保証協会(弁済業務保証金)
この単元で分かること
- 保証協会が必ず行う業務と、任意で行う業務を見分けられるようにします。
- 分担金の額と、弁済業務保証金を供託する流れを学びます。
- 社員の地位を失うのはどんなときか、そのあとの供託とあわせて学びます。
この単元のはじまりの場面
保証協会とは何か約1分
宅地建物取引業保証協会(保証協会)は、宅建業者がつくる団体です。国から指定を受けて、宅地建物取引業者(宅建業者)の取引で生じた損害の弁済などを担います。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の3第1項
協会に入った宅建業者は、協会が供託所に預けるお金のおかげで、自分の営業保証金を預けずに済みます。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の13
宅建業者は、1つの協会の社員になると、他の協会の社員にはなれません。加入や脱退は、直ちに免許権者へ報告されます。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の4第1項、宅地建物取引業法 64条の4第2項
左右の比較営業保証金と弁済業務保証金
協会の社員は、弁済業務開始日以後、営業保証金を供託しなくてよい。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の13、宅地建物取引業法 64条の7第1項、宅地建物取引業法施行令 7条
覚えるコマ
分担金は社員が協会に納付する。営業保証金は業者が供託所に供託する。
間違えやすいところ:どちらも「預けるお金」だが、預ける人と預け先が違う。額も違う(分担金は60万円・30万円)
弁済業務保証金分担金と営業保証金は、どこが違うか? 分担金は社員が協会に納付する。営業保証金は業者が供託所に供託する。
協会の業務約1分
この節でよく出るのは
- ★ 2回これに加えて、行える業務もあります。一般保証業務と手付金等保…
協会が必ず行う業務は、苦情の解決、研修、弁済業務の3つです。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の3第1項
これに加えて、行える業務もあります。一般保証業務と手付金等保管事業などで、必ず行うものではありません。手付金等保管事業は、工事が完了した後の物件の売買が対象で、工事完了前の売買は対象になりません。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の3第2項、宅地建物取引業法 64条の3第2項2号、宅地建物取引業法 41条の2第1項
苦情の解決では、社員に苦情の内容を通知し、迅速な処理を求めます。研修は、取引士のほか、業務に従事する人や従事しようとする人を対象にします。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の5第1項、宅地建物取引業法 64条の6
協会は、業務の一部を、国土交通大臣の承認を受けて他の者に委託できます。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の3第4項
田中さんが、みなと不動産の取引に苦情を申し出ました。協会は相談に応じ、事実を調べ、みなと不動産に苦情の内容を通知して、早く処理するよう求めます。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の5第1項
覚えるコマ
苦情の解決・研修・弁済業務はしなければならない。他は行うことができる。
間違えやすいところ:一般保証業務や手付金等保管事業も必ず行う業務だと間違える
協会がしなければならない業務と、行うことができる業務は? 苦情の解決・研修・弁済業務はしなければならない。他は行うことができる。
分担金はいつ、いくら納めるか約1分
協会に入ったあと、大野社長はもう1つ事務所を出しました。分担金を忘れていた社長に、木村さんは「新しい事務所は、その日から2週間以内に30万円を納めるんだ」と伝えました。期間内に納めないと協会の社員の地位を失い、営業保証金を自分で供託することになるからです。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の9第2項、宅地建物取引業法 64条の9第3項、宅地建物取引業法施行令 7条
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 納める相手 | 協会に入る宅建業者は、協会に弁済業務保証金分担金(協会の社員が負担するお金)を納める。これが協会の弁済の原資になる。 |
| 額 | 主たる事務所は60万円。その他の事務所は1つにつき30万円。 |
| 加入するときの期限 | 加入しようとする日までに納める。 |
| 事務所を新しく出したとき | その日から2週間以内に納める。 |
| 期限に遅れると | 社員の地位を失う。 |
根拠: 宅地建物取引業法 64条の9第1項、宅地建物取引業法施行令 7条、宅地建物取引業法 64条の9第2項、宅地建物取引業法 64条の9第3項
時系列分担金を納める時期
主たる事務所60万円、その他の事務所は1つにつき30万円。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の9第1項、宅地建物取引業法 64条の9第2項、宅地建物取引業法 64条の9第3項、宅地建物取引業法施行令 7条
覚えるコマ
主たる事務所は60万円、その他の事務所は事務所ごとに30万円。
間違えやすいところ:営業保証金の1000万円・500万円と取り違える。分担金は金銭で納付し、有価証券では納付できない
弁済業務保証金分担金は、いくら、いつまでに納めるのか? 主たる事務所は60万円、その他の事務所は事務所ごとに30万円。
弁済業務保証金の供託約1分
この節でよく出るのは
- ★ 2回協会は、分担金を受け取った日から1週間以内に、同じ額の弁済業…
- ★ 2回還付充当金の納付(協会に納めること)がないときに備えて、協会…
供託先は、法務大臣と国土交通大臣が定める供託所です。国債証券などでも供託できます。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の7第2項、宅地建物取引業法 64条の7第3項
還付があったときは、定められた日から2週間以内に、同じ額を供託し直します。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の8第3項
還付充当金の納付(協会に納めること)がないときに備えて、協会は準備金を積み立てます。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の12第1項
人物関係図お金の流れ
協会は、分担金を受け取った日から1週間以内に供託する。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の7第1項、宅地建物取引業法 64条の8第1項、宅地建物取引業法 64条の9第1項
田中さんへの弁済で、弁済業務保証金が200万円還付されました。協会は、田中さんの取引相手だったみなと不動産に、200万円の還付充当金を納めるよう通知します。みなと不動産が納めれば、協会は供託を元に戻せます。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の10第1項、宅地建物取引業法 64条の10第2項
覚えるコマ
供託は納付から1週間以内。還付後の再供託は2週間以内。
間違えやすいところ:還付後の再供託の2週間を、最初の供託の1週間と取り違える
協会は、いつまでに弁済業務保証金を供託するのか? 供託は納付から1週間以内。還付後の再供託は2週間以内。
協会は預かるだけではありません。還付があれば、社員から補充して、供託を元に戻します。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の8第3項
協会が供託したお金が減っても、そのままでよい、は誤りです。2週間以内に供託し直します。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の8第3項
だれが、いくらまで弁済を受けられるか約2分
この節でよく出るのは
- ★ 3回弁済を受けようとするときは、その額について協会の認証を受けま…
- ★ 2回社員になる前の取引で生じた債権も対象です。相手が宅建業者のと…
佐藤さんが「協会に入っている会社が倒産したら、お客さまにはいくらまで戻るのですか」と聞きました。木村さんは「その会社が協会に入っていないとしたら、供託すべき営業保証金の額までなんだ」と答えました。協会全体のお金が使えるわけではありません。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の8第1項
協会の社員と取引した人は、その取引で生じた債権の弁済を受けられます。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の8第1項
社員になる前の取引で生じた債権も対象です。相手が宅建業者のときは除かれます。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の8第1項
弁済を受けようとするときは、その額について協会の認証を受けます。認証を受けたら供託所に通知書を出して還付を受け、協会は認証の申出を受け付けた順に処理します。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の8第2項
田中さんは、みなと不動産と取引しました。みなと不動産が倒産しました。田中さんは、協会の弁済業務保証金から弁済を受けられます。金額は、みなと不動産が社員でないとしたら供託すべき額までです。実行には協会の認証が要ります。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の8第1項、宅地建物取引業法 64条の8第2項、宅地建物取引業法施行規則 26条の7第1項、宅地建物取引業保証協会弁済業務保証金規則 2条1項
覚えるコマ
限度は、その社員の営業保証金相当額。実行には協会の認証が要る。
間違えやすいところ:限度が協会全体の供託額だと間違える。限度は、その社員の営業保証金に相当する額
弁済業務保証金から弁済を受けられる限度は? 限度は、その社員の営業保証金相当額。実行には協会の認証が要る。
社員の地位を失うとき・取り戻しと公告約1分
この節でよく出るのは
- ★ 2回みなと不動産が還付充当金を2週間以内に納めず、地位を失いまし…
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 地位を失うとき | 分担金や還付充当金を、期間内に納めないとき。 |
| 特別な分担金 | 協会が供託を補充するために社員へ求める。通知から1か月以内に納め、納めないと地位を失う。 |
| 取り戻しと返還 | 社員が地位を失うと、協会はその分の弁済業務保証金を取り戻せる。取り戻したら、同じ額の分担金を返す。 |
| 公告 | 地位を失ったときは、協会は6か月を下らない期間で公告する。期間内に申出のなかった債権は、認証を受けられない。 |
根拠: 宅地建物取引業法 64条の9第3項、宅地建物取引業法 64条の10第3項、宅地建物取引業法 64条の12第4項、宅地建物取引業法 64条の11第1項、宅地建物取引業法 64条の11第2項、宅地建物取引業法 64条の11第4項、宅地建物取引業法 64条の11第5項
みなと不動産が還付充当金を2週間以内に納めず、地位を失いました。協会は、みなと不動産の分の弁済業務保証金を取り戻します。分担金が返ってくるのは、みなと不動産と取引した人への公告の期間が過ぎてからです。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の10第3項、宅地建物取引業法 64条の11第4項
覚えるコマ
納付しないと社員の地位を失う。免許の取消しではない。
間違えやすいところ:地位を失うことを、免許の取消しと取り違える(運用)
納付をしないと、社員はどうなるか? 納付しないと社員の地位を失う。免許の取消しではない。
地位を失えば、すぐに分担金が返ってくる、は誤りです。公告の期間が過ぎてから返します。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の11第3項
営業保証金の免除と、地位喪失後の供託約1分
供託が要らなくなった宅建業者は、預けていた営業保証金を取り戻せます。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の14第1項
時系列社員の地位を失ったあとの供託
協会に入っている間は免除。抜けたら自分で供託する。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の15、宅地建物取引業法 64条の13
みなと不動産は協会の社員でしたが、地位を失いました。みなと不動産は、地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託し、その旨を免許権者に届け出ます。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の15
覚えるコマ
社員は営業保証金が不要。地位を失ったら、1週間以内に供託する。
間違えやすいところ:協会の指定取消し・解散のときは、公示の日から2週間以内に供託する
社員が地位を失ったら、営業保証金はどうなるか? 社員は営業保証金が不要。地位を失ったら、1週間以内に供託する。
協会が指定を取り消され、解散したとき約1分
協会が指定を取り消されたり、解散したりすると、社員だった宅建業者は、公示の日から2週間以内に営業保証金を供託します。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の23
旧協会は、公示の日から1週間以内に、公告を出します。公告の期間は6か月を下りません。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の24第1項
公告に定めた期間内に申出があった債権は、旧協会が引き続き認証の事務を担います。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の24第1項
みなと不動産が入っていた協会が解散しました。社員だったみなと不動産は、公示の日から2週間以内に営業保証金を供託します。旧協会は、公示の日から1週間以内に公告を出し、顧客の申出を待ちます。
根拠: 宅地建物取引業法 64条の23、宅地建物取引業法 64条の24第1項
覚えるコマ
業者は公示から2週間以内に供託する。旧協会は1週間以内に公告する。
間違えやすいところ:地位を失ったときの供託は1週間以内。指定取消しのときは2週間以内
協会の指定が取り消されたとき、業者と旧協会は何をするか? 業者は公示から2週間以内に供託する。旧協会は1週間以内に公告する。