地価公示法・不動産鑑定評価
この単元で分かること
- 地価公示の手続と、正常な価格の中身を学びます。
- 公示価格を規準とする義務が、どこまで及ぶのかを確かめます。
- 鑑定評価で求める価格の種類と、三手法の使い分けを覚えます。
この単元のはじまりの場面
地価公示とは約1分
この節でよく出るのは
- ★ 2回公示されるのは、公示区域の中の標準地(価格を公表する基準にな…
地価公示は、土地の正常な価格を国が調べて、毎年公表する制度です。取引の目安を作るのが目的です。
根拠: 地価公示法 2条1項
発表するのは、国土交通省に置かれた土地鑑定委員会です。
根拠: 地価公示法 12条1項
正常な価格と標準地約2分
正常な価格とは、自由な取引が行われるとした場合に、通常成立すると認められる価格です。
根拠: 地価公示法 2条2項
土地に建物などの定着物があるときは、定着物が存在しないものとして価格を求めます。地上権などの使用収益を制限する権利も、存在しないものとします。
根拠: 地価公示法 2条2項
地上権などの権利が付いた土地でも、標準地に選べます。権利がないものとして、価格を判定するからです。
根拠: 地価公示法 2条2項
標準地は、自然的・社会的条件からみて類似の利用価値がある地域で選びます。その地域で、利用状況や環境が通常と認められる一団の土地です。
根拠: 地価公示法 3条
木村さんは、公示価格を調べています。対象の土地にはアパートが建っています。公示価格は、そのアパートがないものとして求められた価格です。
根拠: 地価公示法 2条2項
覚えるコマ
建物などの定着物も、使用収益を制限する権利も、存しないものとして求める。
間違えやすいところ:建物が建っている土地は、建物込みの価格で求めると考えてしまう
地価公示の「正常な価格」は、定着物や権利をどう扱うか? 建物などの定着物も、使用収益を制限する権利も、存しないものとして求める。
鑑定評価と公示の手続約2分
この節でよく出るのは
- ★ 2回判定と公示は毎年1回で、一定の基準日における単位面積当たりの…
- ★ 2回鑑定評価では、近傍類地の取引価格から算定される推定価格と、地…
判定と公示は毎年1回で、一定の基準日における単位面積当たりの価格を公示します。
根拠: 地価公示法 2条1項
鑑定評価では、近傍類地の取引価格から算定される推定価格と、地代等から算定される推定価格を勘案します。同等の効用を有する土地の造成に要する費用も勘案します。
根拠: 地価公示法 4条
鑑定評価をした鑑定士は、鑑定評価書を委員会に提出します。
根拠: 地価公示法 5条
鑑定評価を行った不動産鑑定士は、鑑定評価書を委員会に提出します。評価額が前年と同じでも、提出を省くことはできません。
根拠: 地価公示法 5条
時系列標準地の価格が公示されるまで
判定と公示は毎年1回。鑑定評価は、1人ではなく2人以上の不動産鑑定士が行う。
根拠: 地価公示法 2条1項、地価公示法 6条、地価公示法 6条2号
木村さんは、公示価格の根拠を調べています。2人の不動産鑑定士が評価し、委員会が審査して判定した価格です。
根拠: 地価公示法 2条1項
覚えるコマ
二人以上の不動産鑑定士に評価を求め、毎年一回、官報で公示する。
間違えやすいところ:判定して公示するのは、土地鑑定委員会(鑑定士が公示するのではない)
標準地の価格は、だれが・どのように判定し、公示するか? 二人以上の不動産鑑定士に評価を求め、毎年一回、官報で公示する。
鑑定評価は2人以上、判定と公示は毎年1回、公示は官報です。
根拠: 地価公示法 2条1項、地価公示法 6条
公示価格を規準とする義務と、取引の責務約1分
この節でよく出るのは
- ★ 2回土地の取引をする者は、類似する標準地の公示価格を指標として取…
公示区域内の土地について、正常な価格を求めるときは、不動産鑑定士は公示価格を規準としなければなりません。
根拠: 地価公示法 8条
公共事業のために土地を取得する者も、取得価格を定めるときは、公示価格を規準とします。
根拠: 地価公示法 9条
左右の比較公示価格を規準にする人と、指標にする人
取引する人は、公示価格で取引しなければならないわけではない。指標とするよう努める。
根拠: 地価公示法 8条、地価公示法 9条、地価公示法 1条の2
覚えるコマ
不動産鑑定士と収用事業の取得者は義務。一般の取引をする者は努力義務。
間違えやすいところ:一般の取引をする者に、規準とする義務があると考えてしまう
公示価格を「規準とする義務」があるのは、だれか? 不動産鑑定士と収用事業の取得者は義務。一般の取引をする者は努力義務。
規準とする義務は、鑑定評価と公共事業の取得価格です。取引する者には努力義務があります。
根拠: 地価公示法 8条、地価公示法 9条、地価公示法 1条の2
土地の取引をする者は、公示価格で取引しなければならない、は誤りです。指標とする努力義務です。
根拠: 地価公示法 1条の2
土地鑑定委員会約1分
| 項目 | 決まり |
|---|---|
| 置かれる所 | 国土交通省。地価公示などの権限を行使するため |
| 組織 | 委員7人。うち6人は非常勤 |
| 任命 | 学識経験のある者のうちから、両議院の同意を得て、国土交通大臣が任命 |
| 任期 | 3年。補欠は前任者の残任期間で、再任できる |
| 会議 | 委員長が招集する。議決には委員長と3人以上の委員の出席が要る |
根拠: 地価公示法 12条1項、地価公示法 14条1項、地価公示法 14条2項、地価公示法 15条1項、地価公示法 15条5項、地価公示法 15条6項、地価公示法 17条1項、地価公示法 17条2項
委員会の会議に、委員長と委員2人しか集まりませんでした。この会議では、議決ができません。
根拠: 地価公示法 17条2項
覚えるコマ
委員は7人で非常勤6人、任期3年。会議は委員長と3人以上の出席。
間違えやすいところ:補欠の委員の任期は前任者の残任期間。委員は再任できる
土地鑑定委員会の人数・任期・会議は、どうなっているか? 委員は7人で非常勤6人、任期3年。会議は委員長と3人以上の出席。
委員7人・非常勤6人・任期3年、会議は委員長と3人以上です。
根拠: 地価公示法 14条1項、地価公示法 15条5項、地価公示法 17条2項
委員の任期は3年で、再任はできない、は誤りです。再任されます。
根拠: 地価公示法 15条6項
鑑定評価で求める価格の種類約2分
鑑定評価で求める価格は、基本的には正常価格です。依頼の目的に応じて、ほかの価格を求めることもあります。
根拠: 不動産鑑定評価基準 総論第3章第3節
石井さんが貸している土地を借りている人が、その土地を買い取りたいと言ってきました。佐藤さんは「正常価格でいいのですか」と聞きました。木村さんは「借地権者が底地を買う取引は、買える相手が限られて市場が限定されるから、限定価格だ」と答えました。佐藤さんは、価格の種類を前提の違いで分けて覚えることにしました。
根拠: 不動産鑑定評価基準 総論第3章第3節、不動産鑑定評価基準 総論第3章第3節I1
| 価格の種類 | どんな場合 | 例 |
|---|---|---|
| 正常価格 | 市場性のある不動産について、合理的な条件を満たす市場で形成される市場価値 | ― |
| 限定価格 | 取得する他の不動産との併合などにより、市場が相対的に限定される場合 | 借地権者が底地を併合する売買 |
| 特定価格 | 法令などの社会的要請を背景として、正常価格の前提を満たさない場合 | 証券化対象不動産、民事再生 |
| 特殊価格 | 文化財などの市場性がない不動産について、利用の現況を前提とする場合 | 文化財に指定された建物 |
根拠: 不動産鑑定評価基準 総論第3章第3節I1
鑑定評価では、依頼目的に応じて、地域要因や個別的要因に想定上の条件を設定する場合があります。
根拠: 不動産鑑定評価基準 総論第5章第1節Ⅱ
想定上の条件は、実現性と合法性から妥当なものに限ります。地域要因の条件は、公的機関が設定する事項に主として限られます。
根拠: 不動産鑑定評価基準 総論第5章第1節Ⅱ
この評価では、設計図書や請負契約書を集めます。許認可と資金の面で、工事完了の実現性が高いことも必要です。
根拠: 不動産鑑定評価基準 総論第5章第1節Ⅰ2
覚えるコマ
限定は底地の併合、特定は証券化・民事再生、特殊は文化財など。
間違えやすいところ:基本は正常価格。依頼の目的によって、限定・特定・特殊価格を求める
正常価格以外の3つの価格は、それぞれどんなときに求めるか? 限定は底地の併合、特定は証券化・民事再生、特殊は文化財など。
正常・限定・特定・特殊の4つを、前提の違いで区別します。
根拠: 不動産鑑定評価基準 総論第3章第3節I1
限定価格と特殊価格は同じもの、は誤りです。限定価格は市場が限定される場合、特殊価格は市場性がない場合です。
根拠: 不動産鑑定評価基準 総論第3章第3節I1
三手法と試算価格約2分
この節でよく出るのは
- ★ 5回収益還元法は、賃貸用不動産などに特に有効です。文化財など市場…
- ★ 2回原価法は、土地のみの評価にも使えます。再調達原価を適切に求め…
- ★ 2回減価修正の方法は、耐用年数に基づく方法と観察減価法の二つです…
鑑定評価の手法には、原価法、取引事例比較法、収益還元法があります。それぞれの結果を試算価格といいます。
根拠: 不動産鑑定評価基準 各論第1章第6節
原価法は、価格時点の再調達原価を求め、減価修正をして試算価格を出します。この試算価格を積算価格といいます。
根拠: 不動産鑑定評価基準 各論第1章第6節
原価法は、土地のみの評価にも使えます。再調達原価を適切に求められるときです。
根拠: 不動産鑑定評価基準 総論第7章第1節Ⅱ1
減価修正の方法は、耐用年数に基づく方法と観察減価法の二つです。これらは併用します。
根拠: 不動産鑑定評価基準 総論第7章第1節Ⅱ3(2)
取引事例比較法は、取引事例を集めて選び、事情補正と時点修正をし、要因を比較して試算価格を出します。この試算価格を比準価格といいます。
根拠: 不動産鑑定評価基準 各論第1章第6節
収益還元法は、将来生み出すと期待される純収益の現在価値の総和で試算価格を出します。この試算価格を収益価格といいます。
根拠: 不動産鑑定評価基準 各論第1章第6節
収益価格を求める方法には、直接還元法とDCF法があります。直接還元法は一期間の純収益を還元利回りで還元し、DCF法は複数期間の純収益と復帰価格を現在価値に割り引いて合計します。
根拠: 不動産鑑定評価基準 各論第1章第6節
収益還元法は、賃貸用不動産などに特に有効です。文化財など市場性がない不動産以外には、基本的にすべて適用すべきです。自用の不動産でも、賃貸を想定して適用します。
根拠: 不動産鑑定評価基準 各論第1章第6節
木村さんは、自用の店舗の評価を、不動産鑑定士に依頼しました。自用でも、賃貸を想定して純収益を求めるので、収益還元法が適用されます。
根拠: 不動産鑑定評価基準 各論第1章第6節
覚えるコマ
原価法は積算価格、取引事例比較法は比準価格、収益還元法は収益価格。
間違えやすいところ:収益価格の求め方には、直接還元法とDCF法がある
三つの鑑定評価の手法は、それぞれどの試算価格になるか? 原価法は積算価格、取引事例比較法は比準価格、収益還元法は収益価格。
原価法は積算価格、取引事例比較法は比準価格、収益還元法は収益価格です。
根拠: 不動産鑑定評価基準 各論第1章第6節
判定の流れ三手法と試算価格の名まえ
収益還元法は、将来の純収益の現在価値で求める。自用の不動産でも、賃貸を想定して適用する。
根拠: 不動産鑑定評価基準 各論第1章第6節
自用の不動産には、収益還元法を適用しない、は誤りです。賃貸を想定して適用します。
根拠: 不動産鑑定評価基準 各論第1章第6節
価格形成要因と取引事例の補正約2分
この節でよく出るのは
- ★ 3回取引に特殊な事情があり価格に影響しているときは、事情補正をし…
- ★ 2回取引事例は、近隣地域や同一需給圏内の類似地域などから選びます…
- ★ 2回不動産の価格は、最有効使用を前提とした価格を標準に形成されま…
価格形成要因は、一般的要因、地域要因、個別的要因の3つに分けます。
根拠: 不動産鑑定評価基準 総論第4章第2節
| 要因 | 影響の範囲 | 例 |
|---|---|---|
| 一般的要因 | 一般経済社会における不動産のあり方や価格の水準 | 景気、人口、金利 |
| 地域要因 | その地域に属する不動産の価格に全般的な影響 | 街路や交通施設の状態 |
| 個別的要因 | その不動産の価格を個別的に形成 | 地積、形状、接面街路との関係 |
根拠: 不動産鑑定評価基準 総論第4章第2節
近隣地域は、対象不動産が属する地域のまとまりです。同一需給圏は、その不動産と入れかえて使える不動産がある、より広い圏域です。
根拠: 不動産鑑定評価基準 総論第4章第2節
取引事例は、近隣地域や同一需給圏内の類似地域などから選びます。
根拠: 不動産鑑定評価基準 各論第1章第6節
取引に特殊な事情があり価格に影響しているときは、事情補正をします。価格水準が変動しているときは、時点修正をします。
根拠: 不動産鑑定評価基準 各論第1章第6節
土地は、投機的取引の対象とされてはなりません。適正を欠く取引事例は、用いません。
根拠: 不動産鑑定評価基準 総論第1章第4節
不動産の価格は、最有効使用を前提とした価格を標準に形成されます。これを最有効使用の原則といいます。
根拠: 不動産鑑定評価基準 総論第4章Ⅳ
不動産がその環境に適合していることが必要だとする原則は、適合の原則です。
根拠: 不動産鑑定評価基準 総論第4章Ⅸ
石井さんの空き地の近くで、売り急ぎで安く売られた事例が見つかりました。佐藤さんは「近いから、この値段をそのまま使いましょう」と言いました。木村さんは「特殊な事情があるから、事情補正をして直す。時点修正は、価格水準が変動しているときに直すものだ」と教えました。
根拠: 不動産鑑定評価基準 各論第1章第6節
佐藤さんは、売り急ぎで安く売られた事例を使おうとしています。特殊な事情があるので、事情補正をします。
根拠: 不動産鑑定評価基準 各論第1章第6節
覚えるコマ
特殊な事情がある事例は事情補正、価格水準の変動は時点修正。
間違えやすいところ:投機的取引など適正を欠く事例は、補正ではなく取引事例に用いない
取引事例の事情補正と時点修正は、どう使い分けるか? 特殊な事情がある事例は事情補正、価格水準の変動は時点修正。
要因は一般・地域・個別の3つ。事情補正と時点修正を区別します。
根拠: 不動産鑑定評価基準 総論第4章第2節、不動産鑑定評価基準 各論第1章第6節
時点修正は、取引の特殊な事情を直すこと、は誤りです。それは事情補正です。時点修正は価格水準の変動を直します。
根拠: 不動産鑑定評価基準 各論第1章第6節
賃料の鑑定評価約2分
この節でよく出るのは
- ★ 2回本試験では「Aが公示区域内の土地を取引する」のように出ます。…
賃料の鑑定評価でも、価格と同じように手法を使います。求める賃料の種類によって手法が違います。
根拠: 不動産鑑定評価基準 各論第2章第1節
新規賃料は、積算法(費用を積み上げて求める手法)、賃貸事例比較法、収益分析法などで求めます。継続賃料は、差額配分法、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法などで求めます。
根拠: 不動産鑑定評価基準 各論第2章第1節
賃料の鑑定評価は、実質賃料を求めるのが原則です。依頼があれば、支払賃料も求めます。
根拠: 不動産鑑定評価基準 各論第2章第1節
実質賃料は、賃貸人等に支払われる、算定期間に対応する適正なすべての経済的対価です。純賃料と必要諸経費等から成り立ちます。
根拠: 不動産鑑定評価基準 各論第2章第1節
数字の比べ賃料の算定の期間
算定の期間は、原則として、宅地と建物及びその敷地では1月、その他の土地では1年を単位とする。
根拠: 不動産鑑定評価基準 各論第2章第1節
覚えるコマ
新規賃料は積算法など、継続賃料は差額配分法・利回り法など。
間違えやすいところ:賃貸事例比較法は、新規賃料にも継続賃料にも使う
新規賃料と継続賃料は、求める手法がどう違うか? 新規賃料は積算法など、継続賃料は差額配分法・利回り法など。
本試験では「Aが公示区域内の土地を取引する」のように出ます。取引する者は公示価格を指標とする努力義務を負い、公示価格で取引する義務はありません。
根拠: 地価公示法 1条の2