クーリング・オフ
この単元で分かること
- クーリング・オフが使える契約と場所が言える。
- 8日の期間と、撤回できなくなる要件が分かる。
- 撤回の方法と、不利な特約の扱いを説明できる。
この単元のはじまりの場面
秋、みなと不動産は、新築の建売住宅を、自分が売主になって売り出しました。田中さんの知人が、駅前の喫茶店で購入を申し込み、契約もそこで結びました。数日後、知人は「よく考えたら、やっぱりやめたい」と言い出しました。木村健一さんは「喫茶店は事務所等ではないから、書面で撤回できる」と答えました。期限は、告知を受けた日から起算して8日を経過するまでです。
クーリング・オフとは約1分
撤回すると、損害賠償や違約金は請求されません。預けた手付金などは返してもらえます。
根拠: 宅地建物取引業法 37条の2第1項
業者A社の営業マンが、Bさんの自宅を訪ねました。Bさんは自宅でマンションの購入を申し込み、契約も自宅で結びました。Bさんは、決められた期間内なら書面で撤回できます。
根拠: 宅地建物取引業法 37条の2第1項
どんな契約に使えるか約1分
田中さん夫婦は、山本さんの家の売買契約を結んだあと、「うちも、クーリング・オフできますか」と聞きました。この件で、みなと不動産は媒介をしただけで、売主ではありません。木村さんは「クーリング・オフは、業者が自ら売主のときだけだよ。山本さんの家では使えない」と答えました。
根拠: 宅地建物取引業法 37条の2第1項
買主が宅建業者であるときは、適用されません。宅地建物取引業者(宅建業者)どうしの取引には、この制度は適用されない決まりだからです。
根拠: 宅地建物取引業法 78条2項
左右の比較クーリング・オフが使える売買と使えない売買
使えるのは、宅建業者が自ら売主で、買主が業者でないとき。媒介では使えない。
根拠: 宅地建物取引業法 37条の2第1項、宅地建物取引業法 78条2項
売主Cさんが、業者A社に仲介を頼んで土地を売りました。この取引は、A社が自ら売主ではないので、買主Bさんはクーリング・オフを使えません。A社が自らCさんから買ってBさんに売ったなら、Bさんは使えます。
根拠: 宅地建物取引業法 37条の2第1項
覚えるコマ
業者が自ら売主の売買契約に限る。業者間は対象外。
間違えやすいところ:媒介・賃貸借・交換にも使える、と取り違える
クーリング・オフが使えるのは、どんな契約か? 業者が自ら売主の売買契約に限る。業者間は対象外。
事務所等とは約2分
同業の小林浩二さんが「お客さんの自宅で申込みをもらったから、もう撤回はされないよ」と言いました。木村さんは「自宅は、お客さんが『そこで説明を受けたい』と申し出たときだけ事務所等になる」と指摘しました。申出がなければ、自宅は事務所等ではなく、買主は撤回できます。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の5第1号
業者A社は、Bさんの自宅で説明し、Bさんがそこで説明を受けると申し出ました。この自宅は事務所等になります。A社がそこで申込みを受け、契約もそこでしたなら、Bさんは撤回できません。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の5第2号
覚えるコマ
自宅・勤務先は、相手方が申し出たときだけ事務所等に当たる。
間違えやすいところ:喫茶店・ホテルのロビーも事務所等に当たる、と取り違える
買主の自宅や勤務先は、事務所等に当たるか? 自宅・勤務先は、相手方が申し出たときだけ事務所等に当たる。
申込みと契約の場所で撤回できるか約1分
この節でよく出るのは
- ★ 4回事務所等で申込み、事務所等で契約した買主は、撤回できません。
- ★ 4回事務所等で申込み、事務所等以外で契約した買主も、撤回できませ…
- ★ 3回事務所等以外で申込み、またはそこで契約した買主は、撤回できま…
判定の流れ買主は撤回できるか
告知を書面で受けていなければ、8日は数え始めない。
根拠: 宅地建物取引業法 37条の2第1項
業者A社は、事務所でBさんから申込みを受けましたが、契約はBさんの自宅で結びました。この場合、Bさんは撤回できません。事務所等で申し込んだ買主は除かれるからです。
根拠: 宅地建物取引業法 37条の2第1項
覚えるコマ
申込みが事務所等なら撤回できず、事務所等以外ならできる。
間違えやすいところ:契約をした場所だけで決まる、と取り違える
申込みと契約の場所で、撤回できるのは、どんなときか? 申込みが事務所等なら撤回できず、事務所等以外ならできる。
8日の期間と起算日約1分
撤回できるのは、告知を受けた日から起算して8日を経過するまでです。
根拠: 宅地建物取引業法 37条の2第1項1号
告げられた日を1日目として数えます。初日から数えるのがポイントです。
根拠: 宅地建物取引業法 37条の2第1項1号
告知がなければ8日は経過せず、撤回できます。
根拠: 宅地建物取引業法 37条の2第1項1号
時系列告知から8日の数え方
告知を受けた日を1日目として数える。初日から数えるのがポイント。
根拠: 宅地建物取引業法 37条の2第1項
引渡しを受け、かつ代金の全部を支払うと、撤回できなくなります。片方だけでは、まだ撤回できます。
根拠: 宅地建物取引業法 37条の2第1項2号
業者A社は、3月1日にBさんへ告知の書面を渡しました。8日目の3月8日まで、Bさんは撤回できます。3月9日になると、撤回できません。
根拠: 宅地建物取引業法 37条の2第1項1号
覚えるコマ
告げられた日から8日以内。引渡しと代金全額の支払でも終わる。
間違えやすいところ:引渡しだけ、代金の支払だけでも撤回できなくなる、と取り違える
クーリング・オフができる期間は、いつまでか? 告げられた日から8日以内。引渡しと代金全額の支払でも終わる。
8日の起算は告知の日からです。引渡しと全額支払の両方がそろうと、撤回できなくなります。
根拠: 宅地建物取引業法 37条の2第1項1号、宅地建物取引業法 37条の2第1項2号
引渡しを受けたら、代金を払っていなくても撤回できない、は誤りです。両方がそろって初めて撤回できなくなります。
根拠: 宅地建物取引業法 37条の2第1項2号
告知の書面に記載する事項約1分
この節でよく出るのは
- ★ 5回損害賠償や違約金を請求しない旨、撤回は書面を発した時に効力を…
- ★ 2回買主の氏名と住所、売主である宅建業者の商号と住所、免許証番号…
クーリング・オフの告知は、決められた事項を書いた書面を渡して行います。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の6
買主の氏名と住所、売主である宅建業者の商号と住所、免許証番号を記載します。売主のために媒介した業者の商号や免許証番号は、記載事項ではありません。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の6第1号、宅地建物取引業法施行規則 16条の6第2号
8日の間は、引渡しと全額支払の場合を除いて書面で撤回できる旨を記載します。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の6第3号
損害賠償や違約金を請求しない旨、撤回は書面を発した時に効力を生ずる旨、手付金などを遅滞なく全額返す旨も記載します。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の6第4号、宅地建物取引業法施行規則 16条の6第5号、宅地建物取引業法施行規則 16条の6第6号
業者A社は、Bさんに告知の書面を渡しました。書面には、Bさんの氏名と住所、A社の商号と免許証番号、8日の間に撤回できる旨が書かれています。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の6第1号、宅地建物取引業法施行規則 16条の6第2号、宅地建物取引業法施行規則 16条の6第3号
覚えるコマ
告知は書面で行い、効力発生の時と手付金の返還も記載する。
間違えやすいところ:口頭で告げれば足りる、と取り違える
撤回できる旨は、どのように告げ、何を記載するか? 告知は書面で行い、効力発生の時と手付金の返還も記載する。
告知は口頭では足りません。書面を渡して行います。電子メールなどの電磁的方法では、告知できません。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の6
告知は口頭でもよい、は誤りです。書面を交付して行います。
根拠: 宅地建物取引業法施行規則 16条の6
撤回の仕方と効果・特約の効力約1分
この節でよく出るのは
- ★ 5回書面が到達した時に効力を生ずるとする特約も無効です。期間を8…
- ★ 4回撤回は、買主が書面を発した時に効力を生じます。書面が売主に届…
- ★ 3回買主に不利な特約は無効、有利な特約は有効です。期間を延ばす特…
撤回は書面で行います。電話や口頭、電子メールでは、効力を生じません。
根拠: 宅地建物取引業法 37条の2第1項
撤回は、買主が書面を発した時に効力を生じます。書面が売主に届いた時ではありません。
根拠: 宅地建物取引業法 37条の2第2項
撤回されると、宅建業者は、受け取った手付金などを速やかに全額返します。
根拠: 宅地建物取引業法 37条の2第3項
撤回できる期間を8日より短くする特約や、撤回に売主の承諾を要する特約は、無効です。
根拠: 宅地建物取引業法 37条の2第4項
書面が到達した時に効力を生ずるとする特約も無効です。期間を8日より長くする特約は、買主に有利なので有効です。
根拠: 宅地建物取引業法 37条の2第4項、宅地建物取引業法 37条の2第2項
業者A社は、Bさんとの契約に、撤回にはA社の承諾が要る、という特約を入れました。この特約は無効です。Bさんは、承諾がなくても撤回できます。
根拠: 宅地建物取引業法 37条の2第4項
覚えるコマ
書面を発した時に効力が生じる。到達を待たない。
間違えやすいところ:書面が売主に到達した時に効力が生じる、と取り違える
撤回の効力は、いつ生じるか? 書面を発した時に効力が生じる。到達を待たない。
買主に不利な特約は無効。期間を8日より長くするのは有効。
間違えやすいところ:期間を8日より短くする特約も有効、と取り違える
クーリング・オフの特約は、どこまで有効か? 買主に不利な特約は無効。期間を8日より長くするのは有効。
手付金を全額返還する。損害賠償や違約金は請求できない。
間違えやすいところ:撤回に伴う違約金を、手付金から差し引ける、と取り違える
撤回されたとき、売主は何をし、何を請求できないか? 手付金を全額返還する。損害賠償や違約金は請求できない。
買主に不利な特約は無効、有利な特約は有効です。期間を延ばす特約は有効です。
根拠: 宅地建物取引業法 37条の2第4項
撤回の書面が売主に届いた時に効力を生ずる、は誤りです。買主が発した時に効力を生じます。
根拠: 宅地建物取引業法 37条の2第2項
損害賠償額の予定等の制限約1分
損害賠償の予定と違約金を合算して、代金の2割を超える定めはできません。
根拠: 宅地建物取引業法 38条1項
2割を超える部分についての特約は、無効です。2割までの部分は有効です。
根拠: 宅地建物取引業法 38条2項
数字の比べ違約金の定めと、請求できる上限(代金を10割として)
3割と定めても、有効なのは2割まで。
根拠: 宅地建物取引業法 38条1項、宅地建物取引業法 38条2項
業者A社は、Bさんとの売買契約で、違約金を代金の3割とする定めを置きました。2割を超える部分は無効です。A社が請求できるのは2割までです。
根拠: 宅地建物取引業法 38条1項、宅地建物取引業法 38条2項
合算して2割です。損害賠償と違約金を別々に2割ずつ取ることはできません。
根拠: 宅地建物取引業法 38条1項
損害賠償と違約金は、それぞれ2割まで取れる、は誤りです。合算して2割までです。
根拠: 宅地建物取引業法 38条1項
本試験では「宅建業者Aが自ら売主となり、喫茶店で買主Bが申込みと契約をした」のように出ます。Bが業者でなければ、書面で撤回できます。
根拠: 宅地建物取引業法 38条1項、宅地建物取引業法 38条2項