宅建業法の基礎(宅地・業の定義・適用除外・事務所)
この単元で分かること
この単元のはじまりの場面
4月、佐藤さくらさんは、みなと不動産に入社しました。初日に友人から、親戚の土地の買い手を探して、お礼をもらってよいのか、と聞かれ、答えられませんでした。木村健一さんは「免許のない人が、仕事として土地の取引にかかわってはいけないんだ、買う人を守るためだよ」と教えました。では、どこからが「仕事」なのか。佐藤さんは、宅建業法の入り口を覚えることになりました。
この法律は何のためにあるか約1分
家や土地は人生で何度も買うものではなく、買ったあとで欠陥が見つかってもやり直しがききません。そこで国は、取引を仕事にする人を免許制で選別しました。これが宅地建物取引業法です。
根拠: 宅地建物取引業法 1条
この法律は、免許の仕組みと、宅建業者が守るルールを定めています。契約前の説明、契約後の書面、預かったお金の保護など、取引の流れにそって規制が並びます。
根拠: 宅地建物取引業法 2条
土地を手放したい売主が、みなと不動産に仲介を頼みました。買主がその土地を買います。その買主のように慣れていない人を守ることが、この法律の目的です。
根拠: 宅地建物取引業法 2条2号
宅建業法は「宅建業者を規制して、相手を守る」ための法律です。規制されるのは宅地建物取引業者(宅建業者)と、その宅建業者に従事する人です。
根拠: 宅地建物取引業法 1条、宅地建物取引業法 48条1項
宅地とはどの土地か約1分
これに加えて、用途地域の内側の土地も宅地に入ります。用途地域とは、都市計画で建物の用途を制限する地域です。ただし道路や公園、川のように、みんなが使う施設の土地は除きます。
根拠: 宅地建物取引業法 2条1号、宅地建物取引業法施行令 1条
判定の流れその土地は、宅地にあたるか
用途地域の中なら、使われ方に関係なく宅地。ただし道路や公園などは除く。
根拠: 宅地建物取引業法 2条1号、宅地建物取引業法施行令 1条
用途地域の中に、田んぼとして使っている土地があります。みなと不動産がこの土地を売買しました。用途地域の内側なので、田んぼでも宅地となり、宅建業法のルールがかかります。
根拠: 宅地建物取引業法 2条1号
覚えるコマ
内は道路・公園・河川などを除き宅地。外は建物の敷地かどうかで決まる。
間違えやすいところ:用途地域内でも、道路・公園・河川(と、施行令で広場・水路)の敷地は宅地に含まない
用途地域の内と外で、宅地の決まり方はどう違うか? 内は道路・公園・河川などを除き宅地。外は建物の敷地かどうかで決まる。
「業として」行うとは約2分
「業として」とは、社会通念上、事業といえる程度に取引をすることです。相手が広く一般の人か、繰り返す形か、利益が目的か、などを合わせて判断します。1回限りの売買は、ふつう業になりません。
根拠: 宅地建物取引業法 2条2号、宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 2条2号関係
売買と交換は、自分が当事者になる場合も業に当たります。宅建業者が自分の土地を売る場合も、この法律のルールがかかります。
根拠: 宅地建物取引業法 2条2号
貸借は違います。自分が貸主になる場合は業に当たらず、他人の代理や仲介をする場合だけ業になります。
根拠: 宅地建物取引業法 2条2号
左右の比較どの関わり方が「業」になるか
自分で貸すだけなら業ではない。他人の貸借の代理や媒介は業になる。
根拠: 宅地建物取引業法 2条2号
みなと不動産が、自分のビルを買主に売りました。これは自ら当事者となる売買なので、業として行う取引です。一方、みなと不動産が自分のビルを借主に貸すのは、自ら貸主なので業に当たりません。
根拠: 宅地建物取引業法 2条2号
覚えるコマ
売買・交換は自ら当事者でも業。貸借は代理・媒介のときだけ。
間違えやすいところ:自ら貸主として貸すことも宅建業にあたると間違える
売買・交換と貸借で、「業」にあたる場合はどう違うか? 売買・交換は自ら当事者でも業。貸借は代理・媒介のときだけ。
利益が目的かどうかは、判断の材料のひとつです。ただ、それだけで決まるわけではなく、相手や回数などと合わせて見ます。
根拠: 宅地建物取引業法 2条2号、宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 2条2号関係
もうけるつもりがなければ業にならない、は誤りです。利益の目的は材料のひとつで、広く一般の人を相手に繰り返す形かどうかなども合わせて判断します。
根拠: 宅地建物取引業法 2条2号、宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 2条2号関係
免許のない者の取引約2分
北町ホームの小林浩二さんが、大野誠社長のところへ来ました。「知り合いが不動産屋を始めたい。免許はまだだから、みなと不動産の名前で営業させてやってくれ」と言います。大野社長は「それは名義貸しです。免許を受けた業者の名前で、免許のない人が営業できてしまえば、免許の仕組みが意味を失います」と断りました。
根拠: 宅地建物取引業法 13条1項
免許のない人は、業を営む旨を見せることも、業を営む目的で広告することもできません。
根拠: 宅地建物取引業法 12条2項
人物関係図名義貸しの関係
貸した側も借りた側も、どちらも同じ罰則を受ける。
根拠: 宅地建物取引業法 13条1項、宅地建物取引業法 79条3号
みなと不動産の元社員が、その名義を借りて独立しました。契約しているのは元社員自身ですが、それでも元社員もみなと不動産も処罰の対象です。名義を貸しただけのみなと不動産も許されません。
根拠: 宅地建物取引業法 13条1項、宅地建物取引業法 79条3号
覚えるコマ
営業も名義貸しも、3年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金。
間違えやすいところ:表示・広告だけの違反は軽く、100万円以下の罰金(82条2号)
無免許営業と名義貸しは、どう罰せられるか? 営業も名義貸しも、3年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金。
無免許で業を営むと、3年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金です。名義貸しも同じ重さの罰則が科せられます。
根拠: 宅地建物取引業法 79条、宅地建物取引業法 79条2号、宅地建物取引業法 79条3号
無免許でも1回の取引なら必ず大丈夫、は誤りです。1回の販売でも、土地を区画に分けて何人かに売るような形なら、繰り返す取引として業に当たります。
根拠: 宅地建物取引業法 12条1項、宅地建物取引業法 2条2号、宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 2条2号関係
法律が適用されない場合約1分
この法律は、国と地方公共団体(都道府県や市町村)には適用されません。公共の主体には、免許も罰則もかかりません。
根拠: 宅地建物取引業法 78条1項
法律が適用されない相手は、国と地方公共団体です。農協は、これに当たりません。
根拠: 宅地建物取引業法 78条1項
代わりに、業を営もうとする信託会社は、国土交通大臣にそのことを届け出ます。届け出れば、免許を受けた宅建業者とみなされます。
根拠: 宅地建物取引業法 77条2項、宅地建物取引業法 77条3項
信託会社が、預かった土地を販売することになりました。その信託会社は国土交通大臣にそのことを届け出ます。以後は、免許を受けた宅建業者と同じルールで業務をすることになります。
根拠: 宅地建物取引業法 77条2項
覚えるコマ
国・地方公共団体は法の規定を適用しない。信託会社は免許などが外れる。
間違えやすいところ:信託会社も全部が外れるわけではない。国交大臣に届け出れば、免許を受けた業者とみなして適用される
宅建業法が適用されないのは、どんな者か? 国・地方公共団体は法の規定を適用しない。信託会社は免許などが外れる。
事務所と免許権者約2分
大野誠社長が「隣の県にも支店を出そう」と言い出しました。佐藤さんが「今の免許のままでよいですか」と聞きました。木村さんは「事務所が2つ以上の県にまたがると、免許は国土交通大臣のものになるよ」と答えました。決め手は県の数だと言います。
根拠: 宅地建物取引業法 3条1項
本店や支店のほか、続けて業務ができる施設で、契約を結ぶ権限のある使用人を置く場所も事務所です。
根拠: 宅地建物取引業法施行令 1条の2
左右の比較免許をくれるのは、だれか
支店が何店あっても、同じ県の中なら知事免許のまま。
根拠: 宅地建物取引業法 3条1項
みなと不動産は、A県に本店を、B県に支店を置きました。2つの都道府県にまたがるので、国土交通大臣の免許を受けます。同じA県の中に支店を増やすだけなら、A県知事の免許のままです。
根拠: 宅地建物取引業法 3条1項
覚えるコマ
分かれ目は都道府県の数。2以上なら国交大臣、一つなら知事。
間違えやすいところ:事務所や支店の数で決まると間違える。同じ県内なら、何店あっても知事免許
免許はだれが出すか。分かれ目は何か? 分かれ目は都道府県の数。2以上なら国交大臣、一つなら知事。
本店・支店と、契約締結権限のある使用人がいる継続的な施設。
間違えやすいところ:案内所だというだけでは事務所にならない。契約締結権限の使用人がいれば事務所
宅建業法でいう事務所になるのは、どんな場所か? 本店・支店と、契約締結権限のある使用人がいる継続的な施設。
業務の基本ルールに触れる約1分
| すること | だれが | 内容 |
|---|---|---|
| 重要事項を書面で説明 | 宅地建物取引士 | 契約が成立するまでの間 |
| 契約内容の書面の交付 | 宅地建物取引業者 | 契約の後 |
| 従業者証明書の携帯 | 宅地建物取引業者 | 従業者(業者の使用人)に携帯させる |
| 従業者証明書の提示 | 従業者 | 請求があったとき |
| 従業者名簿の備付け | 宅地建物取引業者 | 事務所ごとに |
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項、宅地建物取引業法 48条1項、宅地建物取引業法 48条2項、宅地建物取引業法 48条3項
事務所以外で契約や申込みを受ける案内所(契約をとる臨時の場所)や展示会などは、業務を始める前に届け出ます。
根拠: 宅地建物取引業法 50条2項、宅地建物取引業法施行規則 15条の5の2第4号
届出は、業務を開始する日の10日前までにします。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 19条3項
みなと不動産の従業者である佐藤さんが、買主と会いました。買主が請求すると、佐藤さんは従業者証明書を提示します。買主は、目の前の人が本当にみなと不動産の人か確かめられます。
根拠: 宅地建物取引業法 48条2項
覚えるコマ
契約が成立するまでの間に、取引士が説明する。
間違えやすいところ:契約が成立した後ではない。契約後に交付するのは37条書面
重要事項の説明は、いつまでに、だれがするか? 契約が成立するまでの間に、取引士が説明する。
説明は取引士、証明書は従業者と、役割が分かれています。どちらも相手を守るための仕組みです。
根拠: 宅地建物取引業法 35条1項、宅地建物取引業法 48条2項