印紙税・登録免許税・譲渡所得・住宅ローン控除
この単元で分かること
- 契約書や登記にかかる税金のしくみと税率を学びます。
- 土地や家屋を売ったときの所得の計算のしかたを学びます。
- 居住用財産の特例と住宅ローン控除の数字を覚えます。
この単元のはじまりの場面
この単元で学ぶ4つの税金約1分
不動産の取引と保有には、4つの国税(国に納める税)が関係します。
根拠: 印紙税法 3条1項
1つめは印紙税で、契約書という紙そのものにかかる税です。
根拠: 印紙税法 3条1項、印紙税法 7条
3つめは譲渡所得(土地や家屋を売って出たもうけ)の所得税で、売って利益が出たときにかかります。
根拠: 所得税法 33条1項
4つめは住宅ローン控除で、住宅を買って借金があるときに所得税が減ります。
根拠: 租税特別措置法 41条2項
印紙税はだれがいつ納めるか約1分
| 項目 | 決まり |
|---|---|
| 納める人 | 課税文書を作成した人(受け取った人ではない) |
| 1通を2人以上で共同して作成 | 連帯して納める |
| 同じ内容の契約書を何通か作成 | 1通ごとに別の課税文書になる |
| 国や地方公共団体が作成した文書 | 印紙税を課さない |
| 税額 | 文書の種類ごとに金額が定められている |
| 印紙を貼る時期 | 課税文書を作成の時までに貼る(後からでは遅い) |
| 貼った印紙 | 文書と印紙の模様にかけて、はっきりと消す |
根拠: 印紙税法 3条1項、印紙税法 3条2項、印紙税法 別表第一第1号、印紙税法 5条2号、印紙税法 7条、印紙税法 8条1項、印紙税法 8条2項
覚えるコマ
作成者が納め、作成の時までに印紙を貼り、判明に消印する。
間違えやすいところ:2人以上で共同して作成したときは、連帯して納める。国・地方公共団体の作成文書は課税しない
印紙税は、だれが・いつまでに・どう納めるか? 作成者が納め、作成の時までに印紙を貼り、判明に消印する。
作成者が納め、共同作成なら連帯。貼るのは作成の時まで、そして消印します。
根拠: 印紙税法 3条1項、印紙税法 3条2項、印紙税法 8条1項、印紙税法 8条2項
印紙を貼れば消さなくてよい、は誤りです。消さないと過怠税をとられます。
根拠: 印紙税法 8条2項、印紙税法 20条3項
印紙税の税額と過怠税約2分
不動産の譲渡に関する契約書には、契約金額に応じた印紙税がかかります。
根拠: 印紙税法 別表第一第1号
契約金額が1,000万円を超え5,000万円以下なら、1通につき2万円です。ただし、令和9年3月31日までに作る契約書は、軽減措置で1万円です。
根拠: 印紙税法 別表第一第1号、租税特別措置法 91条1項、租税特別措置法 91条1項5号
5,000万円を超え1億円以下なら、1通につき6万円です。ただし、令和9年3月31日までに作る契約書は、軽減措置で3万円です。
根拠: 印紙税法 別表第一第1号、租税特別措置法 91条1項、租税特別措置法 91条1項6号
契約金額の記載がない契約書は、1通につき200円です。
根拠: 印紙税法 別表第一第1号
契約書かどうかは、名称では決まりません。覚書でも、契約の変更・補充・予約を証する文書は契約書にあたります。
根拠: 印紙税法 別表第一 通則5
| 文書の書き方 | 記載金額 |
|---|---|
| 1通に譲渡と請負が書かれ、金額を分けられるとき | 請負の金額が大きいときだけ請負の契約書になる。記載金額は請負の金額だけ(譲渡と請負の合計額ではない) |
| 同じ号の金額が2つ以上あるとき | 合計額が記載金額(土地と建物の譲渡を分けて書いた契約書) |
| 変更契約書で金額が増えるとき | 増えた額が記載金額(減るなら記載金額なし) |
| 消費税額等が区分記載されているとき | その金額は記載金額に含めない。使えるのは、不動産の譲渡等の契約書、請負の契約書、金銭の受取書の3つに限る |
| 贈与契約書に書いた土地の時価 | 契約金額ではないので、記載金額にならない |
| 交換契約書に双方の価額が書かれているとき | いずれか高いほうの金額が記載金額(等価交換なら、どちらか一方の金額) |
根拠: 印紙税法 別表第一 通則3ロ、印紙税法 別表第一 通則4ロ(一)、印紙税法 別表第一 通則4イ、印紙税法 別表第一 通則4ニ、印紙税の契約金額に関する国税庁の公表資料(質疑応答事例・タックスアンサー) タックスアンサーNo.7124、印紙税法 別表第一 通則4、印紙税の契約金額に関する国税庁の公表資料(質疑応答事例・タックスアンサー) 契約金額の意義
納めなかったときは、納めなかった税額とその2倍を足した額をとられます。
根拠: 印紙税法 20条1項
調査を予知して自ら申し出たものでなければ、税額とその10%を足した額ですみます。
根拠: 印紙税法 20条2項
数字の比べ不動産の契約書の印紙税(本則、1通につき)
納め忘れると、税額とその2倍との合計額をとられる。調査を予知しない自主申出なら、税額とその10%。令和9年3月31日までに作る契約書は、軽減措置で1万円・3万円。
根拠: 印紙税法 別表第一第1号、租税特別措置法 91条1項、租税特別措置法 91条1項5号、租税特別措置法 91条1項6号、印紙税法 20条1項、印紙税法 20条2項
田中さんは契約金額3,000万円の不動産の売買契約書を作りました。貼る印紙は、本則で2万円分です。
根拠: 印紙税法 別表第一第1号、租税特別措置法 91条1項、租税特別措置法 91条1項5号、租税特別措置法 91条1項6号
覚えるコマ
納付しなければ税額とその2倍の合計額、消印しなければ額面金額相当。
間違えやすいところ:調査を予知したものでなく自分で申し出れば、税額とその10%との合計額。千円に満たないとき千円とする規定は、この申出のみの場合には適用されない
印紙税を納めなかったり、消印しなかったりしたら、どうなるか? 納付しなければ税額とその2倍の合計額、消印しなければ額面金額相当。
1,000万円超5,000万円以下は2万円、5,000万円超1億円以下は6万円。
間違えやすいところ:契約金額の記載がない契約書は、1通につき200円
不動産の譲渡に関する契約書の印紙税は、金額でいくら違うか? 1,000万円超5,000万円以下は2万円、5,000万円超1億円以下は6万円。
3,000万円の契約書は本則で2万円(軽減措置では1万円)。納め忘れると税額の3倍をとられます。
根拠: 印紙税法 別表第一第1号、租税特別措置法 91条1項5号、印紙税法 20条1項
納め忘れは税額の2倍、は誤りです。税額とその2倍との合計額、つまり3倍です。
根拠: 印紙税法 20条1項
登録免許税の税率と軽減約3分
登記を受ける人が2人以上いるときは、連帯して納める義務を負います。
根拠: 登録免許税法 3条1項
美咲さんが「登記の税金は、売買代金にかかるのですか」と聞きました。木村さんは「課税標準は、登記の時の不動産の価額で、売買代金ではない。納めるのは登記を受ける人だ」と教えました。田中さん夫婦が登記を受ける側なので、納めるのは夫婦です。
根拠: 登録免許税法 3条1項、登録免許税法 10条1項
本則の税率は、所有権の保存が1,000分の4です。
根拠: 登録免許税法 別表第一第一号
売買などのその他の原因による移転は1,000分の20です。
根拠: 登録免許税法 別表第一第一号
抵当権の設定は、債権金額などの1,000分の4です。
根拠: 登録免許税法 別表第一第一号
土地の売買による移転は、令和11年3月31日まで1,000分の15に軽減されています。
根拠: 租税特別措置法 72条1項1号、租税特別措置法 72条1項
この軽減は、個人にも法人にも使えます。土地の地目、面積、価額による制限はありません。
根拠: 租税特別措置法 72条第1項第1号
この軽減を受ける住宅用家屋は、床面積が50平方メートル以上のものです。中古の住宅用家屋でも同じです。
根拠: 租税特別措置法施行令 41条第1号、租税特別措置法施行令 42条第1項第1号
覚えるコマ
保存と抵当権設定は1,000分の4、移転は1,000分の20、土地の売買は15に軽減。
間違えやすいところ:軽減の1,000分の15は、土地の売買による移転。令和11年3月31日まで
登録免許税の税率は、登記の種類でどう違うか? 保存と抵当権設定は1,000分の4、移転は1,000分の20、土地の売買は15に軽減。
左右の比較移転の登記の税率(本則と軽減)
保存と抵当権の設定は、どちらも1,000分の4。土地の売買による移転は、軽減されて1,000分の15。
根拠: 登録免許税法 別表第一第一号、租税特別措置法 72条1項1号、租税特別措置法 72条1項
譲渡所得の金額の計算約2分
譲渡所得とは、資産の譲渡による所得です。
根拠: 所得税法 33条1項
たな卸資産の譲渡など、営利を目的として続けて行う譲渡による所得は含まれません。
根拠: 所得税法 33条2項1号
山林を伐って売ったときの所得も、譲渡所得には含まれません。
根拠: 所得税法 33条2項2号
譲渡所得の金額は、総収入金額から取得費と譲渡費用の合計額を引いた額です。土地・建物の譲渡では、50万円の特別控除は使いません。
根拠: 所得税法 33条3項、租税特別措置法 31条1項
取得費は、買ったときの金額と、設備費・改良費の合計額です。
根拠: 所得税法 38条1項
家屋のように時間とともに価値が減る資産は、減った分を取得費から引きます。
根拠: 所得税法 38条2項
山本さんは5,000万円で売り、取得費3,000万円、譲渡費用200万円でした。5,000万円−3,000万円−200万円=1,800万円が譲渡所得です。
根拠: 所得税法 33条3項、所得税法 38条1項
数字の比べ譲渡所得の計算(例)
取得費だけでなく、譲渡に要した費用も引く。5,000−3,000−200=1,800(万円)。
根拠: 所得税法 33条3項、租税特別措置法 31条1項、所得税法 38条1項
覚えるコマ
総収入金額から、取得費と譲渡費用の両方を引く。
間違えやすいところ:取得費だけを引くと間違える。減価する資産は、取得費から減価の額を控除する
譲渡所得の金額は、どう計算するか? 総収入金額から、取得費と譲渡費用の両方を引く。
総収入金額から、取得費と譲渡費用の両方を引きます。
根拠: 所得税法 33条3項、所得税法 38条1項
取得費だけを引く、は誤りです。譲渡に要した費用も引きます。
根拠: 所得税法 33条3項
長期譲渡所得と居住用財産の特例約2分
譲渡益の税率は、所有していた期間の長さで変わります。
根拠: 租税特別措置法 31条2項
売った年の1月1日で所有期間が5年を超えると長期譲渡所得で、税率は100分の15です。
根拠: 租税特別措置法 31条1項
5年以下なら短期譲渡所得で、税率は100分の30です。
根拠: 租税特別措置法 32条1項
所有期間は、取得した日の翌日から数えます。
根拠: 租税特別措置法 31条2項
自分の住まいを売ったときは、譲渡所得から最高3,000万円を引けます。
根拠: 租税特別措置法 35条1項、租税特別措置法 35条1項2号
10年を超えて持っていた住まいなら、6,000万円以下の部分の税率が100分の10になります。この軽い税率を軽減税率といいます。
根拠: 租税特別措置法 31条の3第1項、租税特別措置法 31条の3第1項1号
6,000万円を超える部分は、超えた額の15%に600万円を足した額の税になります。
根拠: 租税特別措置法 31条の3第1項2号
配偶者や子・孫などの直系血族に売ると、3,000万円控除は使えません。生計を別にしていても同じです。
根拠: 租税特別措置法施行令 23条第2項、租税特別措置法施行令 20条の3第1項第1号
山本さんは12年住んだ家を売りました。譲渡所得から3,000万円を引き、残りが6,000万円以下なら税率は100分の10です。
根拠: 租税特別措置法 35条1項2号、租税特別措置法 31条の3第1項1号
収用等の5,000万円控除を受けた場合でも、10年超所有の軽減税率は使えます。収用の代替資産の特例を受けるものには使えません。
根拠: 租税特別措置法 31条の3第1項
判定の流れ譲渡所得の税率
自分の住まいを売ったときは、長期でも短期でも、譲渡所得から最高3,000万円を引ける。
根拠: 租税特別措置法 31条1項、租税特別措置法 32条1項、租税特別措置法 35条1項、租税特別措置法 35条1項2号、租税特別措置法 31条の3第1項、租税特別措置法 31条の3第1項1号
覚えるコマ
1月1日で所有5年超は長期で15%、5年以下は短期で30%。
間違えやすいところ:判定はその年の1月1日。所有期間は、取得した日の翌日から数える
譲渡所得の長期と短期は、何年で分かれ、税率はいくらか? 1月1日で所有5年超は長期で15%、5年以下は短期で30%。
譲渡所得から最高3,000万円を控除。10年超所有なら6,000万円以下が10%。
間違えやすいところ:6,000万円を超える部分は、超過額の15%に600万円を加えた額
居住用財産を売ったときの特例は、どうなっているか? 譲渡所得から最高3,000万円を控除。10年超所有なら6,000万円以下が10%。
5年で長期・短期が分かれ、住まいは3,000万円控除、10年超は6,000万円以下が100分の10です。
根拠: 租税特別措置法 31条1項、租税特別措置法 35条1項2号、租税特別措置法 31条の3第1項1号
3,000万円控除は短期譲渡所得には使えない、は誤りです。長期でも短期でも引けます。
根拠: 租税特別措置法 35条1項2号
住宅ローン控除約3分
住宅を買って借金があるときは、所得税から一定額が引かれます。
根拠: 租税特別措置法 41条1項
大輔さんは「住宅ローンがあると、所得税が減ると聞きました」と言いました。木村さんは「令和4年から令和12年までに住み始めた場合は、年末の借金の残高に0.7%をかけた額が、所得税から引かれる。原則として、住み始めた年から10年間だ」と説明しました。田中さん夫婦は、年末の残高を毎年確かめることにしました。
根拠: 租税特別措置法 41条2項、租税特別措置法 41条4項2号、租税特別措置法 41条1項
引かれる額は、年末の借金の残高に控除率をかけた額です。
根拠: 租税特別措置法 41条2項
借金の残高が限度額を超えるときは、限度額までで計算します。
根拠: 租税特別措置法 41条2項
計算した額に100円未満のはしたが出たら、切り捨てます。
根拠: 租税特別措置法 41条2項
控除率は、令和4年から令和12年までに住み始めた場合で100分の0.7です。
根拠: 租税特別措置法 41条4項2号
この控除は、原則として住み始めた年から10年間使えます。
根拠: 租税特別措置法 41条1項
居住した年の前年や前々年に、3,000万円控除や軽減税率などの特例を受けていると、この控除は使えません。
根拠: 租税特別措置法 41条第21項
使えなくなる特例は、条文に並んだものだけです。譲渡損失の損益通算の特例は、並んでいません。
根拠: 租税特別措置法 41条第21項
その年の所得が2,000万円を超える年には、この控除は使えません。
根拠: 租税特別措置法 41条1項
親や祖父母などの直系尊属から、住宅の新築や取得のための資金をもらったときは、一定額まで贈与税がかかりません。贈与税は、贈与でもらった人にかかる税です。対象は資金で、家屋そのものの贈与は含みません。
根拠: 租税特別措置法 70条の2第1項、租税特別措置法 70条の2第2項5号
この非課税(税金がかからないこと)を受けられるのは、もらった年の合計所得金額が2,000万円以下の人です。床面積が小さい住宅では、1,000万円以下になります。
根拠: 租税特別措置法 70条の2第2項1号
大輔さんは年末残高3,000万円になりました。3,000万円×0.7%=21万円が所得税から引かれます。
根拠: 租税特別措置法 41条2項、租税特別措置法 41条4項2号
覚えるコマ
年末残高×控除率0.7%で、百円未満は切捨て。適用は原則10年間。
間違えやすいところ:控除率0.7%は、居住年が令和4年から令和12年までの場合
住宅ローン控除は、どう計算し、いつまで続くか? 年末残高×控除率0.7%で、百円未満は切捨て。適用は原則10年間。
年末残高×0.7%、100円未満切捨て、原則10年間。所得2,000万円以下が前提です。
根拠: 租税特別措置法 41条2項、租税特別措置法 41条4項2号、租税特別措置法 41条1項
控除率は1%、は誤りです。令和4年以降に住み始めた場合は0.7%です。
根拠: 租税特別措置法 41条4項2号
この単元の数字約1分
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 印紙税(不動産の譲渡に関する契約書)1,000万円超5,000万円以下 | 1通につき2万円 |
| 印紙税(同じ)5,000万円超1億円以下 | 1通につき6万円 |
| 印紙税(同じ)記載金額のないもの | 1通につき200円 |
| 軽減措置の印紙税(令和9年3月末まで) | 1,000万円超は1万円、5,000万円超は3万円 |
| 過怠税 | 税額とその2倍との合計額(自主申出は税額とその10%) |
| 登録免許税の本則 | 保存1,000分の4、その他の移転1,000分の20、抵当権設定1,000分の4 |
| 登録免許税の軽減(土地の売買による移転) | 1,000分の15(令和11年3月31日まで) |
| 譲渡所得の税率 | 長期100分の15、短期100分の30 |
| 居住用財産の特別控除 | 最高3,000万円 |
| 10年超所有の居住用財産 | 6,000万円以下は100分の10、超える部分は15%+600万円 |
| 住宅ローン控除 | 年末残高(限度額内)×0.7%、100円未満切捨て |
根拠: 印紙税法 別表第一第1号、印紙税法 20条1項、印紙税法 20条2項、登録免許税法 別表第一第一号、租税特別措置法 72条1項1号、租税特別措置法 31条1項、租税特別措置法 32条1項、租税特別措置法 35条1項2号、租税特別措置法 31条の3第1項1号、租税特別措置法 31条の3第1項2号、租税特別措置法 41条2項、租税特別措置法 41条4項2号
数字は、本則か軽減か、長期か短期かをセットで覚えます。
根拠: 租税特別措置法 31条1項、租税特別措置法 32条1項