権利関係

時効・期間・条件(時間が権利を動かす)

権利関係読む目安 約16分図 6場面つき

この単元で分かること

  • 時効で権利を取得する場合と失う場合の違いを学びます。
  • 時効を使う手続き(援用)と、時計を止める方法を学びます。
  • 期間の数え方と、条件・期限の効果を学びます。

この単元のはじまりの場面

場面

石井正さんの空き地の端を、隣の家が庭の一部として20年以上使い続けています。石井さんは「うちの土地なのだから、返してもらえますよね」とみなと不動産に相談しました。木村健一さんは「長く使い続けた事実を尊重するのが、時効という仕組みなんだ。条件がそろうと、使っていた側のものになることもある」と説明しました。佐藤さくらさんは、その条件を順に確かめることにしました。

なぜ時効という仕組みがあるのか約1分

時効は、長い時間が過ぎると権利が動くという制度です。時間そのものが、権利を生み、また消します。

根拠: 民法 144条

なぜこんな仕組みがあるのでしょう。長く続いた事実は、そのまま認めたほうが世の中が安定します。

根拠: 民法 145条

また、権利を長く使わない人をいつまでも保護すると、相手の立場が不安定になります。証拠も消えてしまいます。

根拠: 民法 166条1項

事例

石井さんの土地を、隣の家の人が自分のものだと思って20年間使い続けました。時効が完成すると、隣の家の人はその土地の所有権を取得します。反対に、山本さんが小林さんにお金を貸して長く取り立てをしないと、山本さんの請求権は消えます。

根拠: 民法 162条1項、民法 166条1項1号

時効には2種類あります。長く占有すると所有者になれる「取得時効」と、使わない権利が消える「消滅時効」です。

根拠: 民法 162条1項、民法 166条1項

要点

時効は、権利を得る側にも失う側にも働きます。長く続いた事実を尊重する制度です。

根拠: 民法 145条

ひっかけ

時効が完成しただけで、自動的に権利が動くわけではありません。援用という手続きが要ります。

根拠: 民法 145条

左右の比較取得時効と消滅時効の違い

取得時効長く使うと得る消滅時効使わないと失う向き長く使った側が取得する長く使わなかった側が失う決め手占有を始めた時の善意無過失行使できると知った時からの期間年数10年または20年5年・10年など

どちらも、長く続いた事実を尊重する制度。

根拠: 民法 162条1項、民法 162条2項、民法 166条1項1号

取得時効(長く使えば自分のものになる)約2分

他人の物でも、所有の意思をもって、平穏に、公然と占有すれば、時効で取得できます。期間は20年です。

根拠: 民法 162条1項

占有を始めた時に善意で、過失がなければ、期間は10年で足ります。ここでの善意は、他人の物だと知らなかったことです。

根拠: 民法 162条2項

判定の流れ取得時効は10年か20年か

所有の意思をもって、平穏・公然に占有したか?はい占有を始めた時、善意で過失がなかったか?はい10年で所有権を取得できるいいえ20年で所有権を取得できるいいえ時効取得できない

善意無過失かどうかは、占有を始めた時だけで判断する。

根拠: 民法 162条1項、民法 162条2項、民法 186条1項

事例

隣の家の人が石井さんの土地を自分のものと信じて、落ち度なく使い始めました。10年で隣の家の人は所有権を取得します。他人の物と知っていても、20年使い続ければ取得できます。

根拠: 民法 162条1項、民法 162条2項

善意だったかどうかは、占有を始めた時で判断します。途中で他人の物と気づいても、10年で取得できると考えられています。

根拠: 民法 162条2項

賃借人のように、所有の意思がないとされる占有者は、そのままでは時効取得できません。

根拠: 民法 185条

その場合は、自分に占有させた者に所有の意思があることを表示するか、新しい権原で改めて占有を始める必要があります。

根拠: 民法 185条

事例

中村さんが石井さんから借りた土地に長く住んでいても、時効取得できません。中村さんが石井さんに「自分のものにする」と表示すれば、そこから時効が進みます。

根拠: 民法 185条

過去問に出た

占有を承継した人は、自分の占有だけを主張するか、前の人の占有を併せて主張するかを選べます。

根拠: 民法 187条1項

過去問に出た

前の人の占有を併せて主張すると、期間は長くなります。その代わり、前の人の悪意(そのことを知っていること)や過失も引き継ぎます。

根拠: 民法 187条2項

覚えるコマ

覚える取得時効は、10年と20年のどちらで完成するか?根拠 162条2項
20年で取得・悪意でも、有過失でもよい・所有の意思で平穏・公然に占有10年で取得・占有を始めた時に、善意かつ無過失・途中で悪意になっても10年(運用)起算点は占有開始の時。援用する人が起算点を自由に選ぶことはできない(判例)。

原則20年。占有を始めた時に善意無過失なら10年。

間違えやすいところ:途中で悪意になっても、10年の時効取得は完成する。見るのは占有を始めた時だけ

取得時効は、10年と20年のどちらで完成するか? 原則20年。占有を始めた時に善意無過失なら10年。

要点

10年と20年の分かれ目は、占有を始めた時の善意無過失です。起算点は占有の開始時で、援用する人が選べません。

根拠: 民法 162条2項、民法 144条、民法 162条1項

ひっかけ

途中で悪意になっても、10年の時効取得は完成します。見るのは占有開始の時だけです。

根拠: 民法 162条2項

他人の土地を賃借の意思で継続して用益し、その事実がはっきり表れているときは、土地の賃借権も時効で取得できます。

根拠: 判例 最判昭43.10.8

消滅時効(使わない権利は消える)約3分

場面

山本和子さんは、北町ホームの小林浩二さんに貸した100万円が、返済期日から4年11か月たっても戻らないことに気づきました。「もう5年近いですが、どうなるのでしょう」と山本さんは佐藤さくらさんに聞きました。木村健一さんは「債権は、行使できると知った時から5年で消えるんだ。権利を使わない人まで守り続けると、相手の立場が落ち着かないからね」と説明しました。

根拠: 民法 166条1項1号

債権は、権利を行使できると債権者が知った時から5年、行使しないと時効で消滅します。

根拠: 民法 166条1項1号

知らなかった場合でも、権利を行使できる時から10年で消滅します。こちらは客観的な期間です。

根拠: 民法 166条1項2号

この2つは、どちらか早く完成したほうで消えます。5年のほうが先に来ることが多いです。

根拠: 民法 166条1項

表
場面期間起算点
債権(主観的起算点)5年権利を行使できることを知った時
債権(客観的起算点)10年権利を行使できる時
生命・身体の侵害(債務不履行)20年権利を行使できる時
不法行為(通常)3年損害と加害者を知った時
不法行為(生命・身体の侵害)5年損害と加害者を知った時

根拠: 民法 166条1項1号、民法 166条1項2号、民法 167、民法 724条1号、民法 724条の2

数字の比べ消滅時効の期間くらべ

債権(主観)行使できると知った時から5年債権(客観)行使できる時から10年不法行為損害と加害者を知った時3年人身・不法行為損害と加害者を知った時5年人身・債務不履行行使できる時から20年

債権は5年と10年の早いほうで消える。人の生命・身体の侵害は長くなる。

根拠: 民法 166条1項1号、民法 166条1項2号、民法 167、民法 724条1号、民法 724条の2

事例

山本さんが小林さんに100万円を貸し、返済期日が過ぎました。山本さんが期日の到来を知ってから5年、小林さんが返さないままだと、山本さんの請求権は消滅します。

根拠: 民法 166条1項1号

人の生命や身体を傷つけた損害賠償の請求権は、長く守られます。債務不履行の場合、客観的な期間が10年ではなく20年になります。

根拠: 民法 167

不法行為の場合は、損害と加害者を知った時から3年です。人の生命や身体を害したときは、これが5年に延びます。

根拠: 民法 724条1号、民法 724条の2

どちらの不法行為でも、不法行為の時から20年たつと請求権は消滅します。

根拠: 民法 724条1項2号

事例

小林さんが田中さんの車に衝突し、田中さんがけがをしました。田中さんは小林さんを知ってから5年、賠償を請求できます。車が壊れただけなら3年です。

根拠: 民法 724条1項2号

裁判で確定した権利は、本来の時効期間が10年より短くても、時効期間は10年になります。

根拠: 民法 169条1項

過去問に出た

債権や所有権以外の財産権は、使わないまま20年たつと消滅します。所有権そのものは、使わなくても消滅時効にかかりません。

根拠: 民法 166条2項

覚えるコマ

覚える債権は、何年で消滅時効にかかるか?根拠 166条1項1号
5年間権利を行使できると知った時から10年間知らなくても、権利を行使できる時から20年間生命・身体の侵害(債務不履行)では、10年が20年になる生命・身体を害する不法行為は、知った時から5年。

知った時から5年、行使できる時から10年で消滅する。

間違えやすいところ:5年と10年の起算点を入れ替えると間違える。人の生命・身体の侵害は客観的起算点が20年

債権は、何年で消滅時効にかかるか? 知った時から5年、行使できる時から10年で消滅する。

要点

ただし、確定した時にまだ返済期日が来ていない債権には、この10年の扱いは使えません。

根拠: 民法 169条2項

ひっかけ

確定した権利はいつでも10年ではありません。確定の時に弁済期が来ていることが条件です。

根拠: 民法 169条1項、民法 169条2項

援用と、時効の利益の放棄約2分

時効は、当事者が援用しなければ、裁判所は時効によって裁判をできません。時効を自分のものにする手続きが援用です。

根拠: 民法 145条

過去問に出た

消滅時効では、援用できる人が広がります。保証人(代わりに払う人)や物上保証人(物を担保に差し出す人)、第三取得者などです。消滅について正当な利益がある人も援用できます。

根拠: 民法 145条

事例

山本さんの小林さんに対する債権を担保するため、石井さんの土地に抵当権が付いていました。石井さんがその土地を田中さんに売ると、田中さんは山本さんの債権の時効を援用できます。

根拠: 民法 145条

過去問に出た

反対に、後順位の抵当権者は、先順位の抵当権の被担保債権の時効を援用できません。

根拠: 民法 145条

時効の利益は、時効が完成する前にあらかじめ放棄できません。先に捨ててしまうと、時効を待つ意味がなくなるからです。

根拠: 民法 146条

過去問に出た

時効が完成した後に債務を承認すると、その時に完成を知らなくても、もう時効を援用できません。

根拠: 民法 145条

事例

小林さんは山本さんに貸金の一部を返すと約束して、債務を承認しました。この時すでに山本さんの債権の時効が完成していたとしても、小林さんはもう援用できません。

根拠: 民法 145条

覚えるコマ

覚える時効が完成すれば、権利は自動的に動くか?根拠 145条
時効の完成後、当事者が援用したか?はい時効によって裁判ができるいいえ裁判所は時効によって裁判できない完成する前に、時効の利益をあらかじめ放棄することはできない。

動かない。当事者が援用しなければ、裁判所は時効で裁判できない。

間違えやすいところ:完成しただけで足りると考えると間違える。援用という手続きが要る

時効が完成すれば、権利は自動的に動くか? 動かない。当事者が援用しなければ、裁判所は時効で裁判できない。

覚える消滅時効を援用できるのは、だれか?根拠 145条
援用できる・保証人・物上保証人・第三取得者など正当な利益を有する者援用できない・後順位抵当権者(先順位の被担保債権について)・時効完成後に債務を承認した者承認した者は、完成を知らなくても援用できない(判例)。

債務者のほか、保証人・物上保証人・第三取得者など正当な利益のある者。

間違えやすいところ:後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の時効を援用できない(判例)

消滅時効を援用できるのは、だれか? 債務者のほか、保証人・物上保証人・第三取得者など正当な利益のある者。

要点過去問に出た

時効の効力は、起算日にさかのぼります。援用した時から効力が出るのではありません。

根拠: 民法 144条

ひっかけ

時効完成後に「知らなかった」と言っても、援用はできません。承認をした以上、知っていたかどうかは問いません。

根拠: 民法 145条

判定の流れ時効を援用できる人

消滅についての正当な利益があるか?はい援用できる(保証人・物上保証人・第三取得者)いいえ援用できない(後順位抵当権者)

原則は当事者。消滅時効では、正当な利益がある人にも広がる。

根拠: 民法 145条

完成猶予と更新(時計を止める、新しく進める)約3分

場面

返済期日から4年11か月たった日、山本さんがまた事務所に来ました。「あと1か月で5年です。もう取り戻せないのですか」と聞きます。木村健一さんは「時効の時計は止められる。まず催告すれば、そこから6か月は完成しない。その間に裁判を起こして判決が確定すれば、確定した時から時計は新しく進み始めるんだ」と答えました。権利を使う行動に出た人は、眠っていたとは言えないからです。山本さんは、その日のうちに催告を出しました。

根拠: 民法 150条1項、民法 147条2項

権利を使う行動に出ると、時効は完成しにくくなります。時計が止まる「完成猶予」と、新しく進む「更新」の2つです。

根拠: 民法 147条1項、民法 152条1項

裁判上の請求や支払督促などは、その手続きが終わるまで時効を止めます。判決で権利が確定すれば、終了の時から時計が新しく進みます。

根拠: 民法 147条1項1号、民法 147条2項

確定に至らないまま終わったときは、終了の時から6か月を経過するまで時効は完成しません。

根拠: 民法 147条1項

催告は、その時から6か月間、時効の完成を止めます。止まっている間に重ねて催告しても、効果はありません。

根拠: 民法 150条1項、民法 150条2項

表
手続き効果数字
裁判上の請求確定すれば時効が新しく進行確定に至らないときは終了から6か月
仮差押え・仮処分完成猶予終了から6か月
催告完成猶予その時から6か月
協議をする旨の合意完成猶予合意から1年など
承認更新(新しく進行)承認の時から

根拠: 民法 147条2項、民法 149、民法 150条1項、民法 151条1項1号、民法 152条1項

協議をする旨の合意を書面ですると、合意から1年など、いずれか早い時まで時効が完成しません。電磁的記録でも書面と同じです。

根拠: 民法 151条1項、民法 151条1項1号、民法 151条4項

事例

山本さんは小林さんに返済を求め、催告しました。その時から6か月は時効が完成しません。山本さんがさらに訴えを起こして判決が確定すれば、確定の時から時計が新しく進みます。

根拠: 民法 150条1項、民法 147条2項

時系列催告から判決の確定まで

返済期日返済期日が過ぎる4年11か月山本さんが催告する5年本来は時効が完成する時催告の6か月後ここまでは完成しないその間に訴えを起こす判決の確定確定した時から新しく進む6か月

催告で止まるのは6か月だけ。その間に裁判を起こす。

根拠: 民法 150条1項、民法 147条1項1号、民法 147条2項、民法 166条1項1号

承認があると時効は更新され、その時から新しく進みます。承認には、行為能力の制限や権限は要りません。

根拠: 民法 152条1項、民法 152条2項

事例

被保佐人が、保佐人の同意を得ずに、山本さんへの借金を承認しました。この承認は有効で、時効はその時から新しく進みます。

根拠: 民法 152条1項、民法 152条2項

未成年者や成年被後見人に法定代理人がいないとき、夫婦間の権利、相続財産にも、完成猶予の決まりがあります。

根拠: 民法 158条1項、民法 159、民法 160

覚えるコマ

覚える完成猶予と更新は、何が違うか?根拠 147条2項
完成猶予(時計が止まる)・催告:その時から6か月・協議の合意:書面で。合意時から1年など更新(新たに進行する)・裁判上の請求で権利が確定・承認(行為能力の制限があっても可)確定に至らず請求が終わったときは、終了から6か月は完成しない。

猶予は時計が止まるだけ。更新は時計が新たに進む。

間違えやすいところ:完成猶予と更新を同じ効果と考えると間違える。承認は更新で、行為能力も権限も要らない

完成猶予と更新は、何が違うか? 猶予は時計が止まるだけ。更新は時計が新たに進む。

覚える催告と、書面による協議の合意で、猶予される期間は?根拠 151条1項
催告6か月書面による協議の合意1年協議の合意は、書面または電磁的記録でされたときに限る。

催告は6か月、書面による協議の合意は1年。

間違えやすいところ:催告で猶予されている間に重ねて催告しても、猶予の効力はない

催告と、書面による協議の合意で、猶予される期間は? 催告は6か月、書面による協議の合意は1年。

要点

完成猶予は時計を止めるだけですが、更新は時計をゼロに戻します。効果が違うので区別します。

根拠: 民法 147条2項、民法 152条1項、民法 153条1項

ひっかけ

催告で止まっている間に重ねて催告しても、効果はありません。裁判上の請求など別の手段が要ります。

根拠: 民法 150条2項

裁判上の和解(話し合いで譲り合って解決すること)や調停も、裁判上の請求などと並ぶ事由です。確定判決と同一の効力を持つもので権利が確定したときも、終了の時から時効は新しく進みます。

根拠: 民法 147条1項、民法 147条2項

期間の計算約1分

表
決まり内容
初日日、週、月、年で期間を定めたときは、初日を算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、初日も数える。
時間で定めた期間時間で期間を定めたときは、即時から起算する。
週・月・年暦に従って計算する。最後の月に起算日に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
末日期間の末日は、その日の終わりをもって満了する。
休日その日に取引をしない慣習がある場合に限り、その翌日に満了する(休日だからといつも翌日に延びるわけではない)。

根拠: 民法 140、民法 139、民法 143条1項、民法 143条2項、民法 141、民法 138

事例

4月1日午前10時に「3日間」と定めました。初日の4月1日は数えません。期間は4月2日から始まり、4月4日の終わりに満了します。

根拠: 民法 140、民法 141

事例

期間の末日が日曜日に当たりました。その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は翌日の月曜日に満了します。

根拠: 民法 142

覚えるコマ

覚える期間の計算で、押さえる3つの決まりは?根拠 140条
初日を算入しない午前零時から始まる場合は除く最後の月に応当日がないその月の末日に満了する末日が休日取引しない慣習がある場合に限り、翌日に満了

初日は数えない。応当日がなければ月末。休日は慣習があるときだけ翌日。

間違えやすいところ:末日が日曜日なら必ず翌日に延びる、ではない。取引をしない慣習があるかで決まる

期間の計算で、押さえる3つの決まりは? 初日は数えない。応当日がなければ月末。休日は慣習があるときだけ翌日。

要点

初日は数えません。最後の月に応当する日がなければ、その月の末日が期限になります。休日は、取引をしない慣習があるときだけ翌日です。

根拠: 民法 140、民法 143条2項、民法 142

ひっかけ

末日が日曜日なら必ず翌日に延びる、ではありません。取引をしない慣習があるかどうかで決まります。

根拠: 民法 142

条件(なるかどうか分からない出来事)約2分

条件には、成就したら効力が生じる「停止条件」と、成就したら効力が消える「解除条件」があります。

根拠: 民法 127条1項、民法 127条2項

過去問に出た

停止条件が成就する(条件が実現する)と、その時から効力が生じます。解除条件が成就すると、その時から効力が失われます。

根拠: 民法 127条1項、民法 127条2項

効果を成就した時より前にさかのぼらせたいときは、当事者がその意思を表示します。表示がなければ、成就した時からです。

根拠: 民法 127条3項

事例

石井さんが田中さんに土地を売り、「許可が下りたら売る」と決めました。これが停止条件です。許可が出た時に売買の効力が生じ、当事者が望めば許可前の時点にさかのぼります。

根拠: 民法 127条1項、民法 127条3項

条件が成就するか分からない間も、当事者は相手の利益を害することはできません。

根拠: 民法 128

過去問に出た

条件の成就を故意に妨げた人がいると、相手は成就したものとみなせます。不正に成就させた場合は、成就しなかったものとみなせます。

根拠: 民法 130条1項、民法 130条2項

法律行為の時に条件がすでに成就していた場合や、成就しないことが確定していた場合にも、決まりがあります。

根拠: 民法 131条1項、民法 131条2項

不法な条件を付けた法律行為は無効です。できないことを停止条件にした場合も無効になります。

根拠: 民法 132、民法 133条1項

条件が単に債務者(お金を返すなど、義務を負う側)の意思だけにかかるときは、停止条件付法律行為は無効です。買うかどうかを売主が決める契約は成り立たないからです。

根拠: 民法 134

覚えるコマ

覚える成就を妨げたとき・不正に成就させたとき、相手方はどうできる?根拠 130条1項
成就を妨げた(不利益を受ける者が故意に)・相手方は、成就したものとみなせる不正に成就させた(利益を受ける者が)・相手方は、成就しなかったものとみなせる(130条2項)停止条件が債務者の意思のみに係るときは、無効(134条)。

妨げれば成就したとみなせる。不正に成就させれば成就しなかったとみなせる。

間違えやすいところ:妨害と不正な成就は、効果が逆。成就した、成就しなかった、を取り違えると間違える

成就を妨げたとき・不正に成就させたとき、相手方はどうできる? 妨げれば成就したとみなせる。不正に成就させれば成就しなかったとみなせる。

要点

条件は当事者が左右できない出来事です。左右できるものを条件にすると、無効になることがあります。

根拠: 民法 132、民法 134

ひっかけ

条件成就の妨害と不正な成就は、効果が逆です。妨害は「成就した」、不正な成就は「成就しなかった」とみなします。

根拠: 民法 130条1項、民法 130条2項

期限(必ず来る出来事)約2分

期限は、必ず到来する出来事です。条件とは違い、来るかどうかは問題になりません。

根拠: 民法 127条2項

左右の比較条件と期限の違い

条件来るか不明期限必ず来る出来事成就するか分からない必ず到来する種類停止条件・解除条件始期・終期効力成就した時から生じる・失われる始期まで請求できず、終期で消える

例: 許可が下りたら売る(条件)。1年後に返す(期限)。

根拠: 民法 127条1項、民法 127条2項、民法 135条1項、民法 135条2項

始期(効力が始まる時期)を付けると、期限が来るまで履行を請求できません。終期(効力が終わる時期)を付けると、期限が来た時に効力が消滅します。

根拠: 民法 135条1項、民法 135条2項

期限は、債務者の利益のために定めたものと推定されます。支払う側が助かるように考えるのが普通だからです。

根拠: 民法 136条1項

事例

小林さんが山本さんから借りたお金の返済期日を1年後に決めました。期限の利益は小林さんのものです。この利益は小林さんが放棄できますが、山本さんの利益を害することはできません。

根拠: 民法 136条1項、民法 136条2項

債務者が破産手続開始の決定を受けたときなどは、期限の利益を主張できなくなります。

根拠: 民法 137条1号

要点

期限の利益は債務者のものと推定されます。だから、債務者の側が放棄できます。

根拠: 民法 136条1項

ひっかけ

期限の利益の放棄は自由ではありません。これによって相手の利益を害することはできません。

根拠: 民法 136条2項

本試験ではこう出ます

本試験では「AがBの土地を、所有の意思をもって平穏かつ公然と占有し始めた」のように出ます。占有を始めた時に善意無過失だったかで、10年か20年かを決めます。

根拠: 民法 162条1項、民法 162条2項

まとめ

  • 時効は、長く続いた事実を認めて、権利の取得と消滅を起こす制度です。
  • 取得時効は占有開始時に善意無過失なら10年、それ以外は20年です。途中で悪意になっても10年で完成します。
  • 消滅時効の債権は、知った時から5年、権利を行使できる時から10年です。
  • 生命・身体の侵害は、債務不履行なら20年、不法行為なら損害を知った時から5年です。
  • 裁判で確定した権利は10年になりますが、確定時に弁済期が未到来の債権には適用されません。
  • 時効は援用して初めて使えます。完成後の承認をすると、援用できなくなります。
  • 完成猶予は時計を止め、更新は新しく進めます。催告は6か月、協議の合意は1年です。
  • 期間の初日は数えません。条件は成就した時から効力が生じ、期限の利益は債務者のものと推定されます。
この単元の○×を解く 4択を解く