権利関係

共有・相隣関係・用益物権(1つの物を分けて使う)

権利関係読む目安 約16分図 4場面つき

この単元で分かること

  • 持分の考え方と、共有物の変更・管理の決め方を学びます。
  • 共有物の分割と、所在不明の共有者の扱いを学びます。
  • 隣の土地とのルールと、地上権・地役権の違いを学びます。

この単元のはじまりの場面

場面

山本和子さんは、亡くなった親の家を、兄と半分ずつ相続して共有しています。古くなったので取り壊して更地にしたいと言うと、兄は「まだ壊したくない」と反対しました。「なぜ私だけで決められないのですか」と山本さんが聞くと、木村健一さんは「建物を壊す変更には、共有者全員の同意が要るんだ。持分が小さい人でも反対できる、強い権利でね」と答えました。山本さんは、兄ともう一度話し合うことにしました。

共有とは何か約2分

この節でよく出るのは

  • ★ 2回共有者の一人が持分を放棄したとき、または死亡して相続人がいな…

1つの物を2人以上で共同して持つことを共有といい、各自の取り分を持分といいます。

根拠: 民法 249条1項

持分の割合は、等しいものと推定されます。契約書がなくても、半分ずつと考えるのが出発点です。

根拠: 民法 250

各共有者は、共有物の全部を、持分に応じて使えます。自分の持分にあたる場所だけを使う、という考え方ではありません。

根拠: 民法 249条1項

事例

山本さんと兄が土地を半分ずつ共有していました。山本さんがその土地の全部を使い続けると、山本さんは兄に対し、持分を超える使用の対価を支払う義務を負います。

根拠: 民法 249条2項

管理の費用その他の負担は、持分に応じて負います。1年以内にこの義務を果たさない共有者があれば、他の共有者は相当の償金を支払ってその持分を取得できます。

根拠: 民法 253条1項、民法 253条2項

事例

兄が共有地の管理費を負担しませんでした。1年を過ぎても払わないので、山本さんは相当の償金を支払い、兄の持分を取得できます。

根拠: 民法 253条2項

★ 過去問で2回

共有者の一人が持分を放棄したとき、または死亡して相続人がいないときは、その持分は他の共有者に帰属します。

根拠: 民法 255

要点

共有は、全体を使う権利を持分の割合で分け合う仕組みです。費用も同じ割合で負担します。

根拠: 民法 249条1項、民法 253条1項

ひっかけ

持分は等しいと「推定」されるだけです。合意や事情があれば、割合は違ってきます。

根拠: 民法 250

共有物の変更と管理約2分

この節でよく出るのは

  • ★ 2回共有の塀が壊れました。これは保存行為なので、共有者の山本さん…

共有物の扱いを変えるときは、何をするかによって、必要な同意の重さが変わります。

根拠: 民法 251条1項、民法 252条1項

表
すること決め方例
変更(形状・効用の著しい変更)他の共有者全員の同意建物の取壊し、農地の宅地化
形状・効用の著しい変更を伴わない軽微な変更持分の価格の過半数砂利道のアスファルト舗装
管理に関する事項持分の価格の過半数短期の賃貸借の設定、管理者の選任
保存行為各共有者が単独でできる壊れた壁の補修

根拠: 民法 251条1項、民法 252条1項、民法 252条5項

左右の比較共有物の変更と管理

変更著しく変える管理使い方を決める決め方他の共有者全員の同意持分の価格の過半数例建物の取壊し短期の賃貸借の設定反対する人持分が小さくても止められる過半数なら決まる

壊れた壁の補修などの保存行為は、各共有者が単独でできる。

根拠: 民法 251条1項、民法 252条1項、民法 252条5項

過去問に出た

形や効用を著しく変える変更には、他の共有者全員の同意が要ります。持分が小さくても拒否できる強い権利です。

根拠: 民法 251条1項

事例

山本さん・兄・石井さんが土地を共有しています。山本さんは駐車場として使いたいだけでしたが、兄と石井さんは店舗を建てようとしました。効用を著しく変えるので、山本さんの同意がなければ建てられません。

根拠: 民法 251条1項

管理の事項は、持分の価格に従い、その過半数で決めます。共有物を使っている共有者があるときも同じです。

根拠: 民法 252条1項

事例★ 過去問で2回

共有の塀が壊れました。これは保存行為なので、共有者の山本さんは他の2人の同意を得なくても、自分で修理できます。共有地に他人名義の不実の持分移転登記があるときも、共有者の一人が単独で抹消を請求できます。

根拠: 民法 252条5項、判例 最判 平成15年7月11日

共有者が誰か分からない、所在が分からないときは、裁判所の裁判で、同意を得たものとして変更に踏み切れます。

根拠: 民法 251条2項

覚えるコマ

覚える共有物の変更・管理・保存は、それぞれ何が要るか?根拠 251条1項
変更形状・効用の著しい変更。他の共有者の同意が要る管理管理者の選任・解任を含む。持分の価格の過半数で決める保存各共有者が単独でできる管理の決定が使用中の共有者に特別の影響を及ぼすときは、その承諾が要る。

変更は他の共有者の同意、管理は持分の過半数、保存は単独でできる。

間違えやすいところ:変更も過半数で足りると考えると間違える。軽微な変更は全員の同意が要らず、持分の過半数で足りる

共有物の変更・管理・保存は、それぞれ何が要るか? 変更は他の共有者の同意、管理は持分の過半数、保存は単独でできる。

覚える共有者が過半数で設定できる賃借権等の期間の上限は?根拠 252条4項
土地(山林以外)5年建物3年動産6箇月各共有者が、持分の価格の過半数で設定できる賃借権等の上限。

山林以外の土地は5年、建物は3年、動産は6箇月が上限。

間違えやすいところ:土地の5年と建物の3年を入れ替えると間違える。分割しない契約の5年とは別

共有者が過半数で設定できる賃借権等の期間の上限は? 山林以外の土地は5年、建物は3年、動産は6箇月が上限。

要点

変更は全員の同意、管理は持分の価格の過半数、保存行為は単独でできます。

根拠: 民法 251条1項、民法 252条1項、民法 252条5項

ひっかけ

管理の事項は「共有者の人数の過半数」ではありません。持分の価格の過半数で決めます。

根拠: 民法 252条1項

共有物の分割約2分

過去問に出た

各共有者は、いつでも共有物の分割を請求できます。5年を超えない期間にかぎり、分割しない契約もできます。

根拠: 民法 256条1項

協議がまとまらないときは、裁判所に分割を請求します。裁判所は、現物を分ける方法や、1人に取得させて債務を負担させる方法を命じます。

根拠: 民法 258条1項、民法 258条2項1号、民法 258条2項2号

事例

山本さん・兄・石井さんが1つの土地を共有していました。話し合いがまとまらず、裁判所は山本さんに土地を取得させました。山本さんは兄と石井さんへ、持分に見合う賠償金を支払います。山本さんの支払能力が確かめられています。

根拠: 民法 258条2項2号

過去問に出た

どちらの方法もとれないときや、分けると価格が大きく下がるときは、裁判所は競売(裁判所が強制的に行う売却)を命じます。

根拠: 民法 258条3項

共有物に権利を持つ人や、共有者の債権者(共有者にお金を貸している人など)も、自分の費用で分割に参加できます。

根拠: 民法 260条1項

事例

山本さんの持分に抵当権が付いていました。抵当権者が参加を請求したのに、参加させないで分割をしました。その分割の内容は抵当権者に対抗できません。

根拠: 民法 260条2項

分割で受け取った物について、各共有者は売主と同じ担保の責任を、持分に応じて負います。

根拠: 民法 261

覚えるコマ

覚える共有物を分割しない契約は、何年まで結べるか?根拠 256条2項
分割しない契約5年を超えない更新したとき更新の時から5年協議が調わないときは、裁判所に分割を請求できる。

5年を超えない期間内。更新しても、更新の時から5年まで。

間違えやすいところ:賃借権等の期間の上限(土地5年・建物3年)と取り違えると間違える

共有物を分割しない契約は、何年まで結べるか? 5年を超えない期間内。更新しても、更新の時から5年まで。

要点

分割の方法は、現物分割、賠償を伴う取得、競売の3つです。参加の請求を受けながら参加させなかった分割は対抗できません。

根拠: 民法 258条2項、民法 258条3項、民法 260条2項

ひっかけ

共有物の分割は、必ず現物を分けるものではありません。1人が全部を取り、他の人に金銭を払う方法もあります。

根拠: 民法 258条2項2号

所在が分からない共有者がいるとき約1分

共有者の一人と連絡が取れないと、そのままでは土地を売ることも変更することもできません。そこで新しい手続きが用意されました。

根拠: 民法 262条の2第1項

裁判所は、請求した共有者に、所在が分からない共有者の持分を取得させられます。

根拠: 民法 262条の2第1項

ただし、その持分が相続財産で、相続が始まってから10年を経過していないときは、この裁判はできません。

根拠: 民法 262条の2第3項

事例

山本さん・兄・石井さんの共有地で、兄と連絡が取れません。山本さんが裁判所に請求し、兄の持分を取得しました。兄は後から、山本さんに持分の時価相当額を請求できます。

根拠: 民法 262条の2第1項、民法 262条の2第4項

持分を取得した共有者は、所在が分からない共有者に対して、時価相当額を支払います。

根拠: 民法 262条の2第4項

覚えるコマ

覚える所在が分からない共有者の持分は、どうなるか?根拠 262条の2第1項
共有者が、他の共有者の所在を知ることができない裁判所が、持分を取得させる裁判をするその共有者が、所在等不明共有者の持分を取得所在等不明共有者は、金銭を請求できる持分の時価相当額の支払を請求できる

裁判所の裁判で、他の共有者が持分を取得できる。

間違えやすいところ:持分を失った所在等不明共有者は、時価相当額の支払を請求できる

所在が分からない共有者の持分は、どうなるか? 裁判所の裁判で、他の共有者が持分を取得できる。

要点

共有者の所在が分からなくても、裁判所の手続きで共有関係を解消できます。代金は後から請求されます。

根拠: 民法 262条の2第1項、民法 262条の2第4項

ひっかけ

所在不明の共有者の持分は、いつでも取得できるわけではありません。相続財産で相続開始から10年未満ならできません。

根拠: 民法 262条の2第3項

相隣関係①(境界と通行)約3分

この節でよく出るのは

  • ★ 2回土地を分割したり一部を譲ったりして袋地が生じたときは、他の分…
  • ★ 2回囲繞地通行権は、好きな場所を通れる権利ではありません。最も損…
場面

石井正さんが持つ山あいの畑は、他人の土地に囲まれて、公道に出られません。「畑に行くたびに、隣の土地を通ってもいいのでしょうか」と石井さんは心配しています。木村健一さんは「通る権利はあるよ。ただし、囲んでいる土地の損害が最も少ない場所と方法を選んで、償金も払うんだ」と説明しました。

根拠: 民法 210条1項、民法 211条1項、民法 212

隣り合う土地では、互いに少しずつ我慢し合う決まりがあります。これを相隣関係といいます。

根拠: 民法 209条1項

過去問に出た

境界の工作物の築造や修繕、境界標(土地の境を示す印)の調査、越えた枝の切取りのために、隣地を必要な範囲で使えます。住家に入るには居住者の承諾が要ります。

根拠: 民法 209条1項

隣地を使うときは、目的・日時・場所・方法をあらかじめ通知しなければなりません。

根拠: 民法 209条3項

事例

石井さんは山本さんの土地との境にある塀を直すため、山本さんの土地に入る必要がありました。石井さんは目的・日時・場所・方法を山本さんに通知してから入ります。山本さんの住家に入るときは、さらに山本さんの承諾が要ります。

根拠: 民法 209条1項、民法 209条3項

公道に通じない土地を袋地といい、袋地の所有者は囲んでいる土地を通行できます。これが囲繞地通行権です。

根拠: 民法 210条1項

表
場面通れる土地償金
袋地の所有者囲んでいる土地必要(1年ごとの支払いも可)
分割や一部譲渡で袋地が生じた他の分割者の所有地だけ不要

根拠: 民法 211条1項、民法 212、民法 213条1項

事例

石井さんの土地が兄と山本さんの土地に囲まれていました。石井さんは公道に出るため、損害が最も少ない兄の土地を通ります。石井さんは兄に償金を支払います。

根拠: 民法 210条1項、民法 211条1項、民法 212

★ 過去問で2回

土地を分割したり一部を譲ったりして袋地が生じたときは、他の分割者の所有地だけを償金なしで通行できます。

根拠: 民法 213条1項、民法 213条2項

事例

石井さんが自分の土地を2つに分けて、一方を山本さんに売りました。山本さんの土地が袋地になったとき、山本さんは石井さんの土地だけを償金なしで通れます。

根拠: 民法 213条1項、民法 213条2項

判定の流れ袋地の所有者はどこを通れるか

他の土地に囲まれ、公道に通じないか?はい分割や一部の譲渡で袋地になったか?はい分割者の土地を、償金なしで通るいいえ囲む土地を、償金を払って通るいいえ囲繞地通行権は使えない

どちらも、損害が最も少ない場所と方法を選んで通る。

根拠: 民法 210条1項、民法 211条1項、民法 212、民法 213条1項、民法 213条2項

電気・ガス・水道などの継続的な供給を受けるために、他の土地に設備を設置する権利もあります。

根拠: 民法 213条の2第1項

覚えるコマ

覚える分割で公道に通じない土地ができたとき、通行できるのは?根拠 213条1項
分割・一部譲渡のとき・他の分割者・譲受人の所有地のみ通行できる・償金は要らない電気・ガス・水道水などの設備・必要な範囲で他の土地に設置できる・分割では、他の分割者の所有地のみ通行の場所・方法は、他の土地に損害が最も少ないものを選ぶ。

他の分割者の所有地のみ。償金は要らない。

間違えやすいところ:通常の囲繞地通行権は、囲んでいる他の土地を通行する。分割の場合と範囲が違う

分割で公道に通じない土地ができたとき、通行できるのは? 他の分割者の所有地のみ。償金は要らない。

要点

袋地の通行は、必要性があり、相手の損害が最も少ない方法で行います。分割で生じた袋地は償金が不要です。

根拠: 民法 211条1項、民法 213条1項

ひっかけ★ 過去問で2回

囲繞地通行権は、好きな場所を通れる権利ではありません。最も損害の少ない場所と方法を選びます。

根拠: 民法 211条1項

相隣関係②(水・竹木・境界線付近)約1分

境界線のまわりには、水や竹木、建物に細かい決まりがあります。

根拠: 民法 223、民法 233条1項、民法 234条1項

表
場面決まり
境界標・囲障などの費用境界標を設ける費用は相隣者が等しい割合で負担し、測量の費用は土地の広さに応じて分担する。
境界線上に設けた工作物境界線上に設けた境界標や囲障、障壁、溝、堀は、相隣者の共有に属すると推定される。
隣地の竹木の枝が越えたときその所有者に切除させられる。所有者が分からないときなどは、自分で切り取れる。
隣地の竹木の根が越えたとき催告(所有者に切除を求める通知)をしなくても、自分で切り取れる。
建物を建てるとき境界線から50センチメートル以上離す。相手の宅地を見通せる窓を1メートル未満の距離に設けるときは、目隠しが要る。
井戸や池などを掘るとき境界線から距離を保たなければならない。隣地から自然に流れてくる水を妨げることはできない。

根拠: 民法 223、民法 224、民法 229、民法 233条1項、民法 233条3項2号、民法 233条4項、民法 234条1項、民法 235条1項、民法 237条1項、民法 214

事例

石井さんと山本さんの土地の境に堀を作りました。費用は石井さんと山本さんが等しい割合で負担し、その堀は2人の共有と推定されます。

根拠: 民法 224、民法 229

事例

山本さんの庭の木の枝が石井さんの土地に伸びていました。石井さんは山本さんに切除を求めます。山本さんの所在が分からなければ、石井さんが自分でその枝を切り取れます。

根拠: 民法 233条1項、民法 233条3項2号

数字の比べ境界線からの距離の決まり

建物50cm以上離す50cm見通せる窓1m未満は目隠し100cm

どちらも境界線からの距離。建物は50cm以上離し、窓は1m未満なら目隠しが要る。

根拠: 民法 234条1項、民法 235条1項

事例

石井さんが山本さんとの境界から30センチメートルの場所に建物を建てようとしました。50センチメートル以上離す決まりに反するので、山本さんは建築の中止や変更を求められます。

根拠: 民法 234条1項、民法 234条2項

覚えるコマ

覚える隣の竹木の枝が境界線を越えてきた。自分で切れるか?根拠 233条1項
竹木の所有者に、枝を切除させるまず、これをする催告しても、相当の期間内に切除しない土地の所有者が、自ら枝を切り取れる根が境界線を越えるときは、その根を切り取れる。

まず所有者に切除させる。催告しても切らなければ自分で切れる。

間違えやすいところ:竹木が共有なら各共有者が枝を切り取れる。根が越えたときは、根を切り取れる

隣の竹木の枝が境界線を越えてきた。自分で切れるか? まず所有者に切除させる。催告しても切らなければ自分で切れる。

要点

境界まわりの数字は50センチメートルと1メートルです。越えた根は自分で切れますが、枝はまず所有者に求めます。

根拠: 民法 234条1項、民法 235条1項、民法 233条4項

ひっかけ

越えた枝は、まず所有者に切除させます。自分で切れるのは、催告しても切らないとき、所有者が分からないとき、急迫の事情があるときです。

根拠: 民法 233条1項、民法 233条3項2号、民法 233条4項

用益物権(地上権と地役権)約3分

他人の土地を使う権利をまとめて用益物権といい、代表が地上権と地役権です。

根拠: 民法 265、民法 280

地上権は、他人の土地に工作物や竹木を持つために、その土地を使う権利です。土地を借りる権利に似ていますが、物権です。地上権は、抵当権の目的にすることもできます。

根拠: 民法 265、民法 369条2項

存続期間を定めなかったときは、地上権者はいつでも放棄できます。地代を払う場合は、1年前に予告するか、1年分の地代を払います。

根拠: 民法 268条1項

事例

石井さんは山本さんの土地に地上権を設定し、アパートを建てました。期間を定めていなかったので、石井さんはいつでも放棄できます。地代を払っている場合は、1年前の予告か1年分の支払いが要ります。

根拠: 民法 268条1項

当事者が放棄しないときは、裁判所が20年以上50年以下の範囲で存続期間を定めます。

根拠: 民法 268条2項

地役権は、自分の土地の便益のために他人の土地を使う権利です。便益を受ける土地を要役地、使われる土地を承役地といいます。

根拠: 民法 280

事例

石井さんは自分の土地から公道へ出る通路を、山本さんの土地に確保したいと考えました。石井さんの土地が要役地、山本さんの土地が承役地です。石井さんは地役権に基づいて山本さんの土地を通れます。

根拠: 民法 280、民法 281条1項

人物関係図要役地と承役地

地役権で通る公道へ要役地便益を受ける承役地通路にされる公道

便益を受ける土地が要役地、使われる土地が承役地。

根拠: 民法 280、民法 281条1項

地役権は要役地に従います。要役地を売れば地役権も一緒に移り、地役権だけを切り離して売ることはできません。

根拠: 民法 281条1項、民法 281条2項、民法 282条2項

地役権は、継続的に行使され、しかも外形から見て分かるものだけが、時効で取得できます。

根拠: 民法 283

事例

石井さんが山本さんの土地上の私道を、20年間続けて、外から分かる形で使ってきました。石井さんは地役権を時効で取得できます。たまにしか通っていなければ取得できません。

根拠: 民法 283

覚えるコマ

覚える地役権は、要役地と切り離して譲渡できるか?根拠 281条2項
付従性・要役地の所有権とともに移転する・要役地から分離して譲渡できない時効取得・継続的に行使され、外形上認識できるものに限る・共有者の一人が取得すれば、他の共有者も取得する権利の一部を行使しないときは、その部分のみが時効で消滅する。

要役地の所有権とともに移転し、分離して譲渡できない。

間違えやすいところ:共有者の一人は、自分の持分だけ地役権を消滅させることができない

地役権は、要役地と切り離して譲渡できるか? 要役地の所有権とともに移転し、分離して譲渡できない。

要点

地上権は土地を使う権利、地役権は自分の土地の便益のために使う権利です。地役権は要役地から離れられません。

根拠: 民法 265、民法 280、民法 281条1項

ひっかけ

地役権を要役地から切り離して譲ることはできません。土地と一緒にしか動きません。

根拠: 民法 281条2項

用益物権②(永小作権)約2分

永小作権は、小作料を払って他人の土地で耕作や牧畜をする権利で、農地を借りて農業をするための物権です。

根拠: 民法 270

地上権が建物や竹木のための権利なのに対し、永小作権は農業のための権利です。

根拠: 民法 270、民法 265

事例

石井さんは山本さんの農地で永小作権を設定して米を作り始めました。石井さんは小作料を山本さんに払い続けます。石井さんの権利は物権なので、山本さんが農地を売っても石井さんは農業を続けられます。

根拠: 民法 270

存続期間は20年以上50年以下です。それより長く定めても、50年とされます。

根拠: 民法 278条1項

設定は更新できますが、更新後の期間も更新の時から50年を超えられません。

根拠: 民法 278条2項

事例

石井さんと山本さんは永小作権を60年と定めました。60年は長すぎるので50年とされます。

根拠: 民法 278条1項

永小作人は、権利を他人に譲ったり、耕作や牧畜のために土地を貸したりできます。設定行為で禁じたときはできません。

根拠: 民法 272

不可抗力で収益の損失を受けても、小作料の免除や減額は請求できません。借地借家法の借賃減額とは扱いが違います。

根拠: 民法 274

事例

不作で石井さんの収入が大きく減りました。それでも石井さんは山本さんに小作料の減額を請求できません。

根拠: 民法 274

永小作人が2年以上続けて小作料を払わないときは、土地の所有者は永小作権の消滅を請求できます。

根拠: 民法 276条1項

表
項目永小作権の内容
目的耕作または牧畜
存続期間20年以上50年以下(長く定めても50年)
譲渡・賃貸できる(設定行為で禁止できる)
小作料の減免不可抗力でも請求できない
消滅請求2年以上の小作料不払い

根拠: 民法 270、民法 278条1項、民法 272、民法 274、民法 276条1項

覚えるコマ

覚える永小作権の存続期間と、消滅請求のルールは?根拠 278条1項
存続期間20年以上50年以下。長く定めても50年消滅請求2年以上の小作料不払で、消滅を請求できる不可抗力収益の損失があっても、免除・減額を請求できない設定行為で禁じたときを除き、権利の譲渡や賃貸ができる。

存続期間は20年以上50年以下。2年以上の小作料不払で消滅請求。

間違えやすいところ:不可抗力で収益が減っても、小作料の免除・減額は請求できない

永小作権の存続期間と、消滅請求のルールは? 存続期間は20年以上50年以下。2年以上の小作料不払で消滅請求。

要点

永小作権は農業のための物権で、期間は20年以上50年以下、2年以上の小作料不払いで消滅を請求されます。

根拠: 民法 278条1項、民法 276条1項

ひっかけ

不作のときは小作料を減らせる、ではありません。永小作人は不可抗力でも減免を請求できません。

根拠: 民法 274

本試験ではこう出ます

本試験では「A・B・Cが土地を共有している」のように出ます。変更か、管理か、保存行為かを分けて、必要な同意を決めます。

根拠: 民法 251条1項、民法 252条1項、民法 252条5項

まとめ

  • 共有の持分は等しいと推定され、各共有者は共有物の全部を持分に応じて使えます。
  • 持分を超えて使う共有者は、他の共有者に対価を償還します。管理の費用も持分に応じて負担します。
  • 形状や効用を著しく変える変更は全員の同意、管理の事項は持分の価格の過半数、保存行為は単独でできます。
  • 共有物はいつでも分割を請求でき、裁判所は現物分割、賠償による取得、競売の方法を命じます。
  • 参加を請求した権利者を参加させずに分割したときは、その分割を対抗できません。
  • 所在不明の共有者の持分は裁判所の裁判で取得できますが、相続開始から10年未満の相続財産ではできません。
  • 袋地の所有者は囲んでいる土地を通行でき、分割で生じた袋地は償金なしで他の分割地を通れます。
  • 境界標の費用は等しい割合、建物は境界線から50センチメートル以上です。地上権・地役権・永小作権は土地を使う物権です。
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