営業保証金(供託・還付・取戻し)
この単元のはじまりの場面
営業保証金とは何か約1分
預ける先は供託所(供託する法務局)です。宅建業者は、事業を始める前に必ず預けます。
根拠: 宅地建物取引業法 25条1項
取引の相手は、この預けたお金から弁済を受けられます。宅建業者が倒産しても、被害の回復が図れます。
根拠: 宅地建物取引業法 27条1項
どこに・いくら供託するか約1分
この節でよく出るのは
- ★ 3回最寄りの供託所は、主たる事務所のもの1つに決まります。事務所…
- ★ 2回営業保証金は事務所ごとに別々の供託所へ預ける、は誤りです。主…
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 供託先 | 主たる事務所の最寄りの供託所。他の事務所の分も、同じ供託所にまとめる。 |
| 額 | 主たる事務所は1,000万円。その他の事務所は1つにつき500万円。事務所の数に応じて合計する。 |
| 分け方 | 事務所ごとに、それぞれの最寄りの供託所へ分けて預けるのではない。 |
| 事務所を増やしたとき | その事務所の分だけを追加で供託する。 |
根拠: 宅地建物取引業法 25条1項、宅地建物取引業法 25条2項、宅地建物取引業法施行令 2条の4、宅地建物取引業法 26条1項
数字の比べ営業保証金の額
供託する先は、主たる事務所の最寄りの供託所1つにまとめる。
根拠: 宅地建物取引業法 25条2項、宅地建物取引業法施行令 2条の4
みなと不動産には、主たる事務所が1つ、その他の事務所が2つあります。供託する額は、1,000万円に500万円を2つ足した2,000万円です。あとで事務所を1つ増やすと、500万円を追加で供託します。
根拠: 宅地建物取引業法施行令 2条の4
覚えるコマ
主たる事務所は1000万円、その他の事務所は事務所ごとに500万円。
間違えやすいところ:事務所ごとに最寄りの供託所へ分けて供託すると間違える。供託先は主たる事務所の最寄りの供託所1つ
営業保証金は、どこに、いくら供託するのか? 主たる事務所は1000万円、その他の事務所は事務所ごとに500万円。
有価証券で充てられる約1分
この節でよく出るのは
- ★ 2回評価の仕方も決まっています。国債証券は額面の全額、地方債証券…
営業保証金は、お金だけでなく、有価証券でも充てられます。ただし、充てられる種類が限られます。
根拠: 宅地建物取引業法 25条3項
充てられるのは、国債証券、地方債証券、指定された社債券などです。株式は充てられません。
根拠: 宅地建物取引業法 25条3項
評価の仕方も決まっています。国債証券は額面の全額、地方債証券などは額面の90%、それ以外の債券は額面の80%で数えます。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 15条、宅地建物取引業法施行規則 15条1号、宅地建物取引業法施行規則 15条2号、宅地建物取引業法施行規則 15条3号
数字の比べ有価証券の評価(額面を100として)
株式は営業保証金に充てられない。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 15条1号、宅地建物取引業法施行規則 15条2号、宅地建物取引業法施行規則 15条3号
金銭と有価証券を組み合わせて供託することもできます。
根拠: 宅地建物取引業法 25条3項
みなと不動産は500万円分を地方債証券で充てることにしました。額面500万円の地方債証券は、90%の450万円としか数えられません。足りない50万円は、現金か別の証券で補います。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 15条2号
覚えるコマ
国債は額面の100%、地方債と政府保証債は90%、指定の社債券等は80%。
間違えやすいところ:株式は充てられない。有価証券なら何でもよいわけではない
営業保証金に充てる有価証券は、どう評価されるか? 国債は額面の100%、地方債と政府保証債は90%、指定の社債券等は80%。
同じ額面でも、証券の種類で数えられる額が変わります。国債が一番有利です。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 15条1号、宅地建物取引業法施行規則 15条3号
上場株式でも充てられる、は誤りです。充てられる有価証券は限られています。
根拠: 宅地建物取引業法 25条3項
届出と事業の開始約2分
この節でよく出るのは
- ★ 2回支店の分の500万円を供託した大野社長が「これで明日から支店…
- ★ 2回供託したら、供託書の写しを添えて、免許権者に届け出ます。供託…
- ★ 2回免許を受けてから3か月以内に届出がなければ、免許権者は催告(…
支店の分の500万円を供託した大野社長が「これで明日から支店を開けられる」と言いました。木村さんは「供託書の写しをつけて、免許権者に届け出てからだよ」と止めました。届け出る前に事業を始めてはいけない決まりだからです。
根拠: 宅地建物取引業法 26条1項、宅地建物取引業法 26条2項、宅地建物取引業法 25条5項
供託したら、供託書の写しを添えて、免許権者に届け出ます。供託書の写しとは、供託したことを証する書面です。この届出の後でなければ、事業を始められません。事務所を増やしたときも同じで、増やした分を供託して届け出てからでなければ、その事務所で事業を始められません。
根拠: 宅地建物取引業法 25条4項、宅地建物取引業法 25条5項、宅地建物取引業法 26条2項
時系列届出がないときの流れ
供託して届け出る前に、事業を始めてはいけない。
根拠: 宅地建物取引業法 25条5項、宅地建物取引業法 25条6項、宅地建物取引業法 25条7項
みなと不動産は免許を取りましたが、供託の届出をしないまま3か月が過ぎました。免許権者はみなと不動産に催告します。それでも1か月以内に届け出なければ、免許を取り消されることがあります。
根拠: 宅地建物取引業法 25条6項、宅地建物取引業法 25条7項
覚えるコマ
供託して届出をした後でなければ、事業を開始できない。
間違えやすいところ:供託しただけでは足りない。新設した事務所の分も、届出後でなければ事業を開始できない
供託した後、事業はいつから始められるか? 供託して届出をした後でなければ、事業を開始できない。
3か月で催告する(義務)。催告の到達から1か月で取消せる(裁量)。
間違えやすいところ:催告は義務、取消しは裁量。逆に覚えると間違える
供託の届出がないとき、免許権者はどうするか? 3か月で催告する(義務)。催告の到達から1か月で取消せる(裁量)。
まず供託し、次に届け出て、その後に事業を始めます。この順番は決まっています。
根拠: 宅地建物取引業法 25条5項
だれが弁済を受けられるか約2分
弁済を受けられるのは、宅建業に関する取引で生じた債権に限られます。
根拠: 宅地建物取引業法 27条1項
みなと不動産と取引した田中さんは、まだ宅建業者ではありません。田中さんはみなと不動産の営業保証金から弁済を受けられます。もし相手が別の業者である北町ホームの小林さんだったら、小林さんはこの弁済を受けられません。
根拠: 宅地建物取引業法 27条1項
覚えるコマ
業者と取引をした者は受けられる。相手が宅建業者なら受けられない。
間違えやすいところ:取引の相手が宅建業者でも弁済を受けられると間違える
営業保証金から弁済を受けられるのは、だれか? 業者と取引をした者は受けられる。相手が宅建業者なら受けられない。
保護されるのは、宅建業者でない取引の相手だけです。宅建業者は、この保護から除かれています。
根拠: 宅地建物取引業法 27条1項
不足額の供託約1分
還付で営業保証金が減ったときは、宅建業者は不足する額を供託しなければなりません。
根拠: 宅地建物取引業法 28条1項
その日は、免許権者から不足額の通知書が届いた日です。
根拠: 宅地建物取引業者営業保証金規則 5条
期限は、定められた日から2週間以内です。届出も2週間以内にします。
根拠: 宅地建物取引業法 28条1項、宅地建物取引業法 28条2項
不足額の供託にも、国債証券などの有価証券を充てられます。
根拠: 宅地建物取引業法 28条3項、宅地建物取引業法 25条3項
みなと不動産の営業保証金から、田中さんへ200万円が還付されました。みなと不動産の営業保証金は、定められた額を200万円下回りました。みなと不動産は、定められた日から2週間以内に200万円を供託し、供託したあと2週間以内に届け出ます。
根拠: 宅地建物取引業法 28条1項
覚えるコマ
定められた日から2週間以内に不足額を供託し、2週間以内に届け出る。
間違えやすいところ:供託の期限と届出の期限は、どちらも2週間以内
還付で供託金が減ったとき、業者は何をしなければならないか? 定められた日から2週間以内に不足額を供託し、2週間以内に届け出る。
還付で減った分は、定められた額に戻さなければなりません。
根拠: 宅地建物取引業法 28条1項
還付で減った分は、そのままでよい、は誤りです。不足額を供託する義務があります。
根拠: 宅地建物取引業法 28条1項
主たる事務所を移転したとき約1分
この節でよく出るのは
- ★ 2回主たる事務所を移し、最寄りの供託所が変わったときは、営業保証…
- ★ 2回有価証券を含むときは、移転後の供託所へ新たに供託します。いず…
- ★ 2回有価証券を含んでいても、いつも保管替えでよい、は誤りです。証…
現金だけで供託しているときは、費用を予納して、供託所に保管替えを請求します。
根拠: 宅地建物取引業法 29条1項
有価証券を含むときは、移転後の供託所へ新たに供託します。いずれの場合も、遅滞なく行います。
根拠: 宅地建物取引業法 29条1項
みなと不動産は、主たる事務所を移しました。供託所が変わります。みなと不動産は現金だけで供託していたので、移転後の供託所への保管替えを請求します。費用はあらかじめ納めます。
根拠: 宅地建物取引業法 29条1項
覚えるコマ
金銭のみなら保管替えを請求する。有価証券を含むなら新たに供託する。
間違えやすいところ:有価証券を含むときも保管替えができると間違える
主たる事務所を移転して、最寄りの供託所が変わったら? 金銭のみなら保管替えを請求する。有価証券を含むなら新たに供託する。
現金だけなら保管替え、有価証券があるなら新たな供託で、手続きが分かれます。
根拠: 宅地建物取引業法 29条1項
有価証券を含んでいても、いつも保管替えでよい、は誤りです。証券があるときは新たに供託します。
根拠: 宅地建物取引業法 29条1項
営業保証金を取り戻すとき約1分
取り戻すには、権利を持つ人に申し出るよう求める公告をします。公告の期間は6か月を下りません。
根拠: 宅地建物取引業法 30条2項
移転で、移転前の供託所に残った分は、公告なしで取り戻せます。
根拠: 宅地建物取引業法 30条2項
判定の流れ取り戻すときに公告が要るか
公告は、権利を持つ人に申し出るよう求めるもの。
根拠: 宅地建物取引業法 30条2項
みなと不動産は廃業し、営業保証金を取り戻そうとしています。みなと不動産は公告を出し、6か月を下らない期間、申出を待ちます。その間に申出がなければ、取り戻せます。
根拠: 宅地建物取引業法 30条2項
覚えるコマ
取り戻すには、6か月を下らない公告が必要。10年経過なら不要。
間違えやすいところ:移転で移転前の供託所に残った分は、公告なしで取り戻せる
営業保証金を取り戻すとき、公告は要るか? 取り戻すには、6か月を下らない公告が必要。10年経過なら不要。
供託所等の説明約1分
この節でよく出るのは
- ★ 3回みなと不動産は協会に入っていません。田中さんと売買契約を結ぶ…
佐藤さんが、お客さまから「みなと不動産が預けているお金は、どこにあるのですか」と聞かれ、答えられませんでした。木村さんは「協会に入っていない宅建業者は、契約が成立するまでに、供託所とその所在地を説明する決まりなんだ」と教えました。
根拠: 宅地建物取引業法 35条の2第1号、宅地建物取引業法 35条の2
| 項目 | 説明する内容 |
|---|---|
| 時期 | 契約が成立するまでの間。契約の後ではない。 |
| 協会に入っていない宅建業者 | 営業保証金を供託した供託所とその所在地を説明する。 |
| 協会の社員である宅建業者 | 弁済業務開始日以後、社員である旨と協会の名称・住所・事務所の所在地を説明する。あわせて、弁済業務保証金(協会が供託する保証金)の供託所とその所在地も説明する。 |
| 相手 | 宅地建物取引業者を除く。 |
根拠: 宅地建物取引業法 35条の2、宅地建物取引業法 35条の2第1号、宅地建物取引業法 35条の2第2号
みなと不動産は協会に入っていません。田中さんと売買契約を結ぶ前に、営業保証金を供託した主たる事務所の最寄りの供託所とその所在地を田中さんに説明します。
根拠: 宅地建物取引業法 35条の2第1号
説明の時期は契約成立までです。契約後ではありません。
根拠: 宅地建物取引業法 35条の2
供託所等の説明は契約の後にすればよい、は誤りです。契約が成立するまでの間です。
根拠: 宅地建物取引業法 35条の2
本試験では「宅建業者Aは、相手方の宅建業者Bに、契約の成立前に供託所の説明をしなければならない」のように出ます。相手が宅建業者なら不要なので、誤りです。
根拠: 宅地建物取引業法 35条の2