手付金等の保全措置・損害賠償額の予定・担保責任の特約制限
この単元で分かること
この単元のはじまりの場面
自ら売主の売買にだけかかる規制約1分
相手が宅建業者であるときは、これらのルールは適用されません。
根拠: 宅地建物取引業法 78条2項
損害賠償額の予定等の制限約1分
| 決まり | 内容 |
|---|---|
| 上限 | 損害賠償と違約金を合算して、代金の2割まで。 |
| 2割を超える定め | 超える部分の特約は無効。2割までの部分は有効。 |
| 対象 | 当事者双方の不履行。買主の不履行に限らない。 |
| 違約金 | 損害賠償額の予定と推定される。 |
| 予定・違約金がないとき | 実際に生じた損害を請求できる。 |
根拠: 宅地建物取引業法 38条1項、宅地建物取引業法 38条2項、民法 420条3項
みなと不動産は、田中さんとの契約に、違約金を代金の2割5分とする定めを置きました。2割を超える部分は無効です。みなと不動産が請求できるのは2割までです。
根拠: 宅地建物取引業法 38条1項、宅地建物取引業法 38条2項
覚えるコマ
合算して代金の2割まで。超える部分だけが無効になる。
間違えやすいところ:手付の上限と混同する(どちらも2割だが別の規制)
損害賠償額の予定と違約金は、合わせて代金のどれだけまでか? 合算して代金の2割まで。超える部分だけが無効になる。
合算で2割です。損害賠償と違約金を別々に取ることはできません。
根拠: 宅地建物取引業法 38条1項
2割を超える定めは全部が無効、は誤りです。超える部分だけが無効です。
根拠: 宅地建物取引業法 38条2項
手付の額の制限約1分
買主が承諾しても、2割を超える手付は受け取れません。
根拠: 宅地建物取引業法 39条1項
みなと不動産は、代金3,000万円の土地を田中さんに売ります。みなと不動産が受け取れる手付は、600万円までです。田中さんが多く払うと申し出ても、受け取れません。
根拠: 宅地建物取引業法 39条1項
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手付は代金の2割まで。買主が承諾しても超えられない。
間違えやすいところ:損害賠償額の予定の上限(2割)と混同する
売主の業者が受け取れる手付は、代金のどれだけまでか? 手付は代金の2割まで。買主が承諾しても超えられない。
手付による解除約1分
この節でよく出るのは
- ★ 2回売主が解除するときは、手付の倍額を現実に提供します。払うと言…
- ★ 2回みなと不動産が自ら売主で、田中さんと契約しました。田中さんが…
みなと不動産が自ら売主で、田中さんと契約しました。田中さんが途中でやめたくなったときは、手付を捨てれば解除できます。みなと不動産から解除するときは、手付の倍額を田中さんに現実に提供します。
根拠: 宅地建物取引業法 39条2項
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買主は放棄、売主は倍額を提供して解除。相手方の着手前まで。
間違えやすいところ:自分の履行の着手後は解除できない、と取り違える(相手方の着手が基準)
手付による解除は、どうやって、いつまでにするか? 買主は放棄、売主は倍額を提供して解除。相手方の着手前まで。
判定の流れ手付による解除ができるか
買主は手付を捨て、売主は手付の倍額を現実に提供すれば解除できる。
根拠: 宅地建物取引業法 39条2項
契約不適合責任の特約の制限約3分
この節でよく出るのは
- ★ 4回引渡しの日から2年以上とする特約は、買主に有利なので有効です…
- ★ 4回みなと不動産は、田中さんとの売買契約に、引渡しの日から1年以…
- ★ 2回佐藤さんは、売買契約書の案に「契約不適合の通知は、引渡しの日…
佐藤さんは、売買契約書の案に「契約不適合の通知は、引渡しの日から1年以内」と書いて、木村さんに見せました。木村さんは「それは買主に不利だから、無効になる。引渡しの日から2年以上にしないといけない」と直しました。
根拠: 宅地建物取引業法 40条1項
引渡しの日から2年以上とする特約は、買主に有利なので有効です。
根拠: 宅地建物取引業法 40条1項
起算日は引渡しの日です。契約を結んだ日から2年ではありません。
根拠: 宅地建物取引業法 40条1項
民法の通知期間より買主に有利な特約は、有効です。不適合を知った時から2年とする特約も、有効です。
根拠: 宅地建物取引業法 40条1項
責任を負わないとする特約や、1年とする特約は、買主に不利なので無効です。
根拠: 宅地建物取引業法 40条1項
左右の比較契約不適合責任の特約、有効と無効
無効な特約の部分は、民法の定めに戻る。
根拠: 宅地建物取引業法 40条1項
反する特約は無効となり、その部分は民法の定めに戻ります。民法では、不適合を知った時から1年以内に通知する必要があります。
根拠: 宅地建物取引業法 40条2項、民法 566条
みなと不動産は、田中さんとの売買契約に、引渡しの日から1年以内に通知がなければ責任を負わない、という特約を入れました。この特約は無効です。みなと不動産は、引渡しの日から2年以上の特約にしなければなりません。
根拠: 宅地建物取引業法 40条1項
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引渡しの日から2年以上とする特約だけが有効。
間違えやすいところ:民法の通知期間(知った時から1年以内)と取り違える
契約不適合責任の通知期間の特約は、どこまで有効か? 引渡しの日から2年以上とする特約だけが有効。
2年以上なら有効、1年や責任なしは無効です。起算点は引渡しの日です。
根拠: 宅地建物取引業法 40条1項
契約の日から2年とする特約でよい、は誤りです。引渡しの日から2年です。
根拠: 宅地建物取引業法 40条1項
「現状有姿で売る」「一切責任を負わない」と契約書に書いても、責任を負わない旨の特約は無効です。
根拠: 宅地建物取引業法 40条1項
一方、売主が不具合を買主に説明し、その状態を前提に契約したのなら、その不具合は契約の内容になっています。契約不適合責任は、引き渡した物が契約の内容に適合しないときの責任です。説明して契約の内容にした事柄は、はじめから責任の対象に入りません。
根拠: 民法 562条1項
現状有姿で売るなら、責任を負わない特約も有効、は誤りです。責任の対象外になるのは、説明して契約の内容にした事柄だけです。
根拠: 宅地建物取引業法 40条1項、民法 562条1項
手付金等の保全措置(未完成物件)約2分
この節でよく出るのは
- ★ 2回保全措置が要らないのは、手付金等が代金の5%以下で、かつ1,…
- ★ 2回保全措置がなければ、買主は手付金等を支払わなくてよい。
手付金等とは、引渡し前に支払われる金銭です。代金に充当される中間金も含まれます。
根拠: 宅地建物取引業法 41条1項
保全措置が要らないのは、手付金等が代金の5%以下で、かつ1,000万円以下のときです。買主への所有権移転(所有者が変わること)の登記がされたときなども要りません。すでに受け取った分を加えて判断します。
根拠: 宅地建物取引業法 41条1項、宅地建物取引業法施行令 3条の5
保全の方法は、保証委託契約か、保証保険契約です。保証委託では、保証を約する書面を買主に交付します。
根拠: 宅地建物取引業法 41条1項1号
保証保険の保険期間は、契約が成立した時から引渡しまでです。
根拠: 宅地建物取引業法 41条3項2号
みなと不動産は、建築中の建物を田中さんに売ります。代金は3,000万円で、田中さんが支払う手付金は300万円です。5%の150万円を超えるので、みなと不動産は保全措置を講じてから受け取ります。
根拠: 宅地建物取引業法 41条1項
覚えるコマ
代金の5%以下かつ1,000万円以下なら、保全措置は不要。
間違えやすいところ:完成物件の限度(代金の10%以下)と取り違える
工事完了前の売買で、保全措置が要らないのは、どんなときか? 代金の5%以下かつ1,000万円以下なら、保全措置は不要。
保全措置がなければ、買主は手付金等を支払わないことができる。
間違えやすいところ:保全措置がなくても、買主は支払わなければならない、と取り違える
保全措置が講じられていないとき、買主はどうできるか? 保全措置がなければ、買主は手付金等を支払わないことができる。
未完成物件の線は、代金の5%以下かつ1,000万円以下です。金額の線と、保全の方法を覚えます。
根拠: 宅地建物取引業法 41条1項、宅地建物取引業法 41条1項2号
人物関係図手付金等の保全の方法
業者は、保証委託契約か保証保険契約で、返せなくなった手付金等の返還を担保する。
根拠: 宅地建物取引業法 41条1項1号、宅地建物取引業法 41条1項2号
手付金等の保全措置(完成物件)約1分
この節でよく出るのは
- ★ 2回完成した物件の売買でも、引渡し前の手付金等には保全措置が要り…
- ★ 2回保全措置がなければ、買主は手付金等を支払わなくてよい。
- ★ 2回完成物件の線は、代金の10%以下かつ1,000万円以下です。…
保全措置が要らないのは、手付金等が代金の10%以下で、かつ1,000万円以下のときです。
根拠: 宅地建物取引業法 41条の2第1項、宅地建物取引業法施行令 3条の5
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 保証委託契約 | 保証を約する書面を買主に交付する。 |
| 保証保険契約 | 保険期間は、契約が成立した時から引渡しまで。 |
| 手付金等寄託契約 | 手付金等を指定保管機関に寄託(物を預ける契約)する。 |
| 質権設定契約 | 質権(物を担保に差し出す権利)を設定し、買主の返還債権を担保する。存続期間は、設定から引渡しまで。 |
| 寄託と質権 | 両方を講じる必要がある。未完成物件には使えない。 |
根拠: 宅地建物取引業法 41条の2第1項1号、宅地建物取引業法 41条の2第1項2号、宅地建物取引業法 41条の2第3項、宅地建物取引業法 41条の2第1項
判定の流れ手付金等の保全措置が要るか
手付金等は、すでに受け取った分を加えて判断する。
根拠: 宅地建物取引業法 41条1項、宅地建物取引業法 41条の2第1項、宅地建物取引業法施行令 3条の5、宅地建物取引業法 78条2項
みなと不動産は、完成済みの中古マンションを田中さんに売ります。代金は2,000万円で、手付金は100万円です。10%の200万円以下なので、みなと不動産は保全措置なしで受け取れます。
根拠: 宅地建物取引業法 41条の2第1項
覚えるコマ
完成物件は代金の10%以下。寄託と質権の方法も使える。
間違えやすいところ:寄託・質権の方法を未完成物件にも使えると取り違える
完成物件の保全措置は、未完成物件と何が違うか? 完成物件は代金の10%以下。寄託と質権の方法も使える。
完成物件の線は、代金の10%以下かつ1,000万円以下です。未完成物件の5%より緩やかです。
根拠: 宅地建物取引業法 41条の2第1項
寄託と質権の方法は、未完成物件でも使える、は誤りです。完成物件だけの方法です。
根拠: 宅地建物取引業法 41条の2第1項
割賦販売の解除と所有権留保等の禁止約2分
この節でよく出るのは
- ★ 2回みなと不動産は、代金3,000万円の建物を割賦販売で売ります…
割賦販売とは、代金を引渡し後1年以上にわたり、2回以上に分けて受け取る販売です。
根拠: 宅地建物取引業法 35条2項
自ら売主で割賦販売をしたときは、引渡しまでに、登記など引渡し以外の売主の義務を果たします。
根拠: 宅地建物取引業法 43条1項
引渡しまでに代金の3割を超える支払を受けていなければ、3割を超える支払を受けるまでに果たせば足ります。
根拠: 宅地建物取引業法 43条1項
引渡しをし、かつ代金の3割を超える支払を受けた後は、担保の目的で物件を譲り受けてはいけません。
根拠: 宅地建物取引業法 43条2項
賦払金が払われないときは、30日以上の期間を定めて、書面で支払を催告します。
根拠: 宅地建物取引業法 42条1項
その期間内に払われないときでなければ、契約の解除や、残りの賦払金の請求はできません。
根拠: 宅地建物取引業法 42条1項
みなと不動産は、代金3,000万円の建物を割賦販売で売ります。引渡しまでに受け取ったのは600万円です。3割の900万円以下なので、みなと不動産は、900万円を超える支払を受けるまでに、登記などを済ませれば足ります。
根拠: 宅地建物取引業法 43条1項
覚えるコマ
買主が宅建業者なら、38条〜41条の制限は及ばない。
間違えやすいところ:業者間でも、手付の2割の制限がかかると取り違える
手付や損害賠償額の制限は、業者間の取引にも及ぶか? 買主が宅建業者なら、38条〜41条の制限は及ばない。
鍵は代金の3割です。3割を超える支払を受けた後は、担保目的の譲受けが禁止されます。
根拠: 宅地建物取引業法 43条1項、宅地建物取引業法 43条2項
3割を超える支払を受けた後なら、担保の目的で物件を譲り受けてよい、は誤りです。譲り受けてはいけません。
根拠: 宅地建物取引業法 43条2項
業者間の取引には適用しない約2分
北町ホームの小林浩二さんが、みなと不動産の売る建築中の建物を、業者として買うことになりました。小林さんは「手付金の保全措置なんて、要らないよね」と言いました。木村さんは「宅建業者どうしの取引には、この決まりは適用されないんだ」と答えました。
根拠: 宅地建物取引業法 78条2項
業者間では、この一連の保護ルールがまとめて外れます。宅建業者相互間の取引には適用しない、と定められているからです。
根拠: 宅地建物取引業法 78条2項
本試験では「宅建業者Aが、自ら売主として建築中の建物を、買主Bに売る」のように出ます。Bが宅建業者なら、保全措置は要りません。
根拠: 宅地建物取引業法 41条1項、宅地建物取引業法 78条2項