権利関係

賃貸借(民法)

借りて使う契約の決まり

権利関係読む目安 約13分図 5場面つき

この単元で分かること

  • 賃貸借がいつまで続くのか、修繕や費用をだれが負担するのかを学びます。
  • 無断で転貸するとどうなるのか、建物を売ったとき貸主がだれになるのかを学びます。
  • 敷金がいつ戻るのか、部屋を元に戻す義務との関係を学びます。

この単元のはじまりの場面

場面

中村翔さんは、みなと不動産の紹介でアパートを借り、敷金30万円を大家さんに預けました。洗面所の配管が傷んだので、中村さんは先に自分で業者へ払いました。「この費用は返ってくるのですか」と聞かれた木村健一さんは、「だれの負担か、いつ返るお金かで決まるんだ」と答えました。佐藤さくらさんは、貸す人と借りる人のお金の線引きを覚えることになりました。

賃貸借とは何か約1分

賃貸借は、物を使わせる約束と、賃料を払って返す約束で成立します。売買と違い、所有権は移りません。

根拠: 民法 601

民法上、存続期間は50年を超えられず、もっと長く定めても50年とされます。ただし、建物の賃貸借にはこの上限は当てはまりません。

根拠: 民法 604条1項

事例

大家さんは中村さんに資材置場として土地を60年間貸す契約をしました。民法上、その期間は50年です。50年を過ぎたところで、大家さんと中村さんは改めて更新を話し合います。

根拠: 民法 604条1項

賃貸借は更新できます。更新後の期間も、更新した時から50年を超えられません。

根拠: 民法 604条2項

覚えるコマ

覚える賃貸借の存続期間は、最長何年か?根拠 604条
契約の時存続期間は50年が上限(604条1項)更新の時更新後の期間も、更新の時から50年が上限(604条2項)50年より長く定めても、50年に短くなる。

上限は50年。更新しても、更新の時から50年まで。

間違えやすいところ:更新後の50年を、最初の契約の時から数えると間違える

賃貸借の存続期間は、最長何年か? 上限は50年。更新しても、更新の時から50年まで。

要点

民法上、賃貸借の期間の上限は50年です(建物の賃貸借を除く)。更新しても、更新時から50年までです。

根拠: 民法 604条1項、民法 604条2項

ひっかけ

60年と定めても契約全体が無効になる、ではありません。期間だけが50年に短くなります。

根拠: 民法 604条1項

修繕と費用の負担約2分

過去問に出た

賃貸人は、使用収益に必要な修繕をする義務を負います。借りた人が壊した場合は負いません。借主が修繕の必要を伝えるか貸主がそれを知ったのに、相当の期間内に直さないときは、借主が自分で修繕できます。急迫の事情があるときも同じです。

根拠: 民法 606条1項、民法 607条の2

事例

借りた部屋の雨漏りを直すのは大家さんの義務です。中村さんが壁に穴を開けた場合は、その修理は中村さんの負担になります。

根拠: 民法 606条1項

過去問に出た

賃貸人が保存に必要な行為をしようとするときは、借主は拒めません。

根拠: 民法 606条2項

借主が賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、直ちにその償還を請求できます。

根拠: 民法 608条1項

有益費は、賃貸借が終わった時に、価格の増加が現存する限度で償還されます。裁判所は相当の期限を許すことがあります。

根拠: 民法 608条2項

左右の比較必要費と有益費の違い

必要費すぐ請求有益費終了の時例配管の修理内装の改良請求の時直ちに賃貸借の終了の時条件賃貸人の負担の費用価格の増加が現存する

立て替えた必要費はすぐ請求できる。有益費は、終了の時に価値が残る分だけ。

根拠: 民法 608条1項、民法 608条2項

事例

中村さんが借りた店舗に、大家さんの負担となる配管の修理費を立て替えました。中村さんは大家さんに直ちに償還を請求できます。中村さんが内装を改良した費用は、契約終了時に価値が残っている分だけ償還されます。

根拠: 民法 608条1項、民法 608条2項

覚えるコマ

覚える必要費と有益費は、いつ償還を請求できるか?根拠 608条
必要費(608条1項)・賃借人が支出したら、直ちに償還を請求できる有益費(608条2項)・賃貸借の終了の時に請求する・価格の増加が現存する場合に限り償還される必要費は、雨漏りの修繕のように、使うのに欠かせない費用。

必要費は直ちに請求できる。有益費は終了の時に、増加が残る限度。

間違えやすいところ:有益費も、支出したらすぐ請求できると考えると間違える

必要費と有益費は、いつ償還を請求できるか? 必要費は直ちに請求できる。有益費は終了の時に、増加が残る限度。

覚える賃借人の落ち度でできた傷みも、賃貸人が直すのか?根拠 606条1項
賃貸人の義務(606条1項)・使用収益に必要な修繕をする賃借人の責めに帰すべき事由・その修繕は、賃貸人が負わない

修繕は賃貸人の義務だが、賃借人の責めによる修繕は負わない。

間違えやすいところ:賃借人が壊した分まで、賃貸人が直す義務があると考えると間違える

賃借人の落ち度でできた傷みも、賃貸人が直すのか? 修繕は賃貸人の義務だが、賃借人の責めによる修繕は負わない。

要点

必要費はすぐ請求できる。有益費は終了の時に、価値が残っている限度です。

根拠: 民法 608条1項、民法 608条2項

ひっかけ

有益費は、支出した分がそのまま返ってくるわけではありません。価格の増加が現存することが条件です。

根拠: 民法 608条2項

無断の譲渡・転貸約3分

この節でよく出るのは

  • ★ 2回無断で第三者に使わせると、賃貸人は解除できます。ただし、信頼…
  • ★ 2回無断転貸は、必ず解除できるわけではありません。信頼関係を壊す…
場面

中村さんは、友人に部屋を貸して、家賃の一部を出してもらえないかと考えました。「大家さんにばれなければいいですよね」と聞かれて、佐藤さくらさんは返事に困りました。木村健一さんは「大家さんは、住む人を見て貸している。だから承諾が要るんだ」と話しました。中村さんは、先に大家さんへ相談することにしました。

根拠: 民法 612条1項、民法 612条2項

借りた物をさらに別の人に貸すことを、転貸といいます。借主は、賃貸人の承諾がなければ、賃借権を譲ったり、借りた物を転貸したりできません。

根拠: 民法 612条1項

★ 過去問で2回

無断で第三者に使わせると、賃貸人は解除できます。ただし、信頼関係を壊すとまではいえない特段の事情があれば、解除できません。

根拠: 民法 612条2項

事例

中村さんは大家さんから借りた部屋に、無断で友人を住まわせました。大家さんは解除できます。その友人が同居の家族に近い存在で、大家さんとの信頼関係を壊す事情がないときは、解除できないと考えられています。

根拠: 民法 612条2項

判定の流れ無断で使わせたら解除できるか

賃貸人の承諾を得て転貸したか?はい適法な転貸。無断を理由には解除できないいいえ信頼関係を壊すとまではいえないか?はい解除できないいいえ賃貸人は契約を解除できる

例外が大事。信頼関係を壊すとまではいえない事情があれば、解除できない。

根拠: 民法 612条1項、民法 612条2項

過去問に出た

適法な転貸では、賃貸人は合意による解除を転借人(借主から又借りした人)に対抗できません。ただし、解除の時に賃貸人が債務不履行による解除権を持っていたときは別です。

根拠: 民法 613条3項

賃借人の債務不履行で賃貸借が解除されると、賃貸人の承諾がある転貸借も終了します。終了する時は、賃貸人が転借人に返還を請求した時と考えられています。

根拠: 民法 613条3項

賃料の不払で賃貸借を解除するとき、賃貸人は賃借人に催告すれば足ります。転借人に支払いの機会を与える必要はありません。

根拠: 判例 最判 昭和37年3月29日

過去問に出た

転借人は、賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に直接履行する義務を負います。賃料を前払いしていても、賃貸人には対抗できません。

根拠: 民法 613条1項

事例過去問に出た

中村さんは大家さんの承諾を得て転借人に部屋を転貸しました。転借人は中村さんが大家さんに払うべき賃料の範囲で、大家さんに直接支払う義務を負います。転借人が中村さんに1年分を前払いしていても、大家さんに「もう払った」とは言えません。

根拠: 民法 613条1項

覚えるコマ

覚える賃借人が無断で転貸したら、賃貸人は必ず解除できるか?根拠 612条2項
原則(612条2項)・承諾なく第三者に使用収益させると、賃貸人は解除できる例外(判例)・背信的行為と認められない特段の事情があれば、解除できない譲渡も転貸も、賃貸人の承諾が必要(612条1項)。

無断転貸は解除できる。背信的行為でない特段の事情があれば解除できない。

間違えやすいところ:無断転貸なら、いつでも解除できると考えると間違える(判例)

賃借人が無断で転貸したら、賃貸人は必ず解除できるか? 無断転貸は解除できる。背信的行為でない特段の事情があれば解除できない。

覚える賃貸人と賃借人が合意解除したとき、転借人には主張できるか?根拠 613条3項
合意解除(613条3項)・適法な転貸の転借人には、対抗できない債務不履行による解除・解除権を有していたときは、別(対抗できる)・返還請求の時に転貸借が終了する(判例)賃料の前払は、賃貸人に対抗できない(613条1項)。

合意解除は転借人に対抗できない。債務不履行による解除は別。

間違えやすいところ:合意解除でも、転借人の使う権利が消えると考えると間違える

賃貸人と賃借人が合意解除したとき、転借人には主張できるか? 合意解除は転借人に対抗できない。債務不履行による解除は別。

要点過去問に出た

転貸には承諾が要ります。無断なら原則解除、賃料の前払いは賃貸人に対抗できません。

根拠: 民法 612条1項、民法 613条1項

ひっかけ★ 過去問で2回

無断転貸は、必ず解除できるわけではありません。信頼関係を壊す特段の事情がなければ、解除できません。

根拠: 民法 612条2項

賃貸人の地位の移転約2分

賃借権に対抗要件があるとき、借りている建物の所有者が変わると、賃貸人としての地位は買主に移ります。賃貸借をそのまま引き継ぎます。

根拠: 民法 605条の2第1項

地位の移転は、賃借人に対抗するには、不動産の所有権の移転の登記が必要です。

根拠: 民法 605条の2第3項

地位は、譲渡人と譲受人の合意だけで移せ、賃借人の承諾は要りません。

根拠: 民法 605条の2第1項

人物関係図建物を売ったとき、貸主はだれか

建物を売る賃料を払う前の大家売主新しい大家買主中村さん借主

借主の承諾は要らない。買主が借主に主張するには、所有権移転の登記が要る。

根拠: 民法 605条の2第1項、民法 605条の2第3項

事例

大家さんは中村さんに部屋を貸していました。大家さんがその建物を買主に売却し、買主が所有権移転の登記をしました。中村さんは買主に賃料を払うことになります。中村さんの承諾は要りませんでした。

根拠: 民法 605条の2第3項、民法 605

地位が移ると、費用の償還の債務と敷金の返還の債務も、譲受人が承継します。

根拠: 民法 605条の2第4項

事例

中村さんが大家さんに差し入れていた敷金100万円は、大家さんから買主に引き継がれます。中村さんは契約終了時に買主へ返還を求めます。

根拠: 民法 605条の2第4項

賃借権は、登記をすれば、その後に不動産の所有権を取得した人など第三者に対抗できます。

根拠: 民法 605

覚えるコマ

覚える賃貸物件が売られたとき、賃貸人の地位はどうなるか?根拠 605条の2
対抗要件のある賃借権の物件の譲渡賃貸人の地位は譲受人に移る(605条の2第1項)賃借人に主張するとき所有権の移転の登記が要る(605条の2第3項)移転後費用の償還債務と敷金の返還債務は、譲受人が承継(同条4項)譲渡人と譲受人の合意なら、賃借人の承諾は要らない(605条の3)。

対抗要件のある賃借権なら、賃貸人の地位は買主に移る。主張には登記が要る。

間違えやすいところ:地位の移転に賃借人の承諾が要ると考えると間違える。合意だけで移せる

賃貸物件が売られたとき、賃貸人の地位はどうなるか? 対抗要件のある賃借権なら、賃貸人の地位は買主に移る。主張には登記が要る。

要点

賃貸人の地位は、対抗要件のある賃借権がある物件が譲渡されると買主に移ります。敷金も一緒に移ります。

根拠: 民法 605条の2第1項、民法 605条の2第4項

ひっかけ

地位の移転に賃借人の承諾は要りません。承諾が必要なのは、借主が賃借権を譲る場合です。

根拠: 民法 605条の2第1項、民法 612条1項

敷金約2分

場面

退去の日、中村さんは部屋を空けて鍵を返しました。「敷金は、今ここで返してもらえますよね」と中村さんは聞きました。木村健一さんは「返すのは明渡しが済んだ後だよ。未払いの賃料があれば、そこから引いて残りを返すんだ」と答えました。数日後、中村さんは未払いの家賃5万円が引かれた25万円を受け取りました。

根拠: 民法 622条の2第1項1号、民法 622条の2第1項

敷金は、賃料などの債務を担保するために借主が預けるお金です。契約書に「保証金」などと書いてあっても、担保のために預けたお金は敷金です。

根拠: 民法 622条の2第1項

賃貸借が終了して建物の返還を受けたときは、敷金から未払いの債務を引いた残額を返します。

根拠: 民法 622条の2第1項1号

借主が適法に賃借権を譲り渡したときも、同じく返還します。

根拠: 民法 622条の2第1項2号

事例

中村さんは大家さんに敷金30万円を預けていました。賃貸借が終わり、未払いの賃料5万円があったので、大家さんは25万円を中村さんに返します。

根拠: 民法 622条の2第1項

過去問に出た

賃貸人は、借主が債務を履行しないときは、敷金を弁済に充てられます。借主の側から充当を請求できません。

根拠: 民法 622条の2第2項

敷金の返還請求権は、賃貸借が終了して明渡しが済んだ時に生じます。明渡しと同時履行の関係にはありません。

根拠: 民法 622条の2第1項1号

時系列敷金が戻るまでの順番

入居の日敷金30万円を預ける退去の日賃貸借が終わり、部屋を明け渡すその後未払い賃料5万円を引く返還残り25万円を返す

返還を請求できるのは、明渡しが済んだ後。明渡しと引き換えではない。

根拠: 民法 622条の2第1項1号、民法 622条の2第1項

事例

中村さんは明渡しを済ませた後で、大家さんに敷金の返還を求めます。大家さんは「明渡しと引き換えに返す」とは言えません。

根拠: 民法 622条の2第1項1号

覚えるコマ

覚える敷金を債務に充てるよう請求できるのは、だれか?根拠 622条の2第2項
賃貸人・賃借人が債務を履行しないとき、敷金を債務の弁済に充てられる賃借人・敷金を債務の弁済に充てるよう、請求できない敷金の返還は、賃貸借の終了と明渡しの後。明渡しと同時履行ではない(判例)。

賃貸人は充当できる。賃借人からは、充てるよう請求できない。

間違えやすいところ:最後の月の賃料に敷金を充てるよう、賃借人から請求できると考えると間違える

敷金を債務に充てるよう請求できるのは、だれか? 賃貸人は充当できる。賃借人からは、充てるよう請求できない。

要点

敷金は終了と返還の後に残額を返します。充当できるのは賃貸人だけで、借主からは請求できません。

根拠: 民法 622条の2第1項1号、民法 622条の2第2項

ひっかけ

敷金の返還と明渡しは同時履行ではありません。明渡しが先で、その後に返還請求権が生じます。

根拠: 民法 622条の2第1項1号

原状回復と契約の終了約2分

賃貸借が終わるとき、借りた部屋を元の状態に戻すことを、原状回復といいます。借主は、借りた後に生じた損傷を原状に復する義務を負います。ただし、通常の使い方による損耗と経年変化は含みません。

根拠: 民法 621

事例

中村さんが借りた部屋の壁に、家具で傷を付けたときは中村さんが原状回復の費用を負担します。日焼けや畳の傷みは通常の損耗なので、中村さんの負担ではありません。

根拠: 民法 621

借りた物の全部が使えなくなったときは、賃貸借は終了します。

根拠: 民法 611条1項、民法 611条2項

一部が借主の責めに帰せない事由で使えなくなったときは、賃料はその部分の割合に応じて減ります。

根拠: 民法 611条1項

事例

中村さんが借りた2階建ての1階が、中村さんの落ち度でない浸水で使えなくなりました。賃料は1階分だけ減額されます。残りだけでは目的が達せられないときは、中村さんは解除できます。

根拠: 民法 611条1項、民法 611条2項

表
契約の終わり方だれが何をする効力・期間
期間を定めなかったとき各当事者いつでも解約を申し入れる建物は申入れから3か月、土地は1年で終了する
期間を定めて解約権を留保したとき。解約権を留保した当事者(一方又は双方)期間内でも解約する期間を定めなかったときの解約の申入れの決まりを使う。留保していなければ、この決まりは使えない
期間が満了した後も使い続けたとき借主使い続ける賃貸人が知りながら異議を述べなければ、同じ条件で更新したと推定する

根拠: 民法 617条1項、民法 617条1項2号、民法 619条1項、民法 619条2項、民法 618

賃貸借の解除は、将来に向かってだけ効力が生じます。損害賠償の請求は妨げません。

根拠: 民法 620

損傷が借主の責めに帰することができない事由によるときは、借主は原状回復義務を負いません。

根拠: 民法 621

借主の用法違反による損害の賠償は、貸主が返還を受けた時から1年以内に請求します。

根拠: 民法 600条1項、民法 622

覚えるコマ

覚える原状回復で、賃借人が直さなくてよい傷みは何か?根拠 621条
賃借人が原状に復する・通常の使用収益による損耗・経年変化を除いた損傷(621条)賃借人が負わない・通常の使用収益による損耗・経年変化

通常の使用による損耗と経年変化は、原状回復の義務に含まれない。

間違えやすいところ:日焼けや家具のへこみまで、賃借人が直すと考えると間違える

原状回復で、賃借人が直さなくてよい傷みは何か? 通常の使用による損耗と経年変化は、原状回復の義務に含まれない。

要点

原状回復は通常損耗を除きます。解除は将来に向かってだけ効きます。

根拠: 民法 621、民法 620

ひっかけ

期間が満了しても、使い続けて賃貸人が黙っていれば、同じ条件で更新したと推定されます。

根拠: 民法 619条1項

造作買取請求権約2分

借主が賃貸人の承諾を得て付加した造作(借主が建物に取り付けた畳・建具などの設備)について、借主は買い取るよう請求できます。畳や建具などです。

根拠: 借地借家法 33条1項

請求できるのは、賃貸借が期間の満了または解約の申入れによって終了するときです。時価で買い取るよう求めます。

根拠: 借地借家法 33条1項

人物関係図造作の買取り請求

造作を時価で買取請求中村さん借主大家さん賃貸人

期間の満了や解約の申入れで終わるときに請求できる。

根拠: 借地借家法 33条1項

事例

中村さんは大家さんの同意を得て、借りた店舗に内装を施しました。賃貸借が期間満了で終わるとき、中村さんは大家さんにその造作を時価で買い取るよう請求できます。大家さんから買い受けた造作でも同じです。

根拠: 借地借家法 33条1項

この請求権は、借主に不利益になる特約があっても、借地借家法の他の規定と違い、その特約で排除できるとされています。

根拠: 借地借家法 33条1項

要点

造作買取請求権は、期間満了・解約の申入れで終了するときに、時価で買い取るよう求める権利です。

根拠: 借地借家法 33条1項

ひっかけ

造作買取請求権は、借主が付加したものすべてが対象ではありません。賃貸人の同意を得た造作であることが要ります。

根拠: 借地借家法 33条1項

本試験ではこう出ます

本試験では「賃借人Bが、賃貸人Aの承諾を得ずにCへ転貸した」のように出ます。まず承諾の有無と、信頼関係を壊すかどうかを読み取ります。

根拠: 民法 612条1項、民法 612条2項

まとめ

  • 賃貸借の存続期間は、建物の賃貸借を除き50年を超えられず、更新後の期間も更新の時から50年までです。
  • 賃貸人は使用収益に必要な修繕をし、借主が立て替えた必要費は直ちに償還されます。
  • 有益費は、賃貸借の終了の時に、価格の増加が現存する限度で償還されます。
  • 無断の譲渡・転貸は解除原因ですが、信頼関係を壊す特段の事情がなければ解除できません。
  • 適法な転借人は賃借人の債務の範囲で賃貸人に直接履行し、賃料の前払いは対抗できません。
  • 賃貸人の地位は、対抗要件のある賃貸借がある物件が譲渡されると買主に移り、敷金も承継されます。
  • 敷金は、賃貸借の終了と返還の後に残額を返します。明渡しと同時履行ではありません。
  • 原状回復は通常損耗と経年変化を除きます。造作買取請求権は期間満了・解約の申入れの時に使えます。
この単元の○×を解く 4択を解く