宅建業法

宅建業法の基礎(宅地・業の定義・適用除外・事務所)

宅建業法読む目安 約10分図 4場面つき

この単元で分かること

  • 宅建業法が何のためにある法律なのかを学びます。
  • どんな土地が宅地にあたり、どこからが「業として」行う取引になるのかを見分けられるようにします。
  • 免許を出すのは誰か、どんな場合に法律が適用されないのかを学びます。

この単元のはじまりの場面

場面

4月、佐藤さくらさんは、みなと不動産に入社しました。初日に友人から、親戚の土地の買い手を探して、お礼をもらってよいのか、と聞かれ、答えられませんでした。木村健一さんは「免許のない人が、仕事として土地の取引にかかわってはいけないんだ、買う人を守るためだよ」と教えました。では、どこからが「仕事」なのか。佐藤さんは、宅建業法の入り口を覚えることになりました。

この法律は何のためにあるか約1分

家や土地は人生で何度も買うものではなく、買ったあとで欠陥が見つかってもやり直しがききません。そこで国は、取引を仕事にする人を免許制で選別しました。これが宅地建物取引業法です。

根拠: 宅地建物取引業法 1条

この法律は、免許の仕組みと、宅建業者が守るルールを定めています。契約前の説明、契約後の書面、預かったお金の保護など、取引の流れにそって規制が並びます。

根拠: 宅地建物取引業法 2条

事例

土地を手放したい売主が、みなと不動産に仲介を頼みました。買主がその土地を買います。その買主のように慣れていない人を守ることが、この法律の目的です。

根拠: 宅地建物取引業法 2条2号

要点

宅建業法は「宅建業者を規制して、相手を守る」ための法律です。規制されるのは宅地建物取引業者(宅建業者)と、その宅建業者に従事する人です。

根拠: 宅地建物取引業法 1条、宅地建物取引業法 48条1項

ひっかけ

宅建業法はすべての不動産取引を規制する、は誤りです。対象になるのは「業として」行う取引だけです。業にあたらない個人どうしの売買は、対象外です。

根拠: 宅地建物取引業法 2条2号

宅地とはどの土地か約1分

宅地とは、まず建物の敷地に使う土地です。ここは分かりやすいですね。

根拠: 宅地建物取引業法 2条1号

これに加えて、用途地域の内側の土地も宅地に入ります。用途地域とは、都市計画で建物の用途を制限する地域です。ただし道路や公園、川のように、みんなが使う施設の土地は除きます。

根拠: 宅地建物取引業法 2条1号、宅地建物取引業法施行令 1条

用途地域の外では、建物の敷地になっていない土地は宅地になりません。農地や山林がそのままなら、宅地ではありません。

根拠: 宅地建物取引業法 2条1号

判定の流れその土地は、宅地にあたるか

建物の敷地にする土地か?はい宅地にあたるいいえ用途地域の中の土地か?はい道路・公園・河川などか?はい宅地にあたらない(公共施設)いいえ宅地にあたる(田畑や山林も)いいえ宅地にあたらない

用途地域の中なら、使われ方に関係なく宅地。ただし道路や公園などは除く。

根拠: 宅地建物取引業法 2条1号、宅地建物取引業法施行令 1条

事例

用途地域の中に、田んぼとして使っている土地があります。みなと不動産がこの土地を売買しました。用途地域の内側なので、田んぼでも宅地となり、宅建業法のルールがかかります。

根拠: 宅地建物取引業法 2条1号

覚えるコマ

覚える用途地域の内と外で、宅地の決まり方はどう違うか?根拠 2条1号
用途地域の内・現況が農地・山林でも宅地・道路・公園・河川などの敷地は除く用途地域の外・建物の敷地に供せられる土地は宅地・建てる目的で取引されるなら宅地(運用)広場と水路も除かれる(施行令1条)。除かれる公共施設はあわせて5つ。

内は道路・公園・河川などを除き宅地。外は建物の敷地かどうかで決まる。

間違えやすいところ:用途地域内でも、道路・公園・河川(と、施行令で広場・水路)の敷地は宅地に含まない

用途地域の内と外で、宅地の決まり方はどう違うか? 内は道路・公園・河川などを除き宅地。外は建物の敷地かどうかで決まる。

要点

用途地域の内側なら、使われ方に関係なく宅地です。外側では、建物の敷地にするための土地かどうかで決まります。

根拠: 宅地建物取引業法 2条1号

表
土地宅地かなぜ
用途地域の中の田畑・山林宅地用途地域の内側だから
用途地域の中の道路・公園・川宅地でない公共施設の敷地だから
用途地域の外で建物の敷地宅地建物の敷地だから
用途地域の外で、建物の敷地にする土地でもない宅地でないどちらにも当たらない

根拠: 宅地建物取引業法 2条1号、宅地建物取引業法施行令 1条

ひっかけ過去問に出た

用途地域の中の農地だから宅地ではない、は誤りです。用途地域の内側では、農地も山林も宅地です。

根拠: 宅地建物取引業法 2条1号

「業として」行うとは約2分

「業として」とは、社会通念上、事業といえる程度に取引をすることです。相手が広く一般の人か、繰り返す形か、利益が目的か、などを合わせて判断します。1回限りの売買は、ふつう業になりません。

根拠: 宅地建物取引業法 2条2号、宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 2条2号関係

売買と交換は、自分が当事者になる場合も業に当たります。宅建業者が自分の土地を売る場合も、この法律のルールがかかります。

根拠: 宅地建物取引業法 2条2号

貸借は違います。自分が貸主になる場合は業に当たらず、他人の代理や仲介をする場合だけ業になります。

根拠: 宅地建物取引業法 2条2号

建物の一部も対象です。マンションの一室を売買する場合も、宅地建物取引業に含まれます。

根拠: 宅地建物取引業法 2条2号

左右の比較どの関わり方が「業」になるか

売買・交換取引の種類貸借取引の種類自分が当事者業になる業にならない代理する業になる業になる媒介する業になる業になる

自分で貸すだけなら業ではない。他人の貸借の代理や媒介は業になる。

根拠: 宅地建物取引業法 2条2号

事例

みなと不動産が、自分のビルを買主に売りました。これは自ら当事者となる売買なので、業として行う取引です。一方、みなと不動産が自分のビルを借主に貸すのは、自ら貸主なので業に当たりません。

根拠: 宅地建物取引業法 2条2号

覚えるコマ

覚える売買・交換と貸借で、「業」にあたる場合はどう違うか?根拠 2条2号
売買・交換自ら当事者でも、代理・媒介でも業貸借代理・媒介のときだけ業。自ら貸主は業でない建物の一部(マンションの一室)も対象に含む。

売買・交換は自ら当事者でも業。貸借は代理・媒介のときだけ。

間違えやすいところ:自ら貸主として貸すことも宅建業にあたると間違える

売買・交換と貸借で、「業」にあたる場合はどう違うか? 売買・交換は自ら当事者でも業。貸借は代理・媒介のときだけ。

要点

利益が目的かどうかは、判断の材料のひとつです。ただ、それだけで決まるわけではなく、相手や回数などと合わせて見ます。

根拠: 宅地建物取引業法 2条2号、宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 2条2号関係

ひっかけ

もうけるつもりがなければ業にならない、は誤りです。利益の目的は材料のひとつで、広く一般の人を相手に繰り返す形かどうかなども合わせて判断します。

根拠: 宅地建物取引業法 2条2号、宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 2条2号関係

免許のない者の取引約2分

場面

北町ホームの小林浩二さんが、大野誠社長のところへ来ました。「知り合いが不動産屋を始めたい。免許はまだだから、みなと不動産の名前で営業させてやってくれ」と言います。大野社長は「それは名義貸しです。免許を受けた業者の名前で、免許のない人が営業できてしまえば、免許の仕組みが意味を失います」と断りました。

根拠: 宅地建物取引業法 13条1項

免許を受けずに宅建業を営んではいけません。これを無免許営業といいます。

根拠: 宅地建物取引業法 12条1項

免許のない人は、業を営む旨を見せることも、業を営む目的で広告することもできません。

根拠: 宅地建物取引業法 12条2項

過去問に出た

業者は、自分の名義で他人に業を営ませることもできません。これを名義貸しといい、名義を借りた人だけでなく、貸した宅建業者も罰せられます。

根拠: 宅地建物取引業法 13条1項

人物関係図名義貸しの関係

名義を貸す業を営むみなと不動産名義を貸した元社員名義を借りた取引の相手契約した

貸した側も借りた側も、どちらも同じ罰則を受ける。

根拠: 宅地建物取引業法 13条1項、宅地建物取引業法 79条3号

事例

みなと不動産の元社員が、その名義を借りて独立しました。契約しているのは元社員自身ですが、それでも元社員もみなと不動産も処罰の対象です。名義を貸しただけのみなと不動産も許されません。

根拠: 宅地建物取引業法 13条1項、宅地建物取引業法 79条3号

覚えるコマ

覚える無免許営業と名義貸しは、どう罰せられるか?根拠 79条2号
無免許営業3年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金名義貸し3年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金表示・広告100万円以下の罰金免許のない者は、業を営む旨の表示も目的をもった広告もできない。

営業も名義貸しも、3年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金。

間違えやすいところ:表示・広告だけの違反は軽く、100万円以下の罰金(82条2号)

無免許営業と名義貸しは、どう罰せられるか? 営業も名義貸しも、3年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金。

要点

無免許で業を営むと、3年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金です。名義貸しも同じ重さの罰則が科せられます。

根拠: 宅地建物取引業法 79条、宅地建物取引業法 79条2号、宅地建物取引業法 79条3号

ひっかけ

無免許でも1回の取引なら必ず大丈夫、は誤りです。1回の販売でも、土地を区画に分けて何人かに売るような形なら、繰り返す取引として業に当たります。

根拠: 宅地建物取引業法 12条1項、宅地建物取引業法 2条2号、宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 2条2号関係

法律が適用されない場合約1分

この法律は、国と地方公共団体(都道府県や市町村)には適用されません。公共の主体には、免許も罰則もかかりません。

根拠: 宅地建物取引業法 78条1項

法律が適用されない相手は、国と地方公共団体です。農協は、これに当たりません。

根拠: 宅地建物取引業法 78条1項

過去問に出た

国や地方公共団体の取引を媒介する民間の業者には、法律が適用されます。

根拠: 宅地建物取引業法 78条1項

信託会社(信託業法の免許を受けたもの)には、免許の規定や無免許営業の禁止など、一部の規定が適用されません。

根拠: 宅地建物取引業法 77条1項

過去問に出た

代わりに、業を営もうとする信託会社は、国土交通大臣にそのことを届け出ます。届け出れば、免許を受けた宅建業者とみなされます。

根拠: 宅地建物取引業法 77条2項、宅地建物取引業法 77条3項

事例過去問に出た

信託会社が、預かった土地を販売することになりました。その信託会社は国土交通大臣にそのことを届け出ます。以後は、免許を受けた宅建業者と同じルールで業務をすることになります。

根拠: 宅地建物取引業法 77条2項

覚えるコマ

覚える宅建業法が適用されないのは、どんな者か?根拠 78条1項・77条1〜3項
国・地方公共団体・法の規定を適用しない信託会社・免許や12条などの規定は適用しない・届け出れば免許を受けた業者とみなす業を営もうとする信託会社は、国交大臣に届け出る。

国・地方公共団体は法の規定を適用しない。信託会社は免許などが外れる。

間違えやすいところ:信託会社も全部が外れるわけではない。国交大臣に届け出れば、免許を受けた業者とみなして適用される

宅建業法が適用されないのは、どんな者か? 国・地方公共団体は法の規定を適用しない。信託会社は免許などが外れる。

要点

外れるのは免許など一部の規定だけです。それ以外の規定は、国土交通大臣の免許を受けた業者とみなして適用されます。

根拠: 宅地建物取引業法 77条1項、宅地建物取引業法 77条2項

ひっかけ

信託会社は法律の適用をすべて受けない、は誤りです。届出の後は、免許を受けた宅建業者とみなされます。

根拠: 宅地建物取引業法 77条2項

事務所と免許権者約2分

場面

大野誠社長が「隣の県にも支店を出そう」と言い出しました。佐藤さんが「今の免許のままでよいですか」と聞きました。木村さんは「事務所が2つ以上の県にまたがると、免許は国土交通大臣のものになるよ」と答えました。決め手は県の数だと言います。

根拠: 宅地建物取引業法 3条1項

どこの免許になるかは、事務所がどこにあるかで決まります。事務所とは、まず本店や支店のことです。

根拠: 宅地建物取引業法 3条1項

本店や支店のほか、続けて業務ができる施設で、契約を結ぶ権限のある使用人を置く場所も事務所です。

根拠: 宅地建物取引業法施行令 1条の2

2つ以上の都道府県に事務所があると、国土交通大臣の免許です。1つの都道府県の中だけなら、都道府県知事の免許です。

根拠: 宅地建物取引業法 3条1項

左右の比較免許をくれるのは、だれか

県が1つ知事免許県が2つ以上大臣免許事務所の例A県に本店と支店2つA県に本店、B県に支店免許をくれる人A県の知事国土交通大臣決め手県の数が1つ県の数が2つ以上

支店が何店あっても、同じ県の中なら知事免許のまま。

根拠: 宅地建物取引業法 3条1項

事例

みなと不動産は、A県に本店を、B県に支店を置きました。2つの都道府県にまたがるので、国土交通大臣の免許を受けます。同じA県の中に支店を増やすだけなら、A県知事の免許のままです。

根拠: 宅地建物取引業法 3条1項

覚えるコマ

覚える免許はだれが出すか。分かれ目は何か?根拠 3条1項
事務所は2以上の都道府県にある?はい国土交通大臣の免許いいえ都道府県知事の免許本店・支店の数は関係ない。

分かれ目は都道府県の数。2以上なら国交大臣、一つなら知事。

間違えやすいところ:事務所や支店の数で決まると間違える。同じ県内なら、何店あっても知事免許

免許はだれが出すか。分かれ目は何か? 分かれ目は都道府県の数。2以上なら国交大臣、一つなら知事。

覚える宅建業法でいう事務所になるのは、どんな場所か?根拠 宅地建物取引業法施行令1条の2第2号
1 本店・支店2 継続して業務をする施設で、契約締結権限のある使用人がいるもの案内所も、契約締結権限の使用人がいれば事務所。

本店・支店と、契約締結権限のある使用人がいる継続的な施設。

間違えやすいところ:案内所だというだけでは事務所にならない。契約締結権限の使用人がいれば事務所

宅建業法でいう事務所になるのは、どんな場所か? 本店・支店と、契約締結権限のある使用人がいる継続的な施設。

要点

免許権者は、事務所の数ではなく、事務所がある都道府県の数で決まります。同じ県の中に何店あっても知事免許です。

根拠: 宅地建物取引業法 3条1項

ひっかけ

支店が2つあれば国土交通大臣の免許、は誤りです。同じ都道府県の中なら、知事免許です。

根拠: 宅地建物取引業法 3条1項

業務の基本ルールに触れる約1分

表
することだれが内容
重要事項を書面で説明宅地建物取引士契約が成立するまでの間
契約内容の書面の交付宅地建物取引業者契約の後
従業者証明書の携帯宅地建物取引業者従業者(業者の使用人)に携帯させる
従業者証明書の提示従業者請求があったとき
従業者名簿の備付け宅地建物取引業者事務所ごとに

根拠: 宅地建物取引業法 35条1項、宅地建物取引業法 48条1項、宅地建物取引業法 48条2項、宅地建物取引業法 48条3項

事務所以外で契約や申込みを受ける案内所(契約をとる臨時の場所)や展示会などは、業務を始める前に届け出ます。

根拠: 宅地建物取引業法 50条2項、宅地建物取引業法施行規則 15条の5の2第4号

過去問に出た

届出は、業務を開始する日の10日前までにします。

根拠: 宅地建物取引業法施行規則 19条3項

事例

みなと不動産の従業者である佐藤さんが、買主と会いました。買主が請求すると、佐藤さんは従業者証明書を提示します。買主は、目の前の人が本当にみなと不動産の人か確かめられます。

根拠: 宅地建物取引業法 48条2項

覚えるコマ

覚える重要事項の説明は、いつまでに、だれがするか?根拠 35条1項
① 契約が成立するまでの間取引士が重要事項を説明する② 契約の成立貸借の契約も、説明の対象借りようとする者にも、書面を交付して説明する。

契約が成立するまでの間に、取引士が説明する。

間違えやすいところ:契約が成立した後ではない。契約後に交付するのは37条書面

重要事項の説明は、いつまでに、だれがするか? 契約が成立するまでの間に、取引士が説明する。

要点

説明は取引士、証明書は従業者と、役割が分かれています。どちらも相手を守るための仕組みです。

根拠: 宅地建物取引業法 35条1項、宅地建物取引業法 48条2項

ひっかけ

重要事項の説明は担当の営業マンがすればよい、は誤りです。説明は宅地建物取引士が行います。

根拠: 宅地建物取引業法 35条1項

本試験ではこう出ます

本試験では「宅建業者Aが、自ら所有する建物をBに貸すことは、宅建業に当たる」のように出ます。自分が貸主の貸借は業にならないので、誤りです。

根拠: 宅地建物取引業法 2条2号

まとめ

  • 宅建業法は、免許で宅建業者を選別し、取引の相手を守る法律。
  • 宅地かどうかは、用途地域の中か外かで大きく決まる。
  • 売買・交換は自ら行う場合も業。貸借は代理・媒介のときだけ業。
  • 免許のない者の営業も、名義貸しも、どちらも禁止されている。
  • 国と地方公共団体には適用されない。信託会社は届出でみなし業者になる。
  • 免許権者は、事務所がある都道府県の数で決まる。
  • 説明は取引士がする。証明書の携帯は業者がさせ、提示は従業者がする。
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