権利関係

抵当権・担保物権(お金を借りる仕組みを支える権利)

権利関係読む目安 約16分図 4場面つき

この単元で分かること

この単元のはじまりの場面

場面

田中大輔さん夫婦は、住宅ローンを借りて家を買うことにしました。銀行から「家に抵当権を付けます」と言われ、美咲さんは「返せなくなったら家を取られるのですか」と不安そうです。木村健一さんは「抵当権は、家を銀行に渡さずに担保にする仕組みだよ。ふだんは住み続けられて、返せなくなったときだけ、競売で他の債権者より先に回収されるんだ」と説明しました。貸す側は返してもらう備えを、借りる側は住み続けることを、それぞれ守れるからです。

担保物権とは何か、抵当権の性質約2分

お金を貸す人は、返してもらえないときの備えが要ります。その備えが担保で、担保を取る権利を担保物権といいます。

根拠: 民法 369条1項

抵当権は、土地や建物を担保に入れても、持ち主から占有を移さない点が特徴です。住みながらお金を借りられます。

根拠: 民法 369条1項

抵当権者は、他の債権者に先立って弁済を受けられます。これを優先弁済権といいます。

根拠: 民法 369条1項

事例

田中さんが銀行から1000万円を借り、自分の土地に抵当権を付けました。田中さんが返さないと、銀行は土地を競売し、他の一般の債権者より先に代金から回収できます。田中さんは競売まで土地に住み続けられます。

根拠: 民法 369条1項

債務者と抵当権設定者に対しては、抵当権は被担保債権と同時でなければ時効で消滅しません。抵当権だけが先に時効で消えることはありません。

根拠: 民法 396

事例

銀行の田中さんに対する債権が残っている間は、抵当権だけが時効で消えることはありません。債権が時効で消えれば、抵当権も一緒に消えます。

根拠: 民法 396

抵当権は分けられません。一部の弁済を受けても目的物の全部に効力が及び、これを不可分性といいます。

根拠: 民法 372、民法 296

要点

抵当権の3つの特徴は、占有を移さないこと、優先弁済を受けること、目的物の全部に及ぶことです。

根拠: 民法 369条1項、民法 296

ひっかけ

抵当権は占有を移しません。占有を移すのは質権なので、同じ担保でも混同しないよう区別します。

根拠: 民法 369条1項、民法 342

抵当権の効力が及ぶ範囲と物上代位約2分

抵当権は、土地の上の建物を除き、目的の不動産に付加して一体となった物に及びます。庭の石や造園木などです。

根拠: 民法 370

抵当不動産から生じる果実(家賃や収穫物など、物から生み出される収入や産物)には、返済が滞った後から効力が及びます。

根拠: 民法 371

事例

田中さんが抵当権を付けたアパートの家賃収入は、田中さんが返済を滞らせた後なら、銀行の抵当権の効力が及びます。滞る前の家賃には及びません。

根拠: 民法 371

過去問に出た

担保の目的物が売れたり壊れたりして、持ち主が受け取るお金にも抵当権は及びます。これを物上代位といいます。建物が火事で焼けたときの火災保険金も、これにあたります。

根拠: 民法 372、民法 304条1項

ただし、物上代位をするには、受け取るお金が払い渡される前に差押えをしなければなりません。

根拠: 民法 304条1項

事例

銀行が抵当不動産の家賃債権を差し押さえれば、物上代位できます。家賃債権が第三者に譲渡され、対抗要件が備わっていても、銀行は差押えで物上代位できます。

根拠: 民法 304条1項

人物関係図物上代位は差押えが先

差押え家賃の払渡し銀行抵当権者賃借人家賃を払う所有者設定者

家賃が所有者に払い渡される前に、抵当権者が差し押さえる。

根拠: 民法 372、民法 304条1項

利息などの定期金は、満期になった最後の2年分についてだけ、抵当権で優先弁済を受けられます。

根拠: 民法 375条1項

覚えるコマ

覚える賃料への物上代位は、いつまでに何をすればよいか?根拠 304条1項
賃料などが払い渡される前に払渡し・引渡しの前であること抵当権者が差押えをする物上代位ができる差押えをしないと、物上代位はできない

払渡し・引渡しの前に、差押えをしないとできない。

間違えやすいところ:賃料債権が譲渡され、対抗要件が備わったあとでも、差押えをすれば物上代位できる(判例)

賃料への物上代位は、いつまでに何をすればよいか? 払渡し・引渡しの前に、差押えをしないとできない。

覚える抵当権設定後に土地に築造された建物は、どう扱われるか?根拠 389条1項
効力が及ぶ物・抵当地の建物を除き、付加して一体となった物設定後に築造された建物・土地と一緒に競売できる・優先権があるのは、土地の代価のみ抵当権は、占有を移さず、他の債権者に先立って弁済を受ける。

建物も一緒に競売できるが、優先権は土地の代価のみ。

間違えやすいところ:抵当権の効力は、抵当地の建物には及ばない(付加して一体となった物とは別)

抵当権設定後に土地に築造された建物は、どう扱われるか? 建物も一緒に競売できるが、優先権は土地の代価のみ。

要点

物上代位は「払渡し・引渡しの前の差押え」が鍵です。利息は最後の2年分だけです。

根拠: 民法 304条1項、民法 375条1項

ひっかけ

物上代位は、お金が支払われた後に主張するのでは間に合いません。払渡しの前に差し押さえます。

根拠: 民法 304条1項

抵当権の順位と処分約1分

表
決まり内容
抵当権の順位同じ不動産に複数の抵当権が付いたとき、順位は登記の前後で決まります。先に登記した人が先に回収できます。
順位の変更抵当権者どうしの合意で入れ替えられます。利害関係がある人がいれば、その承諾が要ります。変更は登記をしなければ効力を生じず、合意だけでは第三者に主張できません。
抵当権や順位の処分自分の抵当権や順位を、他の債権の担保にできます。また、同じ債務者の他の債権者のために譲ったり放棄したりできます。主たる債務者に通知するか承諾を得なければ、債務者や保証人などに対抗できません。

根拠: 民法 373、民法 374条1項、民法 374条2項、民法 376条1項、民法 377条1項

事例

田中さんの土地に、銀行が1番で、信用金庫が2番で抵当権を付けました。競売代金はまず銀行に充てられ、残りが信用金庫に充てられます。

根拠: 民法 373

事例

銀行は自分の抵当権を、同じ田中さんに対する信用金庫の債権のために譲り渡しました。銀行が田中さんに通知していなければ、この譲渡を田中さんや保証人に対抗できません。

根拠: 民法 376条1項、民法 377条1項

覚えるコマ

覚える抵当権の順位は何で決まり、変更には何が要るか?根拠 373条
抵当権の順位は、登記の前後で決まる順位を変更する合意をする順位の変更を登記する登記がなければ、変更の効力を生じない

順位は登記の前後で決まる。変更は登記がないと効力を生じない。

間違えやすいところ:契約や設定の先後で決まると考えると間違える。変更も当事者の合意だけでは足りない

抵当権の順位は何で決まり、変更には何が要るか? 順位は登記の前後で決まる。変更は登記がないと効力を生じない。

要点過去問に出た

順位は登記の前後、変更は合意+登記、処分は通知か承諾です。

根拠: 民法 373、民法 374条2項、民法 377条1項

ひっかけ

抵当権の順位の譲渡や放棄は、それ自体では登記を要しませんが、順位の変更には登記が要ります。区別します。

根拠: 民法 374条2項、民法 376条1項

法定地上権と共同抵当約3分

場面

北町ホームの小林浩二さんが、競売に出ている土地を買おうか考えています。その土地の上には、土地と同じ持ち主の建物が建っています。「競売で土地を買ったら、建物を壊して更地にしてもらえますか」と小林さんは聞きました。木村健一さんは「土地と建物が同じ人のものだったなら、建物のために地上権が付いたものとみなされるんだ。土地の権利を失うと、建物を使い続ける根拠がなくなってしまうからね」と答えました。

根拠: 民法 388

土地とその上の建物が同じ人のもので、土地だけが競売されると、建物のための土地の権利がなくなってしまいます。

根拠: 民法 388

そこで、競売で土地と建物の持ち主が別々になったときは、建物のために地上権が設定されたものとみなします。これが法定地上権です。

根拠: 民法 388

事例

田中さんが自分の土地と建物を持ち、土地に抵当権を付けました。競売で土地を小林さんが買い、建物は田中さんのままになりました。田中さんは法定地上権で土地を使い続けられます。地代は裁判所が定めます。抵当権を付けた後に田中さんが建物を売ったとします。競売で持ち主が分かれれば、建物を買った人のために法定地上権が成立します。

根拠: 民法 388

土地と建物に共同抵当を付けた後、建物が壊されて新しく建てられた場合は、原則として新しい建物に法定地上権は成立しません。

根拠: 民法 388

事例

田中さんは土地と建物に共同抵当を付けました。その後、建物を壊して新築しました。競売で土地を買った小林さんに対し、新しい建物のための法定地上権は原則として認められません。

根拠: 民法 388

判定の流れ法定地上権は成立するか

設定の時、同じ人の建物が土地の上にあるか?はい共同抵当の後、建物を建て替えたか?はい原則として成立しないいいえ競売で持ち主が分かれれば成立するいいえ法定地上権は成立しない

成立すると、建物の所有者は地代を払って土地を使い続けられる。

根拠: 民法 388

土地が共有のときも、他の共有者が法定地上権を認めていた事情がなければ成立しません。

根拠: 民法 388

抵当権の設定後に建てられた建物は、土地と一緒に競売できます。ただし、優先弁済は土地の代金についてだけです。

根拠: 民法 389条1項

1つの債権のために複数の不動産に抵当権を付けたときは、同時に競売すると各不動産の価額に応じて負担を分けます。1つだけ競売すると、その代金から全部を回収できます。

根拠: 民法 392条1項、民法 392条2項

覚えるコマ

覚える法定地上権は、どんなときに成立するか?根拠 388条
成立する・土地と建物が同一の所有者・実行(競売)で所有者を異にする原則として成立しない(判例)・共同抵当後の建物の再築 → 新建物・土地が共有 → 成立を認めていた事情がなければ共同抵当の同時配当は、各不動産の価額に応じて按分する。

同一所有者の土地と建物が、競売で別の所有者になると成立する。

間違えやすいところ:共同抵当後の建物の再築や土地の共有では、原則として成立しない(判例)

法定地上権は、どんなときに成立するか? 同一所有者の土地と建物が、競売で別の所有者になると成立する。

要点過去問に出た

法定地上権は、競売で土地と建物の持ち主が分かれたときに成立します。共同抵当後の再築では原則成立しません。

根拠: 民法 388、民法 389条1項

ひっかけ

設定後に建てた建物も競売できますが、優先弁済は土地の代金だけです。建物の代金からは優先できません。

根拠: 民法 389条1項

建物を譲り受けた人の登記が済んでいなくても、土地の競落人は、これを理由に法定地上権の成立を否定できません。

根拠: 判例 最判昭48.9.18

抵当権消滅請求と代価弁済約1分

抵当権が付いた不動産を買った人は、いずれ競売されては困ります。そこで、抵当権を消すための手段が用意されています。

根拠: 民法 379

表
項目抵当権消滅請求代価弁済
できる人抵当不動産の第三取得者。主たる債務者や保証人、その承継人はできない。抵当不動産について所有権や地上権を買い受けた第三者。
時期競売による差押えの効力が生じる前にする。競売が始まってからでは間に合わない。抵当権者の請求に応じて代価を弁済する。
するとすべての債権者が承諾し、提供した金額を払い渡すか供託すると、抵当権は消滅する。代価を弁済すると、抵当権はその第三者のために消滅する。

根拠: 民法 379、民法 380、民法 382、民法 386、民法 378

事例

田中さんから抵当権付きの土地を買った小林さんは、登記した債権者に書面を送り、代価を提供して抵当権消滅請求をしました。債権者が2か月以内に競売を申し立てなければ、小林さんの提供額を承諾したものとみなされます。

根拠: 民法 384条1項、民法 384条1項1号

時系列抵当権消滅請求の流れ

差押えの前小林さんが債権者に書面を送る2か月以内債権者は競売を申し立てられる2か月後申立てがなければ承諾とみなす承諾の後小林さんが代価を払うか供託する完了抵当権が消滅する2か月

請求できるのは第三取得者だけ。債務者や保証人はできない。

根拠: 民法 382、民法 384条1項1号、民法 386

覚えるコマ

覚える抵当権消滅請求は、だれが、いつまでにできるか?根拠 379条
できる人第三取得者できない人主たる債務者・保証人等時期競売による差押えの効力が発生する前に2か月競売の申立てをしないと、提供額を承諾したものとみなす

第三取得者が、競売による差押えの効力が生じる前にできる。

間違えやすいところ:主たる債務者・保証人等は、消滅請求ができない

抵当権消滅請求は、だれが、いつまでにできるか? 第三取得者が、競売による差押えの効力が生じる前にできる。

要点

消滅請求は差押えの前、代価弁済は請求に応じる形です。どちらも第三取得者を守る手段です。

根拠: 民法 378、民法 382

ひっかけ

抵当権消滅請求は、だれでもできるわけではありません。債務者や保証人、その承継人はできません。

根拠: 民法 380

抵当権と賃借権約3分

この節でよく出るのは

  • ★ 2回抵当権に対抗できない賃借人は、競売で買受人が現れても、買受け…
場面

中村翔さんが借りているアパートが、大家さんの借金のために競売にかけられることになりました。中村さんは競売の前から住んでいますが、借りたのは抵当権の登記より後です。「新しい持ち主に、すぐ出ていけと言われますか」と中村さんは心配しています。木村健一さんは「抵当権より後に借りた人は、買受人に賃借権を対抗できない。でも買受けから6か月は、明け渡さなくてよいんだ」と説明しました。

根拠: 民法 395条1項、民法 395条1項1号

抵当権が付いた建物を借りている人と、抵当権者の関係も決まっています。登記の前後が分かれ目になります。

根拠: 民法 387条1項

登記した賃貸借は、登記前の抵当権者全員が同意し、その同意の登記があれば対抗できます。

根拠: 民法 387条1項

事例

抵当権の登記より後に建物を借りた中村さんは、抵当権者に賃借権を対抗できません。ただし、抵当権者全員の同意とその登記があれば、対抗できます。

根拠: 民法 387条1項

★ 過去問で2回

抵当権に対抗できない賃借人は、競売で買受人が現れても、買受けの時から6か月は明渡し(借りた建物を返すこと)を要しません。

根拠: 民法 395条1項、民法 395条1項1号

事例過去問に出た

競売前から建物を使っていた中村さんは、買受人小林さんの買受けから6か月は明渡しを求められません。ただし、小林さんが1か月分以上の支払を催告し、期間内に払わないときは猶予されません。

根拠: 民法 395条1項、民法 395条2項

抵当権者は、不法占有で競売が進まないなど、価値の実現が妨げられているときは、所有者の妨害排除請求権を代わりに使えます。

根拠: 民法 370

事例過去問に出た

不法占有で競売の売却価額が下がるとき、銀行は所有者の妨害排除請求権を代位して、占有者に明渡しを求められます。

根拠: 民法 370

占有されただけで、賃料相当額の損害を受けたとはいえません。損害の賠償を求めるには、実際に損なわれたことを示す必要があります。

根拠: 民法 370

抵当権は、抵当不動産を取得時効で取得した人に対しては消滅します。ただし債務者や設定者による取得では消滅しません。

根拠: 民法 397

覚えるコマ

覚える抵当権に劣後する賃借人は、競売後いつまで建物を使えるか?根拠 395条1項
抵当権に劣後する賃借人が建物を使う競売で、建物が買い受けられる買受けの時から6か月間この間は、明渡しを要しない登記した賃貸借は、登記前の抵当権者全員の同意の登記があれば対抗できる。

買受けの時から6か月間は、明渡しを要しない。

間違えやすいところ:対価の催告に応じない使用者には、明渡猶予の規定を適用しない

抵当権に劣後する賃借人は、競売後いつまで建物を使えるか? 買受けの時から6か月間は、明渡しを要しない。

要点

賃借人は、同意の登記があれば対抗でき、なくても6か月の明渡猶予があります。

根拠: 民法 387条1項、民法 395条1項

ひっかけ

明渡猶予の6か月は、誰にでも当然に認められるわけではありません。買受人が支払を催告して応じなければ猶予されません。

根拠: 民法 395条2項

根抵当権約2分

銀行との取引のように、借りたり返したりを繰り返す相手には、そのたびに抵当権を付け直すのは大変です。

根拠: 民法 398条の2第1項

そこで、一定の範囲の不特定の債権を、極度額の限度でまとめて担保する根抵当権が使われます。

根拠: 民法 398条の2第1項

過去問に出た

担保する債権の範囲は、特定の継続的取引契約から生じるものなどに限定して定めなければなりません。

根拠: 民法 398条の2第2項

事例

田中さんは銀行と継続的な取引契約を結び、土地に極度額5000万円の根抵当権を設定しました。田中さんが何度借りても、確定した元本と利息が5000万円まで担保されます。

根拠: 民法 398条の2第1項、民法 398条の3第1項

元本の確定期日は、定めたり変更したりできます。その期日は、定めた日から5年以内でなければなりません。

根拠: 民法 398条の6第1項、民法 398条の6第3項

元本が確定すると、確定した元本と利息などを、極度額を限度として行使できます。

根拠: 民法 398条の3第1項

事例

根抵当権の設定から3年が過ぎたので、設定者である田中さんは元本の確定を請求しました。請求から2週間が過ぎると元本が確定します。根抵当権者である銀行は、いつでも確定を請求できます。

根拠: 民法 398条の19第1項、民法 398条の19第2項

根抵当権者が競売を申し立てたときなども、元本は確定します。

根拠: 民法 398条の20第1項

覚えるコマ

覚える根抵当権の元本確定期日と、確定請求の数字は?根拠 398条の6第3項
担保極度額の限度で、不特定の債権を担保する確定期日元本確定期日は5年以内確定請求設定者は、確定期日の定めがなければ、3年経過後に元本の確定を請求できる担保すべき債権の範囲は、限定して定めなければならない。

元本確定期日は5年以内。定めがなければ設定者は3年経過後に請求できる。

間違えやすいところ:確定前は、転抵当を除き、376条1項の処分ができない。極度額の限度で行使できる

根抵当権の元本確定期日と、確定請求の数字は? 元本確定期日は5年以内。定めがなければ設定者は3年経過後に請求できる。

要点

極度額、元本確定期日は5年以内、設定から3年で確定請求。この3つが数字の要点です。

根拠: 民法 398条の2第1項、民法 398条の6第3項、民法 398条の19第1項

ひっかけ過去問に出た

元本の確定前は、根抵当権の譲渡や放棄、順位の譲渡や放棄はできません。ただし、根抵当権を他の債権の担保にする転抵当は、確定前でもできます。

根拠: 民法 398条の19第1項

留置権・先取特権・質権約3分

この節でよく出るのは

  • ★ 2回不動産質権者は、不動産を使い収益できますが、その代わりに管理…
表
担保物権占有優先弁済
留置権担保を取る側が占有なし(弁済まで返さないだけ)
先取特権占有しない法律が定めた順位で優先
質権担保を取る側が占有あり
抵当権占有しない(引渡しのみ可)あり

根拠: 民法 295条1項、民法 303、民法 342、民法 369条1項

過去問に出た

留置権は、物について生じた債権を持つ占有者が、弁済を受けるまでその物を返さない権利です。弁済期が来ていることが条件です。

根拠: 民法 295条1項

事例

田中さんは修理屋に時計の修理を頼みました。修理屋は修理代をもらうまで、その時計を返さなくてよくなります。ただし修理代の支払期日がまだ来ていなければ、留置できません。

根拠: 民法 295条1項

留置権者は、債務者の承諾がなければ留置物を使ったり貸したり担保に入れたりできません。保存に必要な使用はできます。

根拠: 民法 298条2項

留置権の行使は、債権の消滅時効の進行を妨げません。占有を失うと留置権は消滅します。

根拠: 民法 300、民法 302

先取特権は、法律が定めた債権を持つ人が、債務者の財産から優先弁済を受ける権利です。当事者の合意では生まれません。債務者の総財産への先取特権は、共益の費用、雇用関係、子の監護の費用、葬式の費用、日用品の供給の債権にだけ生じます。

根拠: 民法 306、民法 303

事例

不動産の工事をした請負人は、その工事代金について不動産の先取特権を持ちます。保存、工事、売買の順に優先します。

根拠: 民法 325、民法 325条1号、民法 325条2号、民法 325条3号、民法 331条1項

動産の先取特権は、目的の動産が第三者に引き渡された後は行使できません。

根拠: 民法 333

質権は、目的物を受け取って占有し、優先弁済を受ける権利です。占有を移す点が抵当権と違います。

根拠: 民法 342

事例

田中さんは質屋からお金を借り、時計を質に入れて質屋に渡しました。質屋は時計を占有している間、他の債権者に先立って弁済を受けられます。田中さんは自分で占有させておくことはできません。

根拠: 民法 344、民法 345

左右の比較抵当権と質権の違い

抵当権占有を移さない質権占有を移す占有設定者が持ち続ける質権者が持つ使う人設定者が住み続けられる設定者に使わせられない優先弁済あるある

留置権は優先弁済を受けられない。先取特権は法律の定めで生まれる。

根拠: 民法 342、民法 344、民法 345、民法 369条1項

動産質は、継続して占有していなければ第三者に対抗できません。同じ動産の質権は設定の前後で順位が決まります。

根拠: 民法 352、民法 355条1項

★ 過去問で2回

不動産質権者は、不動産を使い収益できますが、その代わりに管理の費用を負担し、存続期間は10年を超えられません。

根拠: 民法 356、民法 360条1項

覚えるコマ

覚える留置権・先取特権・質権で、取り違えやすい点は?根拠 360条1項
留置権行使しても、消滅時効の進行を妨げない先取特権動産のものは、引き渡し後は行使できない質権設定者に質物を占有させられない不動産質権存続期間は10年を超えられない

不動産質権は10年が上限。留置権の行使は時効の進行を妨げない。

間違えやすいところ:動産の先取特権は引渡し後は行使できない。登記した保存・工事の先取特権は抵当権に優先する

留置権・先取特権・質権で、取り違えやすい点は? 不動産質権は10年が上限。留置権の行使は時効の進行を妨げない。

要点

占有を移すのが質権、移さないのが抵当権です。留置権は優先弁済権を持たず、先取特権は法律で生まれます。

根拠: 民法 342、民法 295条1項、民法 303

ひっかけ

留置権には優先弁済を受ける効力がありません。弁済まで返さないだけで、他の債権者より先に配当(代金を債権者に分けること)を受ける権利はないと考えられています。

根拠: 民法 295条1項、民法 303、民法 342

本試験ではこう出ます

本試験では「債権者Aが、債務者Bの土地に抵当権の設定を受けた」のように出ます。物上代位は差押えが先か、法定地上権は成立するかを読み取ります。

根拠: 民法 369条1項、民法 372、民法 388

まとめ

  • 抵当権は、占有を移さずに、他の債権者に先立って弁済を受ける権利です。目的物の全部に及びます。
  • 抵当権は被担保債権と同時でなければ時効で消滅せず、抵当権だけが先に消えることはありません。
  • 物上代位は、払渡し・引渡しの前に差し押さえて行います。利息は満期となった最後の2年分だけです。
  • 順位は登記の前後で決まり、順位の変更は登記がなければ効力を生じません。
  • 法定地上権は、競売で土地と建物の所有者が別れたときに成立します。共同抵当後の再築では原則成立しません。
  • 抵当権消滅請求は競売の差押えの前に第三取得者が行います。債務者や保証人はできません。
  • 抵当権に対抗できない賃借人は、買受けから6か月は明渡しを要しません。同意の登記があれば対抗できます。
  • 根抵当権は極度額の限度で不特定の債権を担保し、確定期日は5年以内、設定から3年で確定を請求できます。
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