動 → 農業委員会4条農地を農地以外にする(転用) → 都道府県知事等5条転用目的の権利移動 → 都道府県知事等4条の申請書は、農業委員会を経由して都道府県知事等に出す。

3条は農業委員会。4条・5条は都道府県知事等。

間違えやすいところ:4条・5条の許可権者を、農業委員会と考えてしまう

3条・4条・5条の許可は、それぞれだれが出すか? 3条は農業委員会。4条・5条は都道府県知事等。

要点★ 過去問で2回

権利移動の許可権者は農業委員会です。許可のない行為は効力を生じません。

根拠: 農地法 3条1項、農地法 3条6項

ひっかけ

権利移動の許可も都道府県知事が出す、ではありません。農業委員会です。

根拠: 農地法 3条6項

権利移動の許可が受けられない場合・要らない場合約3分

この節でよく出るのは

  • ★ 2回賃借権や使用貸借は、一定要件を満たせば農地所有適格法人以外の…
  • ★ 2回相続人でない人への特定遺贈は、許可が要ります。許可が要らない…

農地を守るため、許可を受けられる人と受けられない人が決まっています。

根拠: 農地法 3条2項2号

農地所有適格法人以外の法人は、原則として農地の所有権を取得できません。許可を受けることができないからです。

根拠: 農地法 3条2項2号

事例

北町ホームが農地の所有権を買おうとしました。農地所有適格法人ではないので、権利移動の許可を受けることができません。

根拠: 農地法 3条2項2号

★ 過去問で2回

賃借権や使用貸借は、一定要件を満たせば農地所有適格法人以外の法人にも許可できます。

根拠: 農地法 3条3項

その要件の1つは、法人の業務を執行する役員などのうち1人以上が、その法人の農業に常時従事すると認められることです。

根拠: 農地法 3条3項3号

もう1つの要件は、地域の農業で他の農業者と適切に役割分担しながら、継続的かつ安定的に農業経営を営むと見込まれることです。

根拠: 農地法 3条3項2号

事例過去問に出た

北町ホームは農地を借りたいと考えています。役員1人が常時従事し、地域で安定して農業を続ける見込みがあれば、賃借権の設定は許可されます。

根拠: 農地法 3条3項、農地法 3条3項2号、農地法 3条3項3号

農地を借りている人が転貸や質入れをしようとするときも、原則として許可を受けられません。

根拠: 農地法 3条2項5号

事例

農地を借りている木村さんが、その農地を佐藤さんに転貸しようとしました。転貸なので、原則として許可を受けられません。

根拠: 農地法 3条2項5号

権利を取得する者が国または都道府県である場合は、許可が要りません。市町村は含まれません。

根拠: 農地法 3条1項5号

事例

県が農地を買い取りました。取得者が都道府県なので、権利移動の許可は要りません。もし取得者が市だったら、許可が必要です。

根拠: 農地法 3条1項5号

遺産の分割(相続人が残された財産を分けること)によって農地の権利を取得する場合も、許可が要りません。

根拠: 農地法 3条1項12号

事例

石井さんは、遺産の分割で農地を取得しました。権利移動の許可は要りません。

根拠: 農地法 3条1項12号

★ 過去問で2回

相続人でない人への特定遺贈は、許可が要ります。許可が要らないのは、包括遺贈と、相続人への特定遺贈です。

根拠: 農地法施行規則 15条5号

事例

石井さんは、相続人ではない佐藤さんに農地を特定遺贈しました。佐藤さんは相続人に当たらないので、権利移動の許可が必要です。

根拠: 農地法施行規則 15条5号

過去問に出た

競売(裁判所が行う売却)で農地を買い受ける場合も、権利移動の許可が必要です。競売でも、許可の例外にはなりません。

根拠: 農地法施行規則 10条1号

事例

石井さんは、競売で農地を買い受けることになりました。農業委員会の許可を受けなければ、所有権を取得できません。

根拠: 農地法施行規則 10条1号

判定の流れ権利移動の許可が要るかどうか

取得する者は国か都道府県か?はい許可は要らないいいえ遺産の分割による取得か?はい許可は要らない(届出は要る)いいえ農業委員会の許可が要る

本文で扱う二つの例外だけを示した図。条文にはほかの例外もある。市町村は、国・都道府県に含まれない。

根拠: 農地法 3条1項5号、農地法 3条1項12号、農地法 3条の3第1項

表
取得する場面権利移動の許可
農地所有適格法人以外の法人が所有権を取得受けられない
一定の要件を満たす法人が賃借権を取得受けられる
借りている人が転貸・質入れ原則として受けられない
国・都道府県が取得要らない(市町村は要る)
遺産の分割で取得要らない
相続人でない人への特定遺贈で取得要る
競売で取得要る

根拠: 農地法 3条2項2号、農地法 3条3項、農地法 3条2項5号、農地法 3条1項5号、農地法 3条1項12号、農地法施行規則 15条5号、農地法施行規則 10条1号

覚えるコマ

覚える3条の許可が要らないのは、どんな場合か?根拠 3条1項5号
3条の許可が不要・取得者が国又は都道府県・遺産の分割によって農地の権利を取得例外に含まれない・取得者が市町村(国・都道府県だけが不要)・農地所有適格法人以外の法人の所有権取得(原則として許可を受けられない)

国・都道府県の取得と遺産の分割は許可不要。市町村は含まれない。

間違えやすいところ:取得者が市町村でも許可不要と考えてしまう(国と都道府県だけ)

3条の許可が要らないのは、どんな場合か? 国・都道府県の取得と遺産の分割は許可不要。市町村は含まれない。

要点

市町村は許可不要の対象に含まれません。国と都道府県だけです。

根拠: 農地法 3条1項5号

ひっかけ

国や都道府県だけでなく市町村も許可不要、ではありません。市町村は含まれません。

根拠: 農地法 3条1項5号

取得の届出約1分

この節でよく出るのは

  • ★ 2回相続による取得も遺産の分割による取得も、権利移動の許可は不要…

許可を受けずに農地の権利を取得できる場合があります。そのときは届出で済ませます。

根拠: 農地法 3条の3第1項

届け出るのは権利を取得した者です。時期は遅滞なく、届出先は農業委員会です。

根拠: 農地法 3条の3第1項

事例

石井さんは相続で農地を取得しました。権利移動の許可は要りませんが、遅滞なく農業委員会に届け出ます。

根拠: 農地法 3条の3第1項

権利移動の許可を受けて取得した場合などは、届出が要りません。重ねて届け出る必要がないからです。

根拠: 農地法 3条の3第1項

過去問に出た

遺産の分割による取得は、届出を免除する場合から除かれています。実務では届出が必要と整理されています。

根拠: 農地法 3条の3第1項

事例

石井さんは遺産の分割で農地を取得しました。権利移動の許可は不要ですが、届出の免除には当たらず、農業委員会への届出が必要です。

根拠: 農地法 3条の3第1項

表
取得のしかた届出
権利移動の許可を受けて取得要らない
相続で取得要る(遅滞なく農業委員会へ)
遺産の分割で取得要る

根拠: 農地法 3条の3第1項

覚えるコマ

覚える相続や遺産の分割で農地を取得したとき、許可と届出はどうなるか?根拠 3条の3
① 相続・遺産の分割で農地を取得売買などと違い、3条の許可は受けない② 3条の許可は不要権利移動の許可は要らない③ 遅滞なく農業委員会に届け出る届出は要る(3条の3)届出を忘れると、10万円以下の過料。

3条の許可は不要。遅滞なく農業委員会に届け出る。

間違えやすいところ:許可が不要なら、届出も要らないと考えてしまう

相続や遺産の分割で農地を取得したとき、許可と届出はどうなるか? 3条の許可は不要。遅滞なく農業委員会に届け出る。

要点★ 過去問で2回

相続による取得も遺産の分割による取得も、権利移動の許可は不要ですが届出は要ります。

根拠: 農地法 3条の3第1項

ひっかけ

許可が要らない取得は何も手続きが要らない、ではありません。遅滞なく届け出ます。

根拠: 農地法 3条の3第1項

転用の許可(農地を農地以外にする)約3分

この節でよく出るのは

  • ★ 2回石井さんは、市街化区域にある畑と、山あいの市街化調整区域にあ…
  • ★ 2回この届出で足りる特例は市街化区域内だけです。市街化調整区域内…

農地法は、農地を農地以外のものにするときの許可も定めています。この許可を転用の許可と呼びます。

根拠: 農地法 4条1項

場面★ 過去問で2回

石井さんは、市街化区域にある畑と、山あいの市街化調整区域にある畑の両方に家を建てたいと言いました。木村さんは「市街化区域の畑は、あらかじめ農業委員会に届け出れば許可は要らない。調整区域の畑には、この特例が使えず、知事等の許可が要るんだ」と答えました。市街化区域は、市街化を進める区域として決められているからです。佐藤さんは「同じ畑でも、区域で手続きが変わるんですね」と、区域の名前を畑の図に書き込みました。

根拠: 農地法 4条1項、農地法 4条1項7号、農地法 5条1項

農地を宅地や駐車場にするときは、転用の許可が要ります。

根拠: 農地法 4条1項

許可権者は都道府県知事等です。一定の市町村では、指定市町村の長が許可権者になります。

根拠: 農地法 4条1項

事例

石井さんは自分の農地に家を建てようとしています。農地を農地以外にするので、都道府県知事等の許可が必要です。

根拠: 農地法 4条1項

申請書は農業委員会を経由して都道府県知事等に提出します。農業委員会は意見を付けて送ります。

根拠: 農地法 4条2項

事例

石井さんは転用の許可の申請書を、まず市の農業委員会に出します。農業委員会が意見を付けて、都道府県知事等へ送ります。

根拠: 農地法 4条2項

同一の事業で30アールを超える農地を転用するときは、農業委員会は都道府県機構の意見も聴かなければなりません。

根拠: 農地法 4条4項

農用地区域内の農地などは、原則として転用が許可されません。

根拠: 農地法 4条6項1号

転用目的取得の許可を受けた農地を、その許可の目的に使うときは、改めて転用の許可は要りません。

根拠: 農地法 4条1項1号

事例

石井さんは転用目的取得の許可を受けて、転用目的で農地を取得しました。そのとおりに転用するので、転用の許可は重ねて要りません。

根拠: 農地法 4条1項1号

過去問に出た

市街化区域内の農地を転用するときは、あらかじめ農業委員会に届け出れば転用の許可が要りません。

根拠: 農地法 4条1項7号

事例

石井さんの農地は市街化区域内にあります。転用の前に農業委員会へ届け出れば、都道府県知事等の許可は要りません。

根拠: 農地法 4条1項7号

★ 過去問で2回

この届出で足りる特例は市街化区域内だけです。市街化調整区域内の農地は転用の許可が要ります。

根拠: 農地法 4条1項7号、農地法 5条1項

事例

石井さんの農地は市街化調整区域内にあります。届出では足りず、転用の許可を受けなければなりません。

根拠: 農地法 4条1項7号

過去問に出た

国や都道府県等が転用するときは、都道府県知事等との協議が成立すれば許可があったものとみなします。

根拠: 農地法 4条8項

協議の特例の対象は国または都道府県等です。指定市町村でない市町村は含まれません。

根拠: 農地法 4条8項

判定の流れ農地を転用するときの手続き

国・都道府県等が転用するか?はい知事等との協議の成立で許可とみなすいいえ市街化区域内の農地か?はいあらかじめ農業委員会に届出いいえ都道府県知事等の許可が要る

許可の申請書は、農業委員会を経由して都道府県知事等に出す。市街化調整区域の農地は、届出では足りない。

根拠: 農地法 4条1項、農地法 4条2項、農地法 4条1項7号、農地法 4条8項

表
場面手続
農地を転用する都道府県知事等の許可(申請は農業委員会経由)
市街化区域内の農地を転用するあらかじめ農業委員会に届出
国・都道府県等が転用する都道府県知事等との協議の成立で許可があったとみなす

根拠: 農地法 4条1項、農地法 4条2項、農地法 4条1項7号、農地法 4条8項

覚えるコマ

覚える市街化区域内の農地を転用するとき、手続はどうなるか?根拠 4条1項7号
転用する農地は、市街化区域内にあるか?はいあらかじめ農業委員会に届け出れば、知事等の許可は要らない(自分で転用する4条も、転用目的で取得する5条も)いいえ市街化調整区域は、4条の許可が要る(届出で足りる特例は市街化区域内に限られる)

あらかじめ農業委員会に届け出れば、許可は要らない。

間違えやすいところ:市街化調整区域でも届出で足りると考える。特例は市街化区域内だけ

市街化区域内の農地を転用するとき、手続はどうなるか? あらかじめ農業委員会に届け出れば、許可は要らない。

覚える4条の許可が要らないのは、どんな場合か?根拠 4条1項
4条の許可が要らない・市街化区域内で、あらかじめ農業委員会に届出・国又は都道府県等が、知事等と協議して成立(許可があったものとみなす)・5条の許可に係る農地をその目的に供する・採草放牧地を自ら転用(権利移動がない)4条の許可が要る・小規模な転用でも、除外に当たらなければ許可が要る・市街化調整区域の農地

市街化区域内の届出、国等の協議の成立、5条の許可済みの農地。

間違えやすいところ:小規模な転用なら4条の許可は要らないと考える。面積が小さくても原則は許可が要り、例外は2アール未満の自分の農業用施設など

4条の許可が要らないのは、どんな場合か? 市街化区域内の届出、国等の協議の成立、5条の許可済みの農地。

要点過去問に出た

転用の許可権者は都道府県知事等です。市街化区域内だけ届出で足ります。

根拠: 農地法 4条1項、農地法 4条1項7号

ひっかけ過去問に出た

市街化調整区域でも届出で足りる、ではありません。届出の特例は市街化区域内に限られます。

根拠: 農地法 4条1項7号

転用目的取得の許可(転用のために取得する)約3分

この節でよく出るのは

  • ★ 3回転用目的取得の許可にも権利移動の許可の規定が準用されます。許…
  • ★ 3回権利移動の許可は農業委員会、転用の許可と転用目的取得の許可は…
  • ★ 2回砂利採取法の認可があっても、砂利を採るために農地を一時的に借…

農地法は、転用する目的で農地の権利を取得するときの許可も定めています。この許可を転用目的取得の許可と呼びます。

根拠: 農地法 5条1項

農地を農地以外にする目的で、売買や賃借によって権利を移す場合が対象です。

根拠: 農地法 5条1項

事例

石井さんは農地を買って住宅を建てるつもりです。転用目的の権利取得なので、転用目的取得の許可が要ります。

根拠: 農地法 5条1項

許可権者は都道府県知事等です。転用の許可と同じ許可権者になります。

根拠: 農地法 5条1項

採草放牧地を採草放牧地以外のものにする目的の権利移動も、転用目的取得の許可の対象です。

根拠: 農地法 5条1項

逆に、採草放牧地を農地にするための権利移動は権利移動の許可の対象です。転用目的取得の許可ではありません。

根拠: 農地法 3条1項

事例

石井さんは採草放牧地を買って畑にしようとしています。農地にするための取得なので、権利移動の許可の対象になります。

根拠: 農地法 3条1項

過去問に出た

市街化区域内の農地を転用目的で取得するときは、あらかじめ農業委員会に届け出れば転用目的取得の許可が要りません。

根拠: 農地法 5条1項6号

事例

石井さんは市街化区域内の農地を、住宅を建てる目的で買いました。あらかじめ農業委員会に届け出れば、転用目的取得の許可は要りません。

根拠: 農地法 5条1項6号

★ 過去問で3回

転用目的取得の許可にも権利移動の許可の規定が準用されます。許可を受けないでした行為は、効力を生じません。

根拠: 農地法 5条3項

事例過去問に出た

石井さんは転用目的取得の許可を受けずに転用目的で農地を取得しました。この行為は効力を生じません。

根拠: 農地法 3条6項、農地法 5条3項

★ 過去問で2回

砂利採取法の認可があっても、砂利を採るために農地を一時的に借りるなら、許可が要ります。

根拠: 農地法 5条1項

事例

砂利採取のために農地を借りるのは、農地を農地以外にする目的の賃借です。転用目的取得の許可が要ります。

根拠: 農地法 5条1項

過去問に出た

国や都道府県等が転用目的で取得するときは、都道府県知事等との協議の成立で許可があったものとみなします。

根拠: 農地法 5条4項

表
条文対象許可権者
権利移動の許可転用を伴わない権利移動農業委員会
転用の許可農地を農地以外にする都道府県知事等
転用目的取得の許可転用目的の権利移動都道府県知事等

根拠: 農地法 3条1項、農地法 4条1項、農地法 5条1項

覚えるコマ

覚える3条の許可と5条の許可は、どう分かれるか?根拠 5条1項
権利を移すのは、農地を農地以外にするためか?はい5条。都道府県知事等の許可が要るいいえ3条。農業委員会の許可が要る5条の許可を受けないでした行為も、効力を生じない。

農地を転用するための権利移動は5条、転用しない権利移動は3条。

間違えやすいところ:採草放牧地を農地にするための権利移動は、3条の対象(5条ではない)

3条の許可と5条の許可は、どう分かれるか? 農地を転用するための権利移動は5条、転用しない権利移動は3条。

要点★ 過去問で3回

権利移動の許可は農業委員会、転用の許可と転用目的取得の許可は都道府県知事等です。転用目的取得の許可を受けずにした行為は、効力を生じません。

根拠: 農地法 3条1項、農地法 5条3項

ひっかけ

採草放牧地の取引はすべて転用目的取得の許可、ではありません。農地にするための取得は権利移動の許可です。

根拠: 農地法 3条1項、農地法 5条3項

農地の賃貸借の対抗力と解約等の許可約2分

この節でよく出るのは

  • ★ 3回許可を受けないでした行為は効力を生じず、解約の効果は生じませ…
  • ★ 2回貸主と借主は、解除・解約の申入れ・合意解約・更新をしない旨の…

農地を借りた人は、借りた農地を安心して使い続けたいと考えます。そこで対抗力(第三者に「自分の権利だ」と主張できる力)が問題になります。

根拠: 民法 605条1項

一般的な不動産の賃貸借は、登記をしなければ第三者(当事者以外の人)に対抗できません。

根拠: 民法 605条1項

過去問に出た

農地の賃貸借は例外です。登記がなくても、引渡しがあれば第三者に対抗できると考えられています。

根拠: 民法 605条1項

事例

木村さんは石井さんから農地を借りて引き渡しを受けました。その後石井さんがその農地を佐藤さんに売っても、木村さんは佐藤さんに賃借権を主張できると考えられています。

根拠: 民法 605条1項

農地の賃貸借は農家の生活の基盤です。登記の負担をかけない趣旨だと考えられています。

根拠: 農地法 18条1項

★ 過去問で2回

貸主と借主は、解除・解約の申入れ・合意解約・更新をしない旨の通知をするとき、原則として知事の許可が要ります。

根拠: 農地法 18条1項

事例

貸主の石井さんが、木村さんに貸した農地を返してもらおうと解約を申し入れます。石井さんは都道府県知事の許可を受けなければなりません。

根拠: 農地法 18条1項

★ 過去問で3回

許可を受けないでした行為は効力を生じず、解約の効果は生じません。

根拠: 農地法 18条5項

許可は、賃借人が信義に反した場合などに限って受けられます。

根拠: 農地法 18条2項1号

人物関係図農地の賃貸借の対抗力

農地を貸す賃借権を主張石井さん貸主木村さん借主佐藤さん買主

石井さんが農地を佐藤さんに売っても、借主の木村さんは登記がなくても対抗できる。

根拠: 民法 605条1項

覚えるコマ

覚える農地の賃貸借は、第三者への対抗と解約で、どんな決まりがあるか?根拠 16条
第三者への対抗・登記がなくても、引渡しがあれば対抗できる解除・解約など・解除・解約の申入れ・合意解約・更新拒否の通知は、知事の許可を受ける・許可を受けないでした行為は、効力を生じない

引渡しがあれば第三者に対抗できる。解約等には知事の許可が要る。

間違えやすいところ:賃借権の対抗に登記が要ると考える。許可なしの解約は効力を生じない

農地の賃貸借は、第三者への対抗と解約で、どんな決まりがあるか? 引渡しがあれば第三者に対抗できる。解約等には知事の許可が要る。

要点過去問に出た

農地の賃貸借は登記がなくても引渡しで対抗できます。解約には知事の許可が要ります。

根拠: 民法 605条1項、農地法 18条1項

ひっかけ

賃貸借の解約は当事者が合意すれば許可は要らない、ではありません。合意解約にも原則として許可が要ります。期限前6か月以内に成立した書面の合意などは例外です。

根拠: 農地法 18条1項

違反転用に対する措置と罰則約2分

無許可で農地を転用する人がいます。そこで是正のための仕組みがあります。

根拠: 農地法 51条1項

場面

石井さんは「許可の返事を待つ間に、先に畑をならしておきたい」と言いました。木村さんは「無許可で転用すると、知事等から工事の停止や原状回復(元の状態に戻すこと)を命じられる。罰則もある。農地を守る法律だから、先に許可を取るんだ」と止めました。佐藤さんは、まず許可の申請書を農業委員会に出すよう石井さんに勧めました。

根拠: 農地法 51条1項

都道府県知事等は、違反転用者などに対し、許可を取り消したり、工事の停止を命じたりできます。

根拠: 農地法 51条1項

相当の期限を定めて、原状回復などの措置を講ずるよう命ずることもできます。

根拠: 農地法 51条1項

事例

石井さんは無許可で農地を造成しました。知事等は石井さんに、期限を定めて原状回復するよう命ずることができます。

根拠: 農地法 51条1項

過去問に出た

命令の相手には、違反者から工事を請け負った者も含まれます。

根拠: 農地法 51条1項1号

事例

石井さんは無許可の造成工事を北町ホームに請け負わせました。北町ホームも措置命令の相手になります。

根拠: 農地法 51条1項1号

無許可の権利移動や無許可の転用などに違反した者は、罰則の対象になります。

根拠: 農地法 64条1項1号

3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金に処されます。

根拠: 農地法 64条1項1号

偽りなどの不正な手段で許可を受けた者も、同じ罰則の対象です。

根拠: 農地法 64条1項

表
違反効果・罰則
許可を受けない権利移動・転用目的の権利移動行為は効力を生じない
違反転用許可の取消し・工事停止・原状回復の命令
農地法の許可に関する規定違反3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金

根拠: 農地法 51条1項、農地法 64条1項1号

覚えるコマ

覚える違反転用をすると、どんな処分や罰則があるか?根拠 51条1項
知事等の措置命令・違反転用者等に、原状回復等の措置を命ずる・相手には、工事を請け負った者や下請人も含まれる罰則・3条・4条・5条・18条の違反は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金

原状回復等を命じられる。罰則は3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金。

間違えやすいところ:措置命令の相手は違反者だけと考える(工事を請け負った者や下請人も含まれる)

違反転用をすると、どんな処分や罰則があるか? 原状回復等を命じられる。罰則は3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金。

要点

違反転用は原状回復を命じられます。罰則は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。

根拠: 農地法 51条1項、農地法 64条1項1号

ひっかけ

無許可の転用は罰金だけで終わる、ではありません。原状回復命令の対象になり、工事の請負人も相手になります。

根拠: 農地法 51条1項

本試験ではこう出ます

本試験では「Aが農地をBに売り、Bが住宅を建てる」のように出ます。転用目的の権利移動なので、都道府県知事等の許可が要ります。

根拠: 農地法 5条1項

まとめ

  • 農地・採草放牧地にあたるかは、登記簿の地目ではなく現況で判断します。
  • 農地の権利移動には許可が要り、許可権者は農業委員会です。使用貸借による権利の設定も対象です。
  • 農地所有適格法人以外の法人は所有権を取得できませんが、一定要件を満たせば賃借権の設定は許可されます。
  • 権利取得者が国または都道府県である場合は許可が要りませんが、市町村は含まれません。
  • 遺産の分割による取得は権利移動の許可が不要ですが、取得の届出は必要です。
  • 農地を転用するには許可が要り、許可権者は都道府県知事等です。申請は農業委員会を経由します。
  • 市街化区域内の農地は、あらかじめ農業委員会に届け出れば転用の許可・転用目的取得の許可が要りません。
  • 農地の賃貸借は登記がなくても引渡しで第三者に対抗でき、解約には知事の許可が要ります。
この単元の○×を解く 4択を解く