農地法(権利移動の許可・転用の許可・転用目的取得の許可)
この単元で分かること
この単元のはじまりの場面
農地法が守ろうとしているもの約2分
この節でよく出るのは
- ★ 4回どちらに当たるかは、登記簿の地目(土地の用途)ではなく、実際…
採草放牧地は、農地以外で、主として耕作や養畜のための採草や家畜の放牧に使う土地です。
根拠: 農地法 5条1項
許可権者は場面ごとに違います。農業委員会と都道府県知事等のどちらに申請するかで、手続きが変わるからです。
根拠: 農地法 3条1項、農地法 4条1項
左右の比較権利移動の許可と転用の許可
畑を売って、買った人がそこに家を建てるときは、転用目的取得の許可になる。
根拠: 農地法 3条1項、農地法 4条1項、農地法 5条1項
権利移動の許可(農地の権利を移す)約2分
この節でよく出るのは
- ★ 3回許可を受けないでした行為は、効力を生じません。売買契約をして…
- ★ 3回石井さんと木村さんは農業委員会の許可を受けずに農地を売買しま…
- ★ 2回権利移動の許可権者は農業委員会です。許可のない行為は効力を生…
対象になる権利は、所有権のほか、地上権・永小作権・質権・使用貸借による権利・賃借権などです。
根拠: 農地法 3条1項
抵当権は、使用や収益を目的とする権利ではないので、この許可の対象に入りません。
根拠: 農地法 3条1項
許可を受けるのは当事者です。売主と買主の双方が当事者になります。
根拠: 農地法 3条1項
許可権者は農業委員会です。都道府県知事等ではありません。
根拠: 農地法 3条1項
許可には条件をつけられます。
根拠: 農地法 3条5項
覚えるコマ
3条は農業委員会。4条・5条は都道府県知事等。
間違えやすいところ:4条・5条の許可権者を、農業委員会と考えてしまう
3条・4条・5条の許可は、それぞれだれが出すか? 3条は農業委員会。4条・5条は都道府県知事等。
権利移動の許可権者は農業委員会です。許可のない行為は効力を生じません。
根拠: 農地法 3条1項、農地法 3条6項
権利移動の許可も都道府県知事が出す、ではありません。農業委員会です。
根拠: 農地法 3条6項
権利移動の許可が受けられない場合・要らない場合約3分
この節でよく出るのは
- ★ 2回賃借権や使用貸借は、一定要件を満たせば農地所有適格法人以外の…
- ★ 2回相続人でない人への特定遺贈は、許可が要ります。許可が要らない…
農地を守るため、許可を受けられる人と受けられない人が決まっています。
根拠: 農地法 3条2項2号
その要件の1つは、法人の業務を執行する役員などのうち1人以上が、その法人の農業に常時従事すると認められることです。
根拠: 農地法 3条3項3号
もう1つの要件は、地域の農業で他の農業者と適切に役割分担しながら、継続的かつ安定的に農業経営を営むと見込まれることです。
根拠: 農地法 3条3項2号
北町ホームは農地を借りたいと考えています。役員1人が常時従事し、地域で安定して農業を続ける見込みがあれば、賃借権の設定は許可されます。
根拠: 農地法 3条3項、農地法 3条3項2号、農地法 3条3項3号
農地を借りている人が転貸や質入れをしようとするときも、原則として許可を受けられません。
根拠: 農地法 3条2項5号
権利を取得する者が国または都道府県である場合は、許可が要りません。市町村は含まれません。
根拠: 農地法 3条1項5号
判定の流れ権利移動の許可が要るかどうか
本文で扱う二つの例外だけを示した図。条文にはほかの例外もある。市町村は、国・都道府県に含まれない。
根拠: 農地法 3条1項5号、農地法 3条1項12号、農地法 3条の3第1項
| 取得する場面 | 権利移動の許可 |
|---|---|
| 農地所有適格法人以外の法人が所有権を取得 | 受けられない |
| 一定の要件を満たす法人が賃借権を取得 | 受けられる |
| 借りている人が転貸・質入れ | 原則として受けられない |
| 国・都道府県が取得 | 要らない(市町村は要る) |
| 遺産の分割で取得 | 要らない |
| 相続人でない人への特定遺贈で取得 | 要る |
| 競売で取得 | 要る |
根拠: 農地法 3条2項2号、農地法 3条3項、農地法 3条2項5号、農地法 3条1項5号、農地法 3条1項12号、農地法施行規則 15条5号、農地法施行規則 10条1号
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国・都道府県の取得と遺産の分割は許可不要。市町村は含まれない。
間違えやすいところ:取得者が市町村でも許可不要と考えてしまう(国と都道府県だけ)
3条の許可が要らないのは、どんな場合か? 国・都道府県の取得と遺産の分割は許可不要。市町村は含まれない。
市町村は許可不要の対象に含まれません。国と都道府県だけです。
根拠: 農地法 3条1項5号
国や都道府県だけでなく市町村も許可不要、ではありません。市町村は含まれません。
根拠: 農地法 3条1項5号
取得の届出約1分
この節でよく出るのは
- ★ 2回相続による取得も遺産の分割による取得も、権利移動の許可は不要…
許可を受けずに農地の権利を取得できる場合があります。そのときは届出で済ませます。
根拠: 農地法 3条の3第1項
届け出るのは権利を取得した者です。時期は遅滞なく、届出先は農業委員会です。
根拠: 農地法 3条の3第1項
権利移動の許可を受けて取得した場合などは、届出が要りません。重ねて届け出る必要がないからです。
根拠: 農地法 3条の3第1項
遺産の分割による取得は、届出を免除する場合から除かれています。実務では届出が必要と整理されています。
根拠: 農地法 3条の3第1項
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3条の許可は不要。遅滞なく農業委員会に届け出る。
間違えやすいところ:許可が不要なら、届出も要らないと考えてしまう
相続や遺産の分割で農地を取得したとき、許可と届出はどうなるか? 3条の許可は不要。遅滞なく農業委員会に届け出る。
許可が要らない取得は何も手続きが要らない、ではありません。遅滞なく届け出ます。
根拠: 農地法 3条の3第1項
転用の許可(農地を農地以外にする)約3分
この節でよく出るのは
- ★ 2回石井さんは、市街化区域にある畑と、山あいの市街化調整区域にあ…
- ★ 2回この届出で足りる特例は市街化区域内だけです。市街化調整区域内…
石井さんは、市街化区域にある畑と、山あいの市街化調整区域にある畑の両方に家を建てたいと言いました。木村さんは「市街化区域の畑は、あらかじめ農業委員会に届け出れば許可は要らない。調整区域の畑には、この特例が使えず、知事等の許可が要るんだ」と答えました。市街化区域は、市街化を進める区域として決められているからです。佐藤さんは「同じ畑でも、区域で手続きが変わるんですね」と、区域の名前を畑の図に書き込みました。
根拠: 農地法 4条1項、農地法 4条1項7号、農地法 5条1項
許可権者は都道府県知事等です。一定の市町村では、指定市町村の長が許可権者になります。
根拠: 農地法 4条1項
申請書は農業委員会を経由して都道府県知事等に提出します。農業委員会は意見を付けて送ります。
根拠: 農地法 4条2項
協議の特例の対象は国または都道府県等です。指定市町村でない市町村は含まれません。
根拠: 農地法 4条8項
判定の流れ農地を転用するときの手続き
許可の申請書は、農業委員会を経由して都道府県知事等に出す。市街化調整区域の農地は、届出では足りない。
根拠: 農地法 4条1項、農地法 4条2項、農地法 4条1項7号、農地法 4条8項
根拠: 農地法 4条1項、農地法 4条2項、農地法 4条1項7号、農地法 4条8項
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あらかじめ農業委員会に届け出れば、許可は要らない。
間違えやすいところ:市街化調整区域でも届出で足りると考える。特例は市街化区域内だけ
市街化区域内の農地を転用するとき、手続はどうなるか? あらかじめ農業委員会に届け出れば、許可は要らない。
市街化区域内の届出、国等の協議の成立、5条の許可済みの農地。
間違えやすいところ:小規模な転用なら4条の許可は要らないと考える。面積が小さくても原則は許可が要り、例外は2アール未満の自分の農業用施設など
4条の許可が要らないのは、どんな場合か? 市街化区域内の届出、国等の協議の成立、5条の許可済みの農地。
転用目的取得の許可(転用のために取得する)約3分
この節でよく出るのは
- ★ 3回転用目的取得の許可にも権利移動の許可の規定が準用されます。許…
- ★ 3回権利移動の許可は農業委員会、転用の許可と転用目的取得の許可は…
- ★ 2回砂利採取法の認可があっても、砂利を採るために農地を一時的に借…
許可権者は都道府県知事等です。転用の許可と同じ許可権者になります。
根拠: 農地法 5条1項
採草放牧地を採草放牧地以外のものにする目的の権利移動も、転用目的取得の許可の対象です。
根拠: 農地法 5条1項
根拠: 農地法 3条1項、農地法 4条1項、農地法 5条1項
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農地を転用するための権利移動は5条、転用しない権利移動は3条。
間違えやすいところ:採草放牧地を農地にするための権利移動は、3条の対象(5条ではない)
3条の許可と5条の許可は、どう分かれるか? 農地を転用するための権利移動は5条、転用しない権利移動は3条。
農地の賃貸借の対抗力と解約等の許可約2分
この節でよく出るのは
- ★ 3回許可を受けないでした行為は効力を生じず、解約の効果は生じませ…
- ★ 2回貸主と借主は、解除・解約の申入れ・合意解約・更新をしない旨の…
許可を受けないでした行為は効力を生じず、解約の効果は生じません。
根拠: 農地法 18条5項
許可は、賃借人が信義に反した場合などに限って受けられます。
根拠: 農地法 18条2項1号
人物関係図農地の賃貸借の対抗力
石井さんが農地を佐藤さんに売っても、借主の木村さんは登記がなくても対抗できる。
根拠: 民法 605条1項
覚えるコマ
引渡しがあれば第三者に対抗できる。解約等には知事の許可が要る。
間違えやすいところ:賃借権の対抗に登記が要ると考える。許可なしの解約は効力を生じない
農地の賃貸借は、第三者への対抗と解約で、どんな決まりがあるか? 引渡しがあれば第三者に対抗できる。解約等には知事の許可が要る。
違反転用に対する措置と罰則約2分
石井さんは「許可の返事を待つ間に、先に畑をならしておきたい」と言いました。木村さんは「無許可で転用すると、知事等から工事の停止や原状回復(元の状態に戻すこと)を命じられる。罰則もある。農地を守る法律だから、先に許可を取るんだ」と止めました。佐藤さんは、まず許可の申請書を農業委員会に出すよう石井さんに勧めました。
根拠: 農地法 51条1項
都道府県知事等は、違反転用者などに対し、許可を取り消したり、工事の停止を命じたりできます。
根拠: 農地法 51条1項
相当の期限を定めて、原状回復などの措置を講ずるよう命ずることもできます。
根拠: 農地法 51条1項
命令の相手には、違反者から工事を請け負った者も含まれます。
根拠: 農地法 51条1項1号
石井さんは無許可の造成工事を北町ホームに請け負わせました。北町ホームも措置命令の相手になります。
根拠: 農地法 51条1項1号
無許可の権利移動や無許可の転用などに違反した者は、罰則の対象になります。
根拠: 農地法 64条1項1号
3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金に処されます。
根拠: 農地法 64条1項1号
偽りなどの不正な手段で許可を受けた者も、同じ罰則の対象です。
根拠: 農地法 64条1項
根拠: 農地法 51条1項、農地法 64条1項1号
覚えるコマ
原状回復等を命じられる。罰則は3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金。
間違えやすいところ:措置命令の相手は違反者だけと考える(工事を請け負った者や下請人も含まれる)
違反転用をすると、どんな処分や罰則があるか? 原状回復等を命じられる。罰則は3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金。
まとめ
- 農地・採草放牧地にあたるかは、登記簿の地目ではなく現況で判断します。
- 農地の権利移動には許可が要り、許可権者は農業委員会です。使用貸借による権利の設定も対象です。
- 農地所有適格法人以外の法人は所有権を取得できませんが、一定要件を満たせば賃借権の設定は許可されます。
- 権利取得者が国または都道府県である場合は許可が要りませんが、市町村は含まれません。
- 遺産の分割による取得は権利移動の許可が不要ですが、取得の届出は必要です。
- 農地を転用するには許可が要り、許可権者は都道府県知事等です。申請は農業委員会を経由します。
- 市街化区域内の農地は、あらかじめ農業委員会に届け出れば転用の許可・転用目的取得の許可が要りません。
- 農地の賃貸借は登記がなくても引渡しで第三者に対抗でき、解約には知事の許可が要ります。