共有・相隣関係・用益物権(1つの物を分けて使う)
この単元のはじまりの場面
共有とは何か約2分
この節でよく出るのは
- ★ 2回共有者の一人が持分を放棄したとき、または死亡して相続人がいな…
1つの物を2人以上で共同して持つことを共有といい、各自の取り分を持分といいます。
根拠: 民法 249条1項
持分の割合は、等しいものと推定されます。契約書がなくても、半分ずつと考えるのが出発点です。
根拠: 民法 250
持分は等しいと「推定」されるだけです。合意や事情があれば、割合は違ってきます。
根拠: 民法 250
共有物の変更と管理約2分
この節でよく出るのは
- ★ 2回共有の塀が壊れました。これは保存行為なので、共有者の山本さん…
共有物の扱いを変えるときは、何をするかによって、必要な同意の重さが変わります。
根拠: 民法 251条1項、民法 252条1項
| すること | 決め方 | 例 |
|---|---|---|
| 変更(形状・効用の著しい変更) | 他の共有者全員の同意 | 建物の取壊し、農地の宅地化 |
| 形状・効用の著しい変更を伴わない軽微な変更 | 持分の価格の過半数 | 砂利道のアスファルト舗装 |
| 管理に関する事項 | 持分の価格の過半数 | 短期の賃貸借の設定、管理者の選任 |
| 保存行為 | 各共有者が単独でできる | 壊れた壁の補修 |
根拠: 民法 251条1項、民法 252条1項、民法 252条5項
左右の比較共有物の変更と管理
壊れた壁の補修などの保存行為は、各共有者が単独でできる。
根拠: 民法 251条1項、民法 252条1項、民法 252条5項
山本さん・兄・石井さんが土地を共有しています。山本さんは駐車場として使いたいだけでしたが、兄と石井さんは店舗を建てようとしました。効用を著しく変えるので、山本さんの同意がなければ建てられません。
根拠: 民法 251条1項
共有の塀が壊れました。これは保存行為なので、共有者の山本さんは他の2人の同意を得なくても、自分で修理できます。共有地に他人名義の不実の持分移転登記があるときも、共有者の一人が単独で抹消を請求できます。
根拠: 民法 252条5項、判例 最判 平成15年7月11日
共有者が誰か分からない、所在が分からないときは、裁判所の裁判で、同意を得たものとして変更に踏み切れます。
根拠: 民法 251条2項
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変更は他の共有者の同意、管理は持分の過半数、保存は単独でできる。
間違えやすいところ:変更も過半数で足りると考えると間違える。軽微な変更は全員の同意が要らず、持分の過半数で足りる
共有物の変更・管理・保存は、それぞれ何が要るか? 変更は他の共有者の同意、管理は持分の過半数、保存は単独でできる。
山林以外の土地は5年、建物は3年、動産は6箇月が上限。
間違えやすいところ:土地の5年と建物の3年を入れ替えると間違える。分割しない契約の5年とは別
共有者が過半数で設定できる賃借権等の期間の上限は? 山林以外の土地は5年、建物は3年、動産は6箇月が上限。
変更は全員の同意、管理は持分の価格の過半数、保存行為は単独でできます。
根拠: 民法 251条1項、民法 252条1項、民法 252条5項
共有物の分割約2分
協議がまとまらないときは、裁判所に分割を請求します。裁判所は、現物を分ける方法や、1人に取得させて債務を負担させる方法を命じます。
根拠: 民法 258条1項、民法 258条2項1号、民法 258条2項2号
山本さん・兄・石井さんが1つの土地を共有していました。話し合いがまとまらず、裁判所は山本さんに土地を取得させました。山本さんは兄と石井さんへ、持分に見合う賠償金を支払います。山本さんの支払能力が確かめられています。
根拠: 民法 258条2項2号
どちらの方法もとれないときや、分けると価格が大きく下がるときは、裁判所は競売(裁判所が強制的に行う売却)を命じます。
根拠: 民法 258条3項
分割で受け取った物について、各共有者は売主と同じ担保の責任を、持分に応じて負います。
根拠: 民法 261
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5年を超えない期間内。更新しても、更新の時から5年まで。
間違えやすいところ:賃借権等の期間の上限(土地5年・建物3年)と取り違えると間違える
共有物を分割しない契約は、何年まで結べるか? 5年を超えない期間内。更新しても、更新の時から5年まで。
分割の方法は、現物分割、賠償を伴う取得、競売の3つです。参加の請求を受けながら参加させなかった分割は対抗できません。
根拠: 民法 258条2項、民法 258条3項、民法 260条2項
所在が分からない共有者がいるとき約1分
共有者の一人と連絡が取れないと、そのままでは土地を売ることも変更することもできません。そこで新しい手続きが用意されました。
根拠: 民法 262条の2第1項
山本さん・兄・石井さんの共有地で、兄と連絡が取れません。山本さんが裁判所に請求し、兄の持分を取得しました。兄は後から、山本さんに持分の時価相当額を請求できます。
根拠: 民法 262条の2第1項、民法 262条の2第4項
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裁判所の裁判で、他の共有者が持分を取得できる。
間違えやすいところ:持分を失った所在等不明共有者は、時価相当額の支払を請求できる
所在が分からない共有者の持分は、どうなるか? 裁判所の裁判で、他の共有者が持分を取得できる。
相隣関係①(境界と通行)約3分
この節でよく出るのは
- ★ 2回土地を分割したり一部を譲ったりして袋地が生じたときは、他の分…
- ★ 2回囲繞地通行権は、好きな場所を通れる権利ではありません。最も損…
石井正さんが持つ山あいの畑は、他人の土地に囲まれて、公道に出られません。「畑に行くたびに、隣の土地を通ってもいいのでしょうか」と石井さんは心配しています。木村健一さんは「通る権利はあるよ。ただし、囲んでいる土地の損害が最も少ない場所と方法を選んで、償金も払うんだ」と説明しました。
根拠: 民法 210条1項、民法 211条1項、民法 212
隣り合う土地では、互いに少しずつ我慢し合う決まりがあります。これを相隣関係といいます。
根拠: 民法 209条1項
境界の工作物の築造や修繕、境界標(土地の境を示す印)の調査、越えた枝の切取りのために、隣地を必要な範囲で使えます。住家に入るには居住者の承諾が要ります。
根拠: 民法 209条1項
隣地を使うときは、目的・日時・場所・方法をあらかじめ通知しなければなりません。
根拠: 民法 209条3項
石井さんは山本さんの土地との境にある塀を直すため、山本さんの土地に入る必要がありました。石井さんは目的・日時・場所・方法を山本さんに通知してから入ります。山本さんの住家に入るときは、さらに山本さんの承諾が要ります。
根拠: 民法 209条1項、民法 209条3項
公道に通じない土地を袋地といい、袋地の所有者は囲んでいる土地を通行できます。これが囲繞地通行権です。
根拠: 民法 210条1項
| 場面 | 通れる土地 | 償金 |
|---|---|---|
| 袋地の所有者 | 囲んでいる土地 | 必要(1年ごとの支払いも可) |
| 分割や一部譲渡で袋地が生じた | 他の分割者の所有地だけ | 不要 |
根拠: 民法 211条1項、民法 212、民法 213条1項
石井さんの土地が兄と山本さんの土地に囲まれていました。石井さんは公道に出るため、損害が最も少ない兄の土地を通ります。石井さんは兄に償金を支払います。
根拠: 民法 210条1項、民法 211条1項、民法 212
土地を分割したり一部を譲ったりして袋地が生じたときは、他の分割者の所有地だけを償金なしで通行できます。
根拠: 民法 213条1項、民法 213条2項
石井さんが自分の土地を2つに分けて、一方を山本さんに売りました。山本さんの土地が袋地になったとき、山本さんは石井さんの土地だけを償金なしで通れます。
根拠: 民法 213条1項、民法 213条2項
判定の流れ袋地の所有者はどこを通れるか
どちらも、損害が最も少ない場所と方法を選んで通る。
根拠: 民法 210条1項、民法 211条1項、民法 212、民法 213条1項、民法 213条2項
電気・ガス・水道などの継続的な供給を受けるために、他の土地に設備を設置する権利もあります。
根拠: 民法 213条の2第1項
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他の分割者の所有地のみ。償金は要らない。
間違えやすいところ:通常の囲繞地通行権は、囲んでいる他の土地を通行する。分割の場合と範囲が違う
分割で公道に通じない土地ができたとき、通行できるのは? 他の分割者の所有地のみ。償金は要らない。
袋地の通行は、必要性があり、相手の損害が最も少ない方法で行います。分割で生じた袋地は償金が不要です。
根拠: 民法 211条1項、民法 213条1項
囲繞地通行権は、好きな場所を通れる権利ではありません。最も損害の少ない場所と方法を選びます。
根拠: 民法 211条1項
相隣関係②(水・竹木・境界線付近)約1分
境界線のまわりには、水や竹木、建物に細かい決まりがあります。
根拠: 民法 223、民法 233条1項、民法 234条1項
| 場面 | 決まり |
|---|---|
| 境界標・囲障などの費用 | 境界標を設ける費用は相隣者が等しい割合で負担し、測量の費用は土地の広さに応じて分担する。 |
| 境界線上に設けた工作物 | 境界線上に設けた境界標や囲障、障壁、溝、堀は、相隣者の共有に属すると推定される。 |
| 隣地の竹木の枝が越えたとき | その所有者に切除させられる。所有者が分からないときなどは、自分で切り取れる。 |
| 隣地の竹木の根が越えたとき | 催告(所有者に切除を求める通知)をしなくても、自分で切り取れる。 |
| 建物を建てるとき | 境界線から50センチメートル以上離す。相手の宅地を見通せる窓を1メートル未満の距離に設けるときは、目隠しが要る。 |
| 井戸や池などを掘るとき | 境界線から距離を保たなければならない。隣地から自然に流れてくる水を妨げることはできない。 |
根拠: 民法 223、民法 224、民法 229、民法 233条1項、民法 233条3項2号、民法 233条4項、民法 234条1項、民法 235条1項、民法 237条1項、民法 214
山本さんの庭の木の枝が石井さんの土地に伸びていました。石井さんは山本さんに切除を求めます。山本さんの所在が分からなければ、石井さんが自分でその枝を切り取れます。
根拠: 民法 233条1項、民法 233条3項2号
数字の比べ境界線からの距離の決まり
どちらも境界線からの距離。建物は50cm以上離し、窓は1m未満なら目隠しが要る。
根拠: 民法 234条1項、民法 235条1項
石井さんが山本さんとの境界から30センチメートルの場所に建物を建てようとしました。50センチメートル以上離す決まりに反するので、山本さんは建築の中止や変更を求められます。
根拠: 民法 234条1項、民法 234条2項
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まず所有者に切除させる。催告しても切らなければ自分で切れる。
間違えやすいところ:竹木が共有なら各共有者が枝を切り取れる。根が越えたときは、根を切り取れる
隣の竹木の枝が境界線を越えてきた。自分で切れるか? まず所有者に切除させる。催告しても切らなければ自分で切れる。
境界まわりの数字は50センチメートルと1メートルです。越えた根は自分で切れますが、枝はまず所有者に求めます。
根拠: 民法 234条1項、民法 235条1項、民法 233条4項
越えた枝は、まず所有者に切除させます。自分で切れるのは、催告しても切らないとき、所有者が分からないとき、急迫の事情があるときです。
根拠: 民法 233条1項、民法 233条3項2号、民法 233条4項
用益物権(地上権と地役権)約3分
他人の土地を使う権利をまとめて用益物権といい、代表が地上権と地役権です。
根拠: 民法 265、民法 280
地上権は、他人の土地に工作物や竹木を持つために、その土地を使う権利です。土地を借りる権利に似ていますが、物権です。地上権は、抵当権の目的にすることもできます。
根拠: 民法 265、民法 369条2項
存続期間を定めなかったときは、地上権者はいつでも放棄できます。地代を払う場合は、1年前に予告するか、1年分の地代を払います。
根拠: 民法 268条1項
石井さんは山本さんの土地に地上権を設定し、アパートを建てました。期間を定めていなかったので、石井さんはいつでも放棄できます。地代を払っている場合は、1年前の予告か1年分の支払いが要ります。
根拠: 民法 268条1項
当事者が放棄しないときは、裁判所が20年以上50年以下の範囲で存続期間を定めます。
根拠: 民法 268条2項
地役権は、自分の土地の便益のために他人の土地を使う権利です。便益を受ける土地を要役地、使われる土地を承役地といいます。
根拠: 民法 280
石井さんは自分の土地から公道へ出る通路を、山本さんの土地に確保したいと考えました。石井さんの土地が要役地、山本さんの土地が承役地です。石井さんは地役権に基づいて山本さんの土地を通れます。
根拠: 民法 280、民法 281条1項
人物関係図要役地と承役地
便益を受ける土地が要役地、使われる土地が承役地。
根拠: 民法 280、民法 281条1項
地役権は要役地に従います。要役地を売れば地役権も一緒に移り、地役権だけを切り離して売ることはできません。
根拠: 民法 281条1項、民法 281条2項、民法 282条2項
地役権は、継続的に行使され、しかも外形から見て分かるものだけが、時効で取得できます。
根拠: 民法 283
覚えるコマ
要役地の所有権とともに移転し、分離して譲渡できない。
間違えやすいところ:共有者の一人は、自分の持分だけ地役権を消滅させることができない
地役権は、要役地と切り離して譲渡できるか? 要役地の所有権とともに移転し、分離して譲渡できない。
地上権は土地を使う権利、地役権は自分の土地の便益のために使う権利です。地役権は要役地から離れられません。
根拠: 民法 265、民法 280、民法 281条1項
地役権を要役地から切り離して譲ることはできません。土地と一緒にしか動きません。
根拠: 民法 281条2項
用益物権②(永小作権)約2分
永小作権は、小作料を払って他人の土地で耕作や牧畜をする権利で、農地を借りて農業をするための物権です。
根拠: 民法 270
地上権が建物や竹木のための権利なのに対し、永小作権は農業のための権利です。
根拠: 民法 270、民法 265
石井さんは山本さんの農地で永小作権を設定して米を作り始めました。石井さんは小作料を山本さんに払い続けます。石井さんの権利は物権なので、山本さんが農地を売っても石井さんは農業を続けられます。
根拠: 民法 270
存続期間は20年以上50年以下です。それより長く定めても、50年とされます。
根拠: 民法 278条1項
設定は更新できますが、更新後の期間も更新の時から50年を超えられません。
根拠: 民法 278条2項
石井さんと山本さんは永小作権を60年と定めました。60年は長すぎるので50年とされます。
根拠: 民法 278条1項
永小作人は、権利を他人に譲ったり、耕作や牧畜のために土地を貸したりできます。設定行為で禁じたときはできません。
根拠: 民法 272
不可抗力で収益の損失を受けても、小作料の免除や減額は請求できません。借地借家法の借賃減額とは扱いが違います。
根拠: 民法 274
不作で石井さんの収入が大きく減りました。それでも石井さんは山本さんに小作料の減額を請求できません。
根拠: 民法 274
永小作人が2年以上続けて小作料を払わないときは、土地の所有者は永小作権の消滅を請求できます。
根拠: 民法 276条1項
| 項目 | 永小作権の内容 |
|---|---|
| 目的 | 耕作または牧畜 |
| 存続期間 | 20年以上50年以下(長く定めても50年) |
| 譲渡・賃貸 | できる(設定行為で禁止できる) |
| 小作料の減免 | 不可抗力でも請求できない |
| 消滅請求 | 2年以上の小作料不払い |
根拠: 民法 270、民法 278条1項、民法 272、民法 274、民法 276条1項
覚えるコマ
存続期間は20年以上50年以下。2年以上の小作料不払で消滅請求。
間違えやすいところ:不可抗力で収益が減っても、小作料の免除・減額は請求できない
永小作権の存続期間と、消滅請求のルールは? 存続期間は20年以上50年以下。2年以上の小作料不払で消滅請求。
永小作権は農業のための物権で、期間は20年以上50年以下、2年以上の小作料不払いで消滅を請求されます。
根拠: 民法 278条1項、民法 276条1項
不作のときは小作料を減らせる、ではありません。永小作人は不可抗力でも減免を請求できません。
根拠: 民法 274
本試験では「A・B・Cが土地を共有している」のように出ます。変更か、管理か、保存行為かを分けて、必要な同意を決めます。
根拠: 民法 251条1項、民法 252条1項、民法 252条5項
まとめ
- 共有の持分は等しいと推定され、各共有者は共有物の全部を持分に応じて使えます。
- 持分を超えて使う共有者は、他の共有者に対価を償還します。管理の費用も持分に応じて負担します。
- 形状や効用を著しく変える変更は全員の同意、管理の事項は持分の価格の過半数、保存行為は単独でできます。
- 共有物はいつでも分割を請求でき、裁判所は現物分割、賠償による取得、競売の方法を命じます。
- 参加を請求した権利者を参加させずに分割したときは、その分割を対抗できません。
- 所在不明の共有者の持分は裁判所の裁判で取得できますが、相続開始から10年未満の相続財産ではできません。
- 袋地の所有者は囲んでいる土地を通行でき、分割で生じた袋地は償金なしで他の分割地を通れます。
- 境界標の費用は等しい割合、建物は境界線から50センチメートル以上です。地上権・地役権・永小作権は土地を使う物権です。